【見た目で生涯年収はどう変わるか?】
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本日の一冊は、労働経済学を専門とする著者の研究「美貌と収入の関係」を紹介した、注目の一冊。
見た目で生涯収入が23万ドル(1ドル120円だと2760万円)違うという試算や、太っている女性の収入が低いという事実、政治家は見た目が大事な職業だという仮説など、興味深いデータもあることはあるのですが、収入に関しては、美貌以外の要素が多すぎて、著者も明確に結論を出せないでいるのがもどかしい。
さまざまな要素の影響を調整して、やっと微々たる差を論じる、といった内容が多く、だったらむしろそれ以外の要素を頑張った方がいいんじゃないか、と個人的に思いました。
なお、収入に影響を与える「他の要因」のうち、日本人に関係が深く、重要そうなところをピックアップすると以下の通り。
◆収入に影響を与える「他の要因」 ※一部紹介
・教育(収入を増加させる)
・組合への加入(収入を増加させる)
・結婚歴(男性にはプラス、女性にはマイナスの効果)
・都市の規模(大都市や大都市圏の人のほうが非大都市圏や田舎の人より収入が多い)
・会社や工場の規模(大企業や大工場のほうがお給料が高い)
・勤続年数(同じ会社での勤続年数が長いほうが収入が多い)
奇抜で面白い論考ではありますが、正直、「美貌」では議論に奥行きが出なかったかな、というのが率直な印象です。
婚活中、求職中の方には、興味深い話が見つかるかもしれません。
チェックしてみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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カッコつけた言い方をすると、経済学は希少性の学問であり、希少性が呼び起こすインセンティヴを研究するのが経済学だ。経済学の問題として美貌を扱うには、美貌がめずらしい希少なものでないといけない。美貌が希少であるためには、モノの買い手や労働者の時間を使用する人にとって、美貌が楽しめるものでなければならない。タダで手に入る美貌が十分になく、だからお金を出してでももっと美貌を手に入れたいと人びとが思うなら、美貌は希少だということ
女性の容姿に対する評価は男性の容姿に対する評価よりも極端だ。見るべきところがないとか醜いとかの評価はより多く、同時に、目を見張るほど美しいとか並みより上とかの評価もより多い
18歳から29歳の女性のグループでは、45%の人が少なくとも並みより上と評価される一方、50歳から64歳のグループではそういう評価を受けた人はたったの18%だった(中略)歳月は女性の容姿のほうに厳しいようである
私たちは若さと美しさを切り離せないように条件づけられている
顔が根本的に非対称だと、他人の目にはなかなか美形には映らない
◆収入に影響を与える「他の要因」 ※一部紹介
・教育(収入を増加させる)
・組合への加入(収入を増加させる)
・結婚歴(男性にはプラス、女性にはマイナスの効果)
・都市の規模(大都市や大都市圏の人のほうが非大都市圏や田舎の人より収入が多い)
・会社や工場の規模(大企業や大工場のほうがお給料が高い)
・勤続年数(同じ会社での勤続年数が長いほうが収入が多い)
容姿が並みに満たない働き手の生涯収入は146万ドルにしかならず、一方、並みよりいい容姿の働き手だと生涯収入は169万ドルへと高まる
失業者がたくさんいれば、働き手を雇うときにえり好みしやすい
他の条件が全部同じなら、太っているほうが収入は少ない。女性に関してはとくにその傾向が強い
容姿が50%の人を上回る人と84%の人を上回る人では、年齢や性別、それに評価担当者たちによる候補の能力や信用の評価を調整したうえでなお、得票率の差は15%を超える
容姿がとても醜いほんの一握りの若者たちは、そうでない若者に比べて、強盗、窃盗、あるいは暴行に手を染める可能性が大幅に、かつ有意に高かった
男性は女性の容姿をより重視するし、女性は男性の知性をより重視する
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『美貌格差 生まれつき不平等の経済学』ダニエル・S・ハマーメッシュ・著 東洋経済新報社
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◆目次◆
第1部 美形の裏側
第1章 美貌の経済学
第2章 見る人次第
第2部 職場での美形:なぜなにどうして
第3章 美貌と働き手
第4章 特定の職業における美形
第5章 美形と雇い主
第6章 ブサイク差別か役に立つ美形か、そしてそれはなぜか?
第3部 愛、借金、そして法律での美形
第7章 友だち、家族、そして借金の市場における美形
第8章 ブサイクを法律で守る
第4部 美形の先行き
第9章 ブサイクの行く末
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