2018年1月18日

『【愛蔵版】モリー先生との火曜日』 ミッチ・アルボム・著 別宮貞徳・訳 vol.4929

【再読した感動をお届けします。】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4140817305

みなさんご存知のように、エリエスには毎日、大量の本が届きます。多い時は30冊、少ないときでも最低5冊は届いているでしょう。

そんななか戸惑うのは、かつてBBMでご紹介した本の「改訂版」や「新装版」が出た時。

もちろん、内容が追加されていたり、新訳になっていたり、装丁が変わったりと、多少の変化はあるのですが、一度紹介したものを再度紹介する、というのはなかなか乗り気になれないものです。

そんななか、慣例を破ってご紹介したいという気になったのが、本日ご紹介する『【愛蔵版】モリー先生との火曜日』。

ご存知のように、世界で1600万部を売った名著の刊行20周年記念、スペシャルエディションです。

美しい箱装丁にも心惹かれたのですが、何よりも自分が40歳を過ぎた今、読めばまた違った印象を受けるのではないか、と思ったのがご紹介しようと思った理由です。

通読して感じたのは、「このお話は、こんなに優しい話だったのか」ということ。

スポーツコラムニストとして活躍するミッチ・アルボムが、偶然テレビで大学時代の恩師・モリー先生を見かけ、16年ぶりに難病ALSに侵されている恩師から、人生の大切な教えを受ける。

病に苦しみ、死に直面しながらも幸せそうな恩師から、ミッチは大切ことを教わるのです。

本書は、いわば恩師とミッチの卒業論文。

再読して、以前ご紹介した時には感じなかった、人と人との心の通い合い、そして老いていくことの素晴らしさと優しさを感じました。

40代になってからの赤ペンチェック、ぜひご一読ください。

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希望をなくして消えていくか、それとも残された時間に最善を尽くすか

文化がろくな役に立たないんなら、そんなものいらないと言えるだけの強さを持たないといけない。自分の文化を創ること。多くの人はそれができない。私よりよっぽど不幸だよ──こんな状態の私より。もうじき死ぬとはいっても、私のまわりには愛してくれる人、心配してくれる人がたくさんいる。世の中にそう言える人がどれだけいるか?

多くの人が無意味な人生を抱えて歩き回っている。自分では大事なことのように思ってあれこれ忙しげに立ち働いているけれども、実
は半分ねているようなものだ。まちがったものを追いかけているからそうなる。人生に意味を与える道は、人を愛すること、自分の周
囲の社会のために尽くすこと、自分に目的と意味を与えてくれるものを創りだすこと

自分が苦しい思いをしていると、苦しんでいる人が今までになく身近に感じられるんだ

人生でいちばん大事なことは、愛をどうやって表に出すか、どうやって受け入れるか、その方法を学ぶことだよ

必要なときには、まず思いっきり泣く。それから、人生にまだ残っているいいものに気持ちを集中する

家族っていうのはそういうものなんだ。単に愛だけじゃなくて、見守っている人がいますよ、とわからせてくれること

ある感情を例にとろう。女性への愛でも、愛する者を失った悲しみでも、私が今味わっているような死にいたる病による恐怖、苦痛でもいい。そういった感情に尻ごみしていると──つまり、とことんそれとつき合っていこうという考えを持たないと──自分を切り離すことはできない。いつもこわがってばかりいることになる

私にも三十代という自分の時代がかつてあった。今は七十八歳が私の時代さ。自分の今の人生のよいところ、ほんとうのところ、美し
いところを見つけなければいけない(中略)ほんとうのところ、私自身の中にすべての年齢がまじり合っているんだよ

本当に満足を与えてくれるものは何だと思う?(中略)自分が人にあげられるものを提供すること

愛とは、死んだあとも生きてとどまること

死ぬ前に自分を許せ。それから人を許せ

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最初の書評には、<人生のたそがれどきになって後悔しないためにも、ぜひ読んでおきたい一冊です>と書きましたが、訂正します。

本書は、読者が何歳になっても人生に幸せと喜びを感じ、前向きに生きられる、そんなヒントを与えてくれる本です。

ぜひ、読んでみてください。

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『【愛蔵版】モリー先生との火曜日』
ミッチ・アルボム・著 別宮貞徳・訳 NHK出版

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◆目次◆

カリキュラム
講義概要
学生
視聴覚教室
オリエンテーション
教室
出欠確認
最初の火曜日<世界を語る>
第二の火曜日<自分をあわれむこと>
第三の火曜日<後悔について>
視聴覚教室<第二部>
教授
第四の火曜日<死について>
第五の火曜日<家族について>
第六の火曜日<感情について>
教授<第二部>
第七の火曜日<老いの恐怖>
第八の火曜日<かねについて>
第九の火曜日<愛はつづく>
第十の火曜日<結婚>
第十一の火曜日<今日の文化>
視聴覚教室<第三部>
第十二の火曜日<許しについて>
第十三の火曜日<申し分のない一日>
第十四の火曜日<さよなら>
卒業
むすび
訳者あとがき
刊行二十周年によせて~著者あとがき
刊行二十周年によせて~訳者あとがき

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