【投資家は必読。】
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マッキンゼー本、ハーバード本が氾濫し、内容もそこらの自己啓発書と変わらないものが乱発されるなか、ひさびさに、読み応えのあるハーバード本が登場しました。
その名も、『ハーバード・ビジネス・スクールの投資の授業』。
そう、ハーバードなのにテーマは「投資」なのです。
著者は、2013年にハーバード・ビジネス・スクール(HBS)を成績優秀者(Distinction)として卒業した、中澤知寛氏。
現在は、デルファイ・キャピタル・マネジメントの投資プロフェッショナルとして、ニューヨークに在住されているそうです。
本書では、著者がHBS在学中に出会った、3名の若手スター教授の最新研究を元に、投資の役に立つ理論・シグナルを提供。
インサイダーである取締役の株式売却を元に株価トレンドを読む方法、決算発表日の影響、日本に多く見られる親子上場と親会社・子会社の株価のトレンドなど、じつに興味深い話が満載です。
また、ハーバード大学基金が現在注目している投資先についても言及があり、株式投資以外にも、投資のチャンスが見つかる内容です。
あまりの充実ぶりに思わず「買い」推奨ですが、納得いかない方のために、念のためポイントを示しておきましょう。
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◆機会的取引者の傾向(インサイダーである取締役のうち、シグナルとなる者の取引)
・企業の活動地域が集中しており、重役自身がその本拠地に在住している。
・重役といっても、最高責任者レベルではなく、比較的下のランク。
・ガバナンスが緩い企業に頻出。
◆ポスト・アーニング・アナウンスメント・ドリフト(PEAD)効果
企業の決算発表がネガティブ・サプライズであった場合、株価の下落は発表直後だけでなく、その後も一定期間にわたって継続する
◆金曜日効果
決算発表を金曜日にした方が、他の平日に実施する場合と比較して、後のPEAD効果が大きい
ニッチなメディアに取り上げられた情報は市場に消化されにくく、全く同じ情報が主要メディアで報道されることによってようやく株価に反映されることがある
サプライヤーとその大口顧客の関係に代表される、経済的依存度の高い二社の情報に関する市場での浸透度は、従来考えられていたよりタイムラグがある
・自社に「買い」の推奨をしている証券アナリストのみが偏って当たっている電話会議を、企業によって「キャスティング(演出)」された電話会議と呼ぶ。
・キャスティングされた電話会議の対象企業(キャスティング企業)の株式と、そのような傾向の見られない、それ以外の企業の株式のパフォーマンスを比べた場合、短期的にはキャスティング企業の株の方がパフォーマンスが良い。
・しかしながら、キャスティング企業がキャスティングを止めると、その差は逆転する。そしてその差は、年率12%に達する。
増資を控えている企業ほどキャスティングをする可能性が高い
親子上場において、親会社は、子会社が行う事業の価値が高く評価されている時に子会社を上場する(ITバブル時のIT子会社など)。子会社が上場した後の2年間の平均累積リターンは、親会社が+2
・6%なのに対し、子会社は▲8・7%となっており、子会社の株価の方が大きく下落している
ハーバード大学基金が注目する投資先として、ケース・スタディにも登場した資産があります。それは森林への投資です
株式市場と相関が弱く、かつリターンが比較的高い資産は、ハーバード大学基金をはじめとする機関投資家にとって、望ましい投資先
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アメリカと日本の違いはもちろんあると思いますが、本書で紹介されている研究結果を元にさらに研究を進めれば、きっと他社を出し抜ける「シグナル」が見つけられるはず。
これはぜひ、読んでみてください。
ひさびさに、ワクワクする投資本です。
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『ハーバード・ビジネス・スクールの投資の授業』中澤知寛・著 CCCメディアハウス
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◆目次◆
第1章 スター投資家たちの秘密
第2章 「スター投資家養成所」としてのHBS
第3章 HBSが教える投資術
第4章 HBSが教える投資術を実践する
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