【必読。日本の億万長者の系譜】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4582857647
本日の一冊は、戦後から現在に至るまでの日本の億万長者ランキングと、その時代背景、長者たちの生い立ち、どんなビジネスをしていたかをまとめて資料化した一冊。
1947年度トップの加藤尚(織物販売業/加藤ビル社長)に始まり、普段ビジネス書でもあまり登場することのない名前が登場し、彼らがなぜ成功したのか、その意外な秘密を知ることができます。
億万長者の顔ぶれを概観すると、1952年には「石炭鉱業」がトップ10のうち8つを占めていたり、1969年~1982年は土地長者がランキング上位を占めていたり、時代によって億万長者にも傾向があることがわかります。
よくよく詳細を調べると、土地長者などは、政府の税制によって、土地売却を進めた人が多かったため、資産が明るみに出たもの。買い時は「それ以前」だったことがよくわかります。
億万長者になった時点では既にビジネスの旬が過ぎている、というのはよくある話ですが、やはり本書を読んで、ランキングは表層的なものだということを確信しました。
また、田中角栄の『日本列島改造論』で土地ブームに拍車がかかり、長者番付上位一〇〇人のうち、九四人までが土地長者になったことを知ると、やはり「国策に売りなし」だと痛感します。
これだけの情報を調べ上げた労力と、億万長者の血縁関係をまとめた後半の資料には価値があり、類書では得られない情報がたっぷり入っていることから、当然「買い」の一冊です。(しかも新書のため、800円と格安です)
この手の本は、絶版になることが多いため、ぜひ早いうちに買っておきたいところです。
ぜひ読んでみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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一九四七年の高額所得者は戦後のドサクサで一発当てた、いわゆる新興成金が多かった
一九四八年度
三位の岩波雄二郎(一九一九~二〇〇七)は、当時の出版社の代表格である岩波書店の店主である。岩波書店は、一九一三年に雄二郎の父・岩波茂雄(一八八一~一九四六)が東京都神田神保町に古本屋として開業したもので、翌一九一四年に夏目漱石の知遇を得て『こゝろ』を出版。古書店から出版社に転じた
一九四九年度
劇的な変化は、日本の財政がインフレ是認からデフレ強行に転換したことが背景にある。インフレ下では貨幣価値が下落し、物価上昇が進むため、目端の利くヤミ屋は、隠し持っていた物資を売りさばいて巨利を得ていた。しかし、そうした成金商法が通用しなくなってきたのである
一九五四~一九六八年度
この十五年間のトップはすべて、巨大企業の創業者一族である(中略)かれらの富の源泉は、株式公開によるキャピタルゲイン(=創業者利益)、もしくは所有株式によるインカムゲイン(=莫大な配当金)だった
一九五七年度 六位 近藤荒樹
関東大震災後に「これからは郊外が発展する」と国立市近郊の土地を買い集め、一〇倍の値段で売却
結局、銀行を持っていなかった大倉財閥系の企業は、緩やかな企業関係を維持しつつも、三菱や住友のような企業集団を形成することはできなかった
一九六五年度
目立つのが、建設族の躍進である。三位の鹿島建設会長・鹿島守之助を筆頭に、七位の大林組社長・大林芳郎、十位の熊谷組社長・熊谷太三郎、十位以下にも十一位に竹中工務店社長・竹中錬一らが名を連ねた
一九七二年度
七月に田中角栄が総理大臣に就任。この年に角栄が発表した『日本列島改造論』は土地ブームに拍車をかけた。そのため、長者番付上位一〇〇人のうち、九四人までが土地長者だった
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『日本の長者番付 戦後億万長者の盛衰』菊地浩之・著 平凡社
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◆目次◆
はじめに
第一章 新興成金と炭鉱業者の時代 1947~1953
第二章 松下幸之助の時代 1954~1968
第三章 土地長者の時代 1969~1982
第四章 所得税法の改正 1983~1991
第五章 再び創業者の時代へ 1992~2004
終 章 フォーブスの億万長者 1998~2013
あとがき
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