2006年9月15日

『下流社会マーケティング』

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4534041160

本日の一冊は、ベストセラー『下流社会』の著者、三浦展さんが、
下流社会化にともなう消費トレンドの変化を論じた、マーケティン
グの実務書です。

※参考:『下流社会』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4334033210

少子高齢化、所得格差の拡大は、どの企業にとっても深刻な問題で
すが、本書ではそういった企業の悩みに応え、ズバリ今後有望な市
場と、その理由を説いています。

さらに、その市場がどんな趣味嗜好、ライフスタイルを持っている
か、さらには市場へのアプローチ方法まで、詳しく論じています。

実際の商品名やプロジェクト、媒体などを例に、今後注目される単
身世帯の攻略法、団塊ジュニア世代の攻略法を説いた点は、類書に
ない魅力でしょう。

主張的には言い尽くされているものも多く、さほど目新しい内容は
見受けられませんが、興味深い事実をもとに考えることで、新たな
マーケティングのヒントをつかむことができると思います。

個人的にも、実需と嗜好のバランス、マーケティングリサーチのコ
ツなど、いくつか役に立つ視点が見つかりました。

マーケター向きの一冊ですね。

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■ 本日の赤ペンチェック
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『下流社会』という本がベストセラーになったことからもわかるよ
うに、今後の経済成長によって増える国富が、55年体制のように国
民に均等に分配されない時代になるという予感が国民に広まっている

単独世帯、一人暮らしというと、若い人世帯をイメージする方も多
いと思いますが、今後増えるのは、高齢者の一人暮らしです

今後は、高度経済成長期以降ずっと続いてきた標準世帯をターゲッ
トにして売上げを伸ばすやり方は通用しない

人口学的に言うと、数が増えるのは高齢者の夫婦のみ世帯や一人暮
らし、そして中年の未婚者です。ちなみに、2000年時点の30代と40
代の未婚の男女は665万人。それが2005年には824万人に増えています

今後は、売上げの個数を伸ばすことを狙うのでなく、商品の単価を
上げることを目指す質的なマーケティングが求められます

単独世帯、夫婦のみ世帯などが増える状況において注目するべきな
のが「ライフスタイルケア市場」

3つのケア:「人のケア」「お金のケア」「物・都市のケア」

現代は、「上」に向けてものを作ると「中」がついて来る。
「中」に向けてものを作ると「上」も「下」もついて来ない

これからは、お客さんの高次のニーズにちゃんと応えてくれるコン
シェルジュ的な機能をもった商品や、コンシェルジュ的なサービス
そのものにお金を出す時代

よく調べてみると、団塊世代の家庭で子どもが生まれたのは、73年
から80年が多い

ビシッと決まったスタイリッシュファッションを志向する新人類世
代に比べて、ゆるくて、らくちんなファッションを志向するのが真
性団塊ジュニア世代

◆真性団塊ジュニア世代の特徴
「リラックス志向」「レトロ志向」「自己関与性」

実需があるターゲットをハッキリさせて、その人たちが好むデザイ
ンを考えるのが正しいデザインマーケティング

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『下流社会マーケティング』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4534041160
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■目次■

第1章 下流社会のマーケティング
第2章 格差時代のマーケティング
第3章 世代のマーケティング
第4章 デザインのマーケティング

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