2006年2月7日

『ヨネックス米山稔負けてたまるか。』

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/453219329X
本日の一冊は、「世界のヨネックス」を一代で築き上げた創業者、米山稔さんの半生の奮闘記です。

素材革命により、一瞬にして注文を失った、「浮き」のビジネス、ラケットビジネスが軌道に乗った矢先の供給先倒産、本社工場の火事、訴訟事件…。

数々の苦境を乗り越え、その度に実力と信頼を獲得してきた著者。その人生からは、多くの学びと勇気が得られます。

たとえ絶望に打ちひしがれても、あきらめない。人間は苦境をバネに、自らを磨き、成長することができる。

「負けてたまるか。」というタイトルには、そんなメッセージが込められているような気がします。

「人は仕事で磨かれる」とは、伊藤忠商事の元社長、丹羽宇一郎さんの言葉ですが、本書に描かれているのは、まさに自らを磨いてくれる、ビジネスの素晴らしさです。

仕事を通じ、人と出会い、そこで切磋琢磨することによってさらに自らを高めることができる。本書には、そんなビジネスの醍醐味があますところなく表現されています。

著者の波乱万丈の人生と痛快なエピソード、そして不屈の精神に触れられる、近年まれに見る好著です。
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■ 本日の赤ペンチェック
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転んでも、そのたびにひと回り大きくなって起きあがる。それをモットーにした私には「越後の雪だるま」というあだ名がついた

私は子供心に、早くお金を稼げるようになりたいと思った。問屋が来るたびに、支払いを延ばしてくれるよう両親が頭を下げる姿を見ながら、早く学校を出て働かなければならないと思うようになった

前途に希望をつないでくれたのは母だった。戦争中に父が亡くなった後も、母は家業の木工の機械を残してくれていた。一家の大黒柱を亡くし、幼い弟たちを抱え生活は日に日に苦しくなった。親せきが「モーターを売り払えば米二俵になる。当座はしのげる」と勧めた。けれど母は、「稔は必ず帰ってくる。この一台のモーターは稔が木工の仕事をするのに絶対必要だ。これだけは手放せない」と言ったという。私はこの話を親せきから聞いて涙が出た

私は心底、反省した。情報収集を怠り、技術で後れをとった。「石油の時代」がナイロン、プラスチックという新材料を生み、漁業の現場を一変させつつあることに、どうして気づかなかったのか

初めて出荷したラケットはサンバタを驚かせた。会社を立て直そうと必死で製造方法を研究したラケットはわれわれの復活ののろしとなった

上野発の急行列車で長岡駅に降り立つと、「米山製作所の社長さん、至急、会社へお帰りください」との声がホームに響きわたった(中略)何事が起こったのかと、駅員に聞いた。「あなたの工場が燃えています。大きな火事のようです」。全身の力が抜けていった

ハンディを乗り越え他社と戦うには、ほかと同じようなことをするのではなく、機先を制し、意表を突く攻め方も必要になる。秀吉の一夜城にならった一気呵成の工場再建ははからずも、そうしたわが社の生き方を社員に示す機会にもなった

困難にぶつかると、読書から得た名経営者の一言一言が私の胸に突き刺さった。本がどれだけ私を励まし助けてくれたことかと思う。人生において、どうしようもない難局を迎えることは、だれにでもある。経営書や人生の哲学書は内容が堅く、とっつきにくい所もあるが、示唆に富み、救いの手を差し伸べてくれる場合が少なくない
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『ヨネックス米山稔負けてたまるか。』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/453219329X
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■目次■
まえがき
第一部 私の履歴書
第二部 ざっくばらんが征く
1 挑戦の戦略
2 一筋に創る
3 ヨネックスを応援してくれた人たち
4 私を支えてくれたトップ選手
5 ヨネックス全英オープン
6 ヨネックススポーツ振興財団
米山稔年譜
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