2006年9月4日

『J.D.パワー顧客満足のすべて』

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478375208

本日の一冊は、顧客満足度調査の世界的機関、J.D.パワーの膨大な
調査結果から、顧客満足度と企業の収益性の関係、顧客満足度に影
響する要因などを明らかにした、注目の一冊です。

あらゆるビジネスがサービス化に向かうなか、顧客満足やその結果
としてのクチコミ、あるいはクレームは、企業の存在基盤を揺るが
す一大事になっています。

それに伴い、ビジネス書の世界でも数多くのサービス本が登場し、
ベストセラーとなっていますが、厳密なリサーチに基づいた書籍は
ごく少数。そういう意味で本書は、これまでの書籍と一線を画す、
貴重な情報源と言えるでしょう。

本書が優れているのは、顧客満足やクチコミ、クレームなどを絶対
的な価値として扱っていない点。

本書によると、「顧客満足はロイヤルティの重要な一要素ではある
が、それだけで顧客がひいきを続けてくれるか、逃げてしまうかが
決まるわけではない」。また、クチコミも、それが有効かどうかは
条件による、というのです。

このように理性的な分析を加えてはいますが、結局のところ顧客満
足は重要、というのが本書のメッセージ。

実例では、顧客満足度を高め、収益と顧客の支持、両方を獲得した
さまざまな企業の例が紹介されています。

基本的には顧客満足に関する論考ですが、ノウハウ書としても使え
る部分が多数あります。

マネジメントが、サービスにかかわる人材を採用するとき、どうす
るか、どうやって顧客との約束を守るかなど、今すぐ使えそうなア
イデアが満載です。

企業規模の大小に関わらず、経営者の方は、ぜひ読んでみてください。

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■ 本日の赤ペンチェック
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「期待に満たない良は良ではない」(トーマス・フラー)

顧客をつなぎとめておける可能性は、既存顧客が乗り換えることの
できる競争相手の数に直接関係する

スイッチング・コストでは、経済的コストよりも、別のブランドや
よく知らないブランドへの乗り換えに伴う「手間」や「リスク」が
大きなウェイトを占める

購買の頻度もスイッチング・コストに関連する。ある商品と短期間
しかつき合わなくて済むなら、思う存分、冒険して大丈夫だ

クチコミが「極めて重要」かどうかは、次の問いによって判断できる
・それは大きな買い物か
・意思決定を行えるだけの十分な公開情報を事前に収集できるか
・どれくらいの頻度でその商品やサービスを購入したいと思うか

刺客(不満を言ってまわる客)が自分の不愉快な経験を人に話す傾
向は、推奨者が良好な経験を人に話す傾向よりも50%高い

ブレーブスが集客上の問題を抱え、レッドソックスがトップの集客
力を誇るのは、そこに顧客満足の重要な要素、つまり「期待」が働
いているからだ

顧客満足度スコアをまちがいなく下げるもの、それは約束のしすぎ
と不履行だ

◆果たされない約束の根本原因を排するための3つの問い
・その約束は企業が承認したものか、それとも従業員個人が権限な
 しでしたものか
・その約束は十分な顧客満足が得られるという誠意ある確信の下に
 なされたものか、それとも顧客の期待を満たさないとわかってい
 てなされたものか
・その約束は見込み客への売り込みの一環としてなされたものか、
 それとも既存顧客に対してなされたものか

スコアの高い企業は、一時の売上げ拡大のために、自社の未来や名
声を賭けようとは思わない

人生のすべてについて言えることだが、勝ち組はいつでも、短期的
な採算性と長期的な顧客満足による便益をバランスさせる方法を見
つけている

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『J.D.パワー顧客満足のすべて』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478375208
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■目次■

1.顧客満足は利益の源泉
2.意思なきところに道はない
3.顧客ロイヤリティはなぜ重要か
4.業績不振の本当の原因
5.推奨者、無関心者、そして刺客
6.顧客接点は一様ではない
7.期待の先に満足はある
8.約束しすぎが失望を招く
9.トップの意思を伝える
10.業界の常識を破れ
11.人材採用のコツ
12.従業員の判断に任せる
13.災い転じて福となす法
14.コミュニティの形成とファンの育成
15.オンライン経験をコントロールする法
16.本末転倒に注意せよ
17.VOC経営こそ企業成長のカギ

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