2004年8月29日

『駆け出しマネジャー アレックス リーダーシップを学ぶ』

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532149347/

本日ご紹介するのは、そんなマネジャーたちのための一冊です。まだ刊行前の本ですが、編集者のご好意により、ゲラをご提供いただきました。ありがとうございます。

本書は、マッキンゼーの元パートナーが書いたもので、すでに世界14カ国で翻訳されているベストセラーです。倒産寸前の会社の再建を請け負った主人公アレックスが、試行錯誤しながら、リーダーに必要な「シンプルな原則」を学んでいくという、ストーリー仕立ての内容になっています。

ストーリーの出来だけを見ると、三枝匡さんの『V字回復の経営』に軍配が上がるのですが、さすがにリーダーシップに特化しているだけあって、各章の終わりにまとめられた「シンプルな原則」は非常に興味深い内容です。

参考:『V字回復の経営』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532149347/

では、その「シンプルな原則」とは一体何なのか。さっそく要点を見ていきましょう。
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 本日の赤ペンチェック
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人は、計画や分析では動かない。人を動かすのはビジョンであり、やる気であり、勢いなのだ。だから有能なリーダーはさまざまなテクニックを駆使して、この三つを生み出そうと努力する

課題はリーダーシップであって、カリスマ性じゃない

有能なリーダーほど、大きな改革の前に時間を確保するものだ。目を開き、耳を傾けて内情を知ろうと務め、次の三つの答えを探る
1.どこにエネルギーを注ぐか
2.事態の緊急性をどう説得するか
3.どの派閥に注意するか

有能なリーダーは、早い段階で重要な課題に取りかかる。どんなチームを編成するか。一緒に先頭に立つ役割をだれに割り当てるか。どの集団を解体しなければならないか。

心に響くビジョンの4原則
1.わくわくするようなストーリーがある
2.ポイントを押さえており印象に残る
3.意義がある
4.心に残る

リーダーは早い段階で、チームや会社がすべきことについて仮の方針を立てる。(中略)自説を訴える時は、次の点に注意するとよい。
・自分がやりたいことを表明し、反応を見る
・主力メンバーの意見を聞く
・支持勢力と抵抗勢力を見極める
・心に響くビジョンへと膨らませる

ビジョンの狙いと組織が必要とする能力やスキルとがうまく噛み合っているかを確認する。そのほか、組織全体に連鎖反応を引き起こすような触媒効果が期待できるか、という点も要チェックである

リーダーは二種類の信頼を獲得しなければならないということだ。一つは目的に対する信頼、もう一つはリーダーの能力に対する信頼である

リーダーは、ビジョンの本質を伝えるメッセージを絶えず発信しなければならない。ここで難しいのは、同じことを繰り返すのではなく、毎回新しい響きや輝きを込めることである

目的地に向かってトップギアで走り続けるには、リーダーは部下に自主的な取り組みを奨励すべきである。この時、すぐに結果を出そうと「アメとムチ」に走りがちだが、まず最初に業務の分担や責任の所在をチェックすることが肝心である

有能なリーダーは、成果に対して称賛を惜しまない

有能なリーダーが使う手段
1.明快でわかりやすいビジョンを打ち出す
2.象徴的で話題性のある行動を取る
3.クチコミを積極的に活用する
4.主要業績評価指標(KPI)を選ぶ

リーダーは、効率よりも効果を考えるべきだ

リーダーの重要な使命は、リーダーを育てることである。(中略)トレーニングもそれなりに有効ではあるが、優秀な企業ほど、人材を育てるには経験を積ませるのが一番だと知っている

ある程度成功したリーダーが犯しがちな最大の過ちは、最優先課題に時間を費やすこと(その重要なことをやれるのは自分だけ?)

キャリアを通じて有能なリーダーであり続けるために、リーダーは自分自身にもリーダーシップの公式を適用する
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ストーリー仕立てでさらりと読めますが、ここで示されている「シンプルな原則」は非常に奥深いものです。

これまでたくさんの経営書を読んできましたが、ここで示されている「シンプルな原則」は、まさに再建に成功した名経営者たちが、決まって実行していた内容です。

ここまでしっかりと体系立てて、かつわかりやすい本は滅多にお目にかかれないでしょう。

というわけで、本日の一冊は、

『駆け出しマネジャー アレックス リーダーシップを学ぶ』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532149347/

です。

内容が盛りだくさんで、赤ペンチェックでも載らなかった有用な情報が満載されているため、ぜひ買って熟読することをおすすめします。
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