【『「権力」を握る人の法則』に続編登場!】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/453232081X
たくさん本を紹介していると、そのなかに「真実すぎて扱いに困る本」というのが存在します。
なぜ困るのかというと、人間は「見たいものしか見ず」、「そうでないものは否定する」傾向があるからです。
どうやらこの傾向は、真実を扱うはずの「リーダーシップ」の世界でも同様らしい。
本日ご紹介する一冊『悪いヤツほど出世する』には、現在のリーダーシップ教育産業の問題点、「リーダー神話」の間違い、当然のようにもてはやされる「謙虚さ」の落とし穴、ナルシスト型リーダーの優れた点など、従来のリーダーシップ論とはまるで違う常識がまとめられています。
ベストセラーとなった『「権力」を握る人の法則』の続編で、相変わらずどぎつい真実が書かれています。
※参考:『「権力」を握る人の法則』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532197147
興味深かったのは、われわれ一般人のリーダーシップ幻想を打ち壊した後、現実的な対処法として、リーダーの教育、評価の仕組みを提唱している点でした。
キャリアのどこかの時点で必ず会社の主要業務を経験させること、必要な行動を測定し、測定結果に対して説明責任を持たせることなど、ナルシストが多いリーダーたちをどう扱うか現実的なアプローチ方法が書かれていました。
気になるポイントをひと通り見て行きましょう。
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すぐれたリーダーシップと関連づけられた個人の資質に関する一八七の研究結果を総括したメタ分析では、リーダーの有効性と結びつけられる資質は七つあることがわかった。うち四つは、エネルギー、支配力、自信、カリスマ性である。そしてこの四つは、ナルシストがとくに顕著に持ち合わせていることが、多くの研究で指摘されている
ナルシスト型リーダーが率いる組織の業績は、そうでないリーダーが率いる組織を上回っている
よりよい人間関係を形成するのに、相手を好きだとか嫌いだとか、個人的な感情はほとんど関係がない。地位が上がれば上がるほど、自分の個人的な信条や、感情や、好みに基づいて行動する自由はな
くなる。つまり「自分らしさ」を発揮する自由は失われるのである。
リーダーというものは、ひたすら組織を成功に導くために、また組織で成功するために必要な行動をとらなければならない
「権力を持つ人間ほどひんぱんに、たやすく嘘をつく」ことは研究でも裏付けられている
大方の人は人間関係において戦略的に行動するということだ。まして取引関係においてはなおのことである。つまり、誰かが自分にしたことよりも、その誰かが将来自分にしてくれる可能性のほうを重視する
信頼を維持するには約束を守らなければならないが、約束はやがて邪魔になる
社会心理学のある研究によると、人間は自分と似た人を助ける傾向がある。この「似ている」というのは全然重要でない些末なことや偶然の一致でかまわない。たとえば誕生日が同じだとか、手相が似ているとか、イニシャルが同じというのでもよい。それだけで、依頼を快く引き受けたり、面会に応じたりする
リーダーに部下を思いやることを期待するなら、そうしているかどうかを測定し、測定結果に対して説明責任を持たせることが欠かせない
もう一つ有効な方法は、昇進させる社員には、キャリアのどこかの時点で必ず会社の主要業務を、つまり製造業なら製造を、サービス業ならサービスを経験させることだ。こうすればリーダーは現場の社員の苦労もよく理解できるし、正しく評価できるようになるだろう
よいリーダーは永遠ではない
そもそもリーダーに依存しないシステムをつくれ
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本書によると、キャリアアップに成功し幹部クラスに到達するまでに必要とされる適性や行動と、リーダーになった後期待される資質はまるで違うらしく、いかに世のリーダーシップ論がきれいごとで
塗り固められているか、よくわかりました。
リーダーシップ教育産業に携わる方はもちろん、研修などを依頼する企業の教育担当、出世を志すビジネスパーソンにはぜひ読んでいただきたい一冊です。
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『悪いヤツほど出世する』ジェフリー・フェファー・著 村井章子・訳 日本経済新聞出版社
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◆目次◆
序章 リーダー教育は、こうして失敗した
第1章 「リーダー神話」は、百害あって一利なし
第2章 謙虚 そもそも控えめなリーダーはいるのか?
第3章 自分らしさ 「本物のリーダー」への過信と誤解
第4章 誠実 リーダーは真実を語るべきか?(そして語っているか?)
第5章 信頼 上司を信じてよいものか
第6章 思いやり─リーダーは最後に食べる?
第7章 自分の身は自分で守れ
第8章 リーダー神話を捨て、真実に耐える
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