【これは力作。】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4534052723
本日の一冊は、マーケティング会社を経てフリージャーナリストとして活躍中の著者が、世界を席巻する「日本のお菓子」をフィーチャーした、注目の一冊。
フランスでは大人の味として売られている江崎グリコのポッキー(現地名はミカド)や、大リーガーに受け入れられ、大ブレイク中の森永製菓ハイチュウ、アメリカのヘルシー志向が追い風となって売れているカルビーの「ハーベストスナップス」など、海外展開で成功する日本のお菓子とメーカーの試みがこれでもかというぐらい紹介されており、じつにワクワクする読み物です。
通常、日本の商品は個性がなくて退屈と言われていますが、お菓子市場に関しては、世界でもかなりのキワモノ。
最近は、空港に行っても抹茶味のチョコレートがお土産品で売られていたり、海外スーパーでは豆系のスナックが売られていたり、「日本のお菓子」は、本当に世界を席巻しつつあります。
本書は、こういった日本のお菓子メーカーの快進撃を扱ったレアな一冊で、結論から言うと、本当によく調べて書いていると思います。
意外なモノが意外な理由でウケていたり、絶対に売れそうなものがちょっとした理由で売れなかったり…。読んでいてじつに面白い。
それぞれのカテゴリーの市場規模、どこが世界の主要プレイヤーでどれだけのシェアを占めているのか、どんな味がどんな理由でウケているのか、海外ブランドとのコラボレーションの状況など、じつに詳しく書かれており、投資家目線でも申し分ない内容です。
最近調べたところによると、本書で紹介されているようなお菓子メーカーは、現在急速に海外販売比率を高めており、株価も好調です。
本書は、お菓子ビジネスの「今」を切り取った優れた読み物であると同時に、投資家にとっては良い投資指南書になるでしょう。
これは、強くおすすめしたい一冊です。
———————————————–
▼ 本日の赤ペンチェック ▼
———————————————–
3%台だった(カルビーの)営業利益率は2010年3月期には6・5%に急増した。2014年3月期は9・9%。もう食品メーカーとしてはトップクラスの域だ。グローバル企業にふさわしい数字として目標に掲げていた10%まであと少しに迫っている
アジアを除く海外では、甘く煮た豆は嫌われるのに、ただの豆はヘルシーだという理由で好まれる。ととえば、2013年に海外でグーグルを使って検索された和食のキーワードで、一番多かったのはやはり「寿司」だが、2番めは「枝豆」だった
カルビーの「ハーベストスナップス」は、アメリカの店頭では「Better for you」(健康によい食品)というカテゴリーで販売されている
長い不遇の時代を経て、ようやく「フルグラ」は花開いた。主に女性やファミリー層の支持を得て、2013年度の売上は年間95億円。2014年度は150億円。これは全売上(カルビー単体)の1割にあたる数字である
NCA(National Confectioners Association)の調べによれば、ガムやキャンディーが含まれるコンフェクショナリーの市場規模は、2013年で約336億ドル(約4兆円)。(中略)「ハイチュウ」が該当すると思われるノンチョコレート菓子や、競合するカテゴリーのガムの市場規模だけをピックアップすると、あわせて130億ドル(約1兆5600億円)(中略)アメリカには日本の約4倍もの肥沃な市場が横たわっている
陣頭指揮を取るのが、海外事業部長(森永製菓)の山下充洋さんだ。新卒でマンダムに入社し、2年目にシンガポールに赴任後、タイ、インドネシアと20年間駐在を続け、その間、1978年に誕生したメンズ化粧品ブランド「ギャツビー」をアジアナンバーワンのブランドに育て上げ、マンダムの海外売上比率を40%に引き上げた最大の功労者である
ニューヨークには安いものから高級品まで、チョコレートの選択肢が豊富にある。でも、「生チョコ」はいまのところはほぼロイズだけ
岩塚製菓のように、海外企業への技術供与という形でグローバル市場に進出している企業はほかにもある。お菓子ではないが、世界最大の即席麺メーカーに成長した「サッポロ一番」ブランドのサンヨー食品グループだ
アメリカでは「グルテンフリー」が注目株
「ターゲットにしているのは、世界のオリエンタルマーケット。アメリカの3億人の人口中、3000万人がオリエンタル系なんですよ」(丸京製菓 代表取締役社長 鷲見浩生さん)
世界最大のイスラム国家、インドネシアでは、焼きたてシュークリームの店、「ビアードパパ」が脚光を浴びている
————————————————
『「ポッキー」はなぜフランス人に愛されるのか?』三田村蕗子・著 日本実業出版社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4534052723
————————————————-
◆目次◆
第1章 看板商品でも太刀打ちできない?!
第2章 唯一無二の食感でメジャーデビュー
第3章 おもねらず、堂々とプレゼンスを示す
第4章 世界ナンバーワンの黒子となる米菓メーカー
第5章 味のローカライズで米菓を世界のお菓子へ
第6章 古参商品の再ブレイクで世界展開
第7章 「DORAYAKI」が世界共通語となる日
第8章 五感訴求型販売スタイルとフランチャイズ方式で大量出店
第9章 「おもてなし」のパッケージ戦略で活路を見いだす
第10章 ご当地戦略で本家を凌駕する
エピローグ ガラパゴス商品を愛する非ガラパゴス人の熱き想い
この書評に関連度が高い書評
この書籍に関するTwitterでのコメント
同じカテゴリーで売れている書籍(Amazon.co.jp)
お知らせはまだありません。