2004年8月9日

『売れる「仕掛け」をつくれ!』

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532311594/

本日の一冊は、「日経MJ」紙に掲載された大型企画「需要創造」の内容をまとめたものです。

書き下ろしでないのは残念ですが、紹介されている事例は、すべて日経の専門記者が、現場を走り回って集めた一次情報です。しかも、今回の出版にあたって、さらに取材を重ね、大幅加筆しているようです。

売れる「仕組み」ではなく、「仕掛け」とあることからもわかるように、論じられているのは戦術レベルの話が中心です。それだけに、やがて陳腐化はしてしまいますが、現在の流通事情や、各社の取り組みを概観するうえでは、便利な一冊です。

第1章で紹介されている事例は、これまでの常識をくつがえす発想で成功した、甘くないアイスクリーム、女性向け発毛剤、迷わない地図など。現在受けている事例を何となく眺めていると、マーケットの変容に伴う、新たなビジネスチャンスが見えてくるようです。

第2章~第5章では、現在成果を上げている最新の「売り方」を紹介。コンビニのシュークリームから、英会話、ゴルフクラブ、果てはログハウスまで売れちゃう「お試し販売」の威力や、顧客の購買履歴に基づくマーケティング、抜群の集客力が武器の「駅ナカ(駅構内)」を生かした販売など、さまざまな試みが紹介されています。

第6章~第8章では、男性、観光客、シニアといった、今後有望なマーケットを概観し、そのチャンスを探っています。メンズ館を成功させた伊勢丹や、ひっそりとした佇まいが人気の福地温泉、シニア比率が4割に達するという玉川高島屋のビーズ専門店など、興味深い事例が満載です。

そして最後の第9章、第10章では、売り場や消費者の変化の予兆を指摘。メガネと化粧品、服とCDなど、これまでになかった商品の組合せが功を奏している売り場など、目新しい事例をいくつか取り上げています。

最先端の事例を学ぶには好適な1冊ですが、ひとつひとつの事例の掘り下げが足りないのは、否めません。また、試みと結果の因果関係がもっとはっきり打ち出せていたら、なお良かったと思います。

というわけで、本日の一冊は、

『売れる「仕掛け」をつくれ!』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532311594/

です。流通の最前線を学ぶには、格好の事例が掲載されています。

目次

第1章 常識を疑え
第2章 お試しでその気にさせる
第3章 データを生かす
第4章 五感に訴える
第5章 眠る市場・いち早く
第6章 男消費を取り込め
第7章 観光客はこう呼ぶ
第8章 アクティブシニアを手中に
第9章 売り場の七変化
第10章 わがまま大歓迎
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