【感動。じつはスピーチの極意本】
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本日は、既にドラマ化もされ、大ベストセラーとなっている原田マハさんの『本日は、お日柄もよく』をご紹介します。
前から気になってはいたのですが、先日、Twitterである著名人がおすすめしていたので、思い切って読んでみました。
政治の話ということで、最初は食指が動かなかったのですが、じつはスピーチライターが主役の話ということで、がぜん興味がわき、最終的にはグイグイ引き込まれてしまいました。
本書の主人公は、教科書に載るほどの俳人を祖母に持ちながら、ごくごく平凡なOL生活を送る、こと葉。
ずっと好きだった、幼なじみで大手広告代理店「白鳳堂」のコピーライター、厚志君の結婚式に出席し、主賓挨拶に退屈するあまり、スープ皿に顔を突っ込み、それが縁で伝説のスピーチライター、久遠久美に出会う。ここから、彼女の人生が変わって行くというストーリーです。
「ビジネスブックマラソン」読者のみなさんにおすすめする理由は、本書が、主人公の天職発見物語であると同時に、じつは「スピーチのノウハウ書」でもあるということ。
土井も13年間、人にスピーチの指導をし続けていますが、本書で述べられている「スピーチの極意 十箇条」は、「全文暗記」を除いて、ほぼ同意できます。
何より素晴らしかったのは、この極意がストーリーの中でスピーチとして披露され、これがまた泣けるということ。
もちろん、明らかに実在の人物をモデルにした記述であり、その部分で興ざめしたり、腑に落ちなかったりという部分はあると思いますが、純粋にスピーチとして読めば、得られることの多い内容だと思います。
さっそく、赤ペンチェックしてみましょう。
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◆スピーチの極意 十箇条
一、スピーチの目指すところを明確にすること。
二、エピソード、具体例を盛りこんだ原稿を作り、全文暗記すること。
三、力を抜き、心静かに平常心で臨むこと。
四、タイムキーパーを立てること。
五、トップバッターとして登場するのは極力避けること。
六、聴衆が静かになるのを待って始めること。
七、しっかりと前を向き、右左を向いて、会場全体を見渡しながら語りかけること。
八、言葉はゆっくり、声は腹から出すこと。
九、導入部は静かに、徐々に盛り上げ、感動的にしめくくること。
十、最後まで、決して泣かないこと。
「まず、出だしね。『ご紹介にあずかりました、鈴木でございます』。これは、日本人がスピーチするときに、ついついやってしまう悪い癖なんだな。スピーカーが登場する以前に、司会者が名前も会社名も役職も紹介してるわけなんだから、わざわざ繰り返す必要はない。『鈴木でございます』って始まった時点で、聴衆は全員、興味を失う。あんたの名前なんて何度聞いてもおんなじだろ、って」
壇上に上がって、まず五秒待つ。会場が静かになるのを。五秒で無理なら、十秒。それでもだめなら十五秒。十五秒というのは、けっこう長い。たいてい、聴衆は十五秒以内に静まる。だから、壇上に上がってすぐに始めずに、五秒間隔で静かになるのを待つ
いきなりエピソードから始めてもいい。結論を先に言ってしまってもいい。とにかく、最初のフレーズがどんなふうに聴衆の耳に届くか。それでそのスピーチの印象が決まる。聴衆を煽る激しい言葉や、あまりにも力強いフレーズは避ける。あくまでも、静かに、けれど心を打つ入口を作る。「静かに静かに始めて、中盤あたりで徐々に盛り上げていく。そして最後に心をつかむ。最初の静かな一言と、最後の情感のこもったフレーズで、聴衆の感動の振り幅が決まるの」
聴衆に向かって最初に問いかけるのは、聴く者の興味を喚起するのにもっとも効果的なスピーチ手法のひとつ
「答えてほしいこととま逆のことをわざと問いかける」というのも、久美さん伝授のスピーチの極意のひとつだ
『困難に向かい合ったとき、もうだめだ、と思ったとき、想像してみるといい。三時間後の君、涙がとまっている。二十四時間後の君、涙は乾いている。二日後の君、顔を上げている。三日後の君、歩き出している』
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既に有名な作品であり、読まれた方も多いと思いますが、もしまだ読んでいないのなら、これは文句なしにおすすめできる一冊です。
感動して、ノウハウまで学べる、一粒で二度美味しい本です。
ぜひ読んでみてください。
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『本日は、お日柄もよく』原田マハ・著 徳間書店
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◆目次◆
※特にないので省略します
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