【ジョブズの嘘?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4152092718
TwitterやFacebookが登場した時、「カリスマが凡人化する時代がやってくる」と思いました。
それは、誰もがメディアを持てるようになったからではありません。
もともとカリスマには、「偶然の影響力」しかなかったのに、それが見破られる、と思ったからです。
土井はこれまでに、さまざまなモノをマーケティングを通じて売ってきましたが、それはじつは、「ネットワークの構造を目利きしていたから」にほかなりません。
また、そのネットワークに何を流せばいいか、という仮説が当たっていたから、という部分もあると思います。
ただはっきりしているのは、世の中でブレイクしたもの、脚光を浴びた人というのは、「偶然のたまもの」であることが多いということです。
そのことを明らかにしたのが、本日ご紹介する一冊、『偶然の科学』。
著者のダンカン・ワッツは、『スモールワールド・ネットワーク』で話題となった、ネットワーク科学の世界的第一人者。
※参考:『スモールワールド・ネットワーク』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4484041162
本書では、これまでに行われたネットワーク科学の研究成果を紹介し、カリスマたちの嘘を徹底的に暴いています。
また、ネットワーク科学的見地から、どうすればこの「偶然」を味方につけることができるのか、正しい意思決定のポイントは何なのか、重要なヒントが示されています。
Facebook時代の勝者は、じつは優れたコンテンツではなく、また優れたマーケターでもないかもしれない。
「偶然」を味方につけ、1億総ネットワーク時代に富を獲得する勝者になるために、ぜひ押さえておきたい一冊です。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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数世紀にわたり、<モナ・リザ>は国王の私邸に放置されたあまり目立たない絵だった
つまるところ、最も重要な条件はひと握りの影響力の強い個人とはまったく関係がない。むしろ、必要数の影響されやすい人々が存在し、この人々がほかの影響されやすい人々に影響を与えるかどうかにかかっている
人生には明確な「結果」があり、そのときになればある行動の意味を最終評価できるという考え方そのものが、都合のいい作り事に等しい。現実には、われわれが結果と見なす出来事もけっして真の終点ではない
歴史は一度しか起こりえないので、実験が事実上おこなえず、真の因果関係を推論するのに必要なまさにその証拠が排除されてしまう
予測の対象が正しいことは、予測の結果が正しいことに劣らず重要
ハリケーン・カトリーナは巨大な嵐だったが、人類史上最大の嵐ではなかったし、その夏最大の嵐でもなかった。つまり、ハリケーン・カトリーナをブラック・スワンたらしめたのは、嵐そのものというより、嵐にともなって起こったことである
たしかにアップルは未来を見据え、テクノロジーの向かう先を読むために最善を尽くしたが、それはソニーも同じだった。そしてたしかにアップルはいったん選択するとそれを守りとおして巧みに実行したが、ソニーもまさしくそのとおりのことをした。レイナーの見方によれば、唯一の重要なちがいは、ソニーの選択がたまたま誤っていたことであり、アップルの選択がたまたま正しかったことだった
レイナーによれば、ほとんどの企業がかかえる問題は、取締役会や経営トップなどの経営陣が、既存の戦略の管理と最適化―レイナーが運営管理と呼ぶもの―に時間を使いすぎ、戦略的不確実性をじゅうぶんに考えていないことだという
自分の心臓を止めることができないのと同じで、常識に基づく直観を抑えることはできない。しかしながら、ビジネス戦略や政府の政策の問題でも、あるいはマーケティングキャンペーンやウェブサイトのデザインの問題でも、常識にあまり頼らず、測定可能なものにもっと頼らなければならないと覚えておくことならできる
個人がキャリアの早いうちに成功をおさめると、一定の構造的優位を得られるので、本来の能力にかかわりなく、その後も成功する見こみがずっと大きくなる
思慮深い人物なら、われわれがみな家族や友人の意見から影響を受けていることや、状況が重要であることや、万事が関係していることは内省するだけで理解できる。そういう人物なら、社会科学の助けを借りずとも、認識が重要であることや、人々が金ばかりを気にかけるのではないことも知っている
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『偶然の科学』ダンカン・ワッツ・著 早川書房
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◆目次◆
まえがき―ある社会学者の謝罪
第一部 常識
1 常識という神話
2 考えるということを考える
3 群衆の知恵(と狂気)
4 特別な人々
5 気まぐれな教師としての歴史
6 予測という夢
第二部 反常識
7 よく練られた計画
8 万物の尺度
9 公正と正義
10 人間の正しい研究課題
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