【危機に求められるリーダーの条件】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4106036878
本日の一冊は、イギリス戦時内閣の首相として、第二次世界大戦を勝利に導いたウィンストン・チャーチルのリーダーシップを、現役外交官である著者が論じた一冊。
チャーチルの両親や少年時代、軍人としての成功、妻クレメンティーンの横顔、さらには従軍記者・ベストセラー作家としての顔まで、よく調べて書いています。
現役外交官が書いているだけあって、当時の国際情勢や政治の裏部隊、各戦争における作戦まで詳しく書かれており、歴史ファンにとっても、興味深い一冊に仕上がっています。
ビジネス書ではないため、リーダーシップについてまとめた部分は、最後のほんの一部ですが、第二次世界大戦当時、イギリスが置かれた状況を考えながら読み進めると、チャーチルの考えや決断の基準、危機の指導者としての資質を理解することができるでしょう。
またご存知のように、チャーチルは名言家としても知られているため、本書にも彼が述べた名スピーチのエッセンスが紹介されています。
「人を導くものは、その人の良心以外にはない。そして彼の声価を守る盾となるのは、本人の行動の正しさと真摯さ以外にはない。この盾なしに人生を送ることは無分別なことである。というのは、我々は、余りにも頻繁に、希望が失われたり、計算が狂ったりすることで裏切られる運命にあるからだ」
「人類の紛争において、かくも多数の人々が、かくも多くのことを、かくも少なき人々に負ったことはなかった。(Never in the fieldof human conflict was so much owed by so many to so few)」
「権力は、威張り散らしたり、虚栄のためだけに用いられるとすれば、卑しいものと判断されてしかるべきであるが、国家の危機に際し、指導者がいかなる指示を出すべきか理解している場合には、天恵である」
偉大なる指導者、チャーチルの言葉とともに、リーダーの条件を学べる、じつに興味深い一冊。
日本の政治家にも、ぜひ読んでいただきたいものです。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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チャーチルは大勢に従うことに価値を見出さず、群れから離れて孤立することを恐れなかった
「人を導くものは、その人の良心以外にはない。そして彼の声価を守る盾となるのは、本人の行動の正しさと真摯さ以外にはない。この盾なしに人生を送ることは無分別なことである。というのは、我々は、余りにも頻繁に、希望が失われたり、計算が狂ったりすることで裏切られる運命にあるからだ」(チャーチル)
ハリファックスの理性的な思考過程からすれば、講和条件を探ってみて、受け入れられないものであれば、闘い続けることに不都合があるとは思われない。むしろ、戦いに執着することで、講和の機会を逃し、国家の生存が危ぶまれるようなことがあれば愚の骨頂である。一方、チャーチルは、劣勢の下で講和を模索し始めれば、国家の戦意を維持することが不可能であることを知っていた
第二次大戦のリーダーの中で、彼ほど機密情報に個人的関心を払った指導者は見当たらない
チャーチルは、朝起きると、大抵午前中は寝巻きのままベッドで書類を読む。昼からは、戦時閣議や軍指導部との会議が行われるが、夕方五時頃から夕食までの間は必ず午睡をとる。午睡は一日に二日分のワーキングデー(仕事日)を詰め込むための彼なりの知恵で、夕食後に再び執務に戻り、就寝は真夜中過ぎとなることが通常であった
「人類の紛争において、かくも多数の人々が、かくも多くのことを、かくも少なき人々に負ったことはなかった。(Never in the field of human conflict was so much owed by so many to so few)」(四〇年八月の下院演説で「バトル・オブ・ブリテン」で活躍する空軍兵士を讃えて)
◆危機の指導者に求められる資質
1.コミュニケーション能力
2.行動志向の実務主義
3.歴史観
指導者が危機に際して最初に取り組むべき課題は、目的意識の明確化である(中略)いかなるコストを払ってでも戦争に勝利する、という目的を明確化したチャーチルの演説は、国民の迷いを払拭し、その総力を結集する上で計り知れない意味を持った
「権力は、威張り散らしたり、虚栄のためだけに用いられるとすれば、卑しいものと判断されてしかるべきであるが、国家の危機に際し、指導者がいかなる指示を出すべきか理解している場合には、天恵である」(チャーチル)
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『危機の指導者チャーチル』冨田浩司・著 新潮社http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4106036878
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◆目次◆
第一章 生き急ぐ若者
第二章 はしごと行列―チャーチルの政治観
第三章 パグ犬と子猫ちゃん―チャーチルの夫婦愛
第四章 ダーダネルスの亡霊―軍事戦略家としてのチャーチル
第五章 迫り来る嵐―チャーチルと歴史
第六章 一九四〇年五月―運命の月
第七章 「即日実行」(Action This Day)―戦争指導者チャーチル
最終章 指導者とは
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