http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492800743
本日の一冊は、科学技術ジャーナリストの赤池学さんが、自然に学ぶものづくりの心得と、現在の各企業、研究機関の取り組みを、詳細にレポートしたものです。
植物や昆虫、微生物、生態系のもつ力と、その無駄のない生産のしくみを明らかにし、それを人間がどう活かすべきか、示唆に富んだ議論を展開しています。
環境に配慮したモノづくり、というだけではなく、経済的かつ画期的機能を持つ商品開発への期待が、本書にはあふれています。
著者によれば、「自然に学ぶものづくり」とは、先人たちが既に実践していたことであり、現在のモノづくりも、原点はそこにあります。
本書は、その原点回帰の必要性と、これからわれわれが取り組むべき課題を明確にした、という点で、意義のある本だと思います。
モノづくりに携わる方、最先端のナノテクノロジーに興味のある方は、ぜひ読んでみてください。
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■ 本日の赤ペンチェック
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◆バイオミミクリー(自然の模倣)の3段階
1.パターンとしての自然の形態の模倣
2.プロセスとしての自然の挙動の模倣
3.エコシステムとしての自然生態系の模倣
◆バイオミミクリーの9つの基本原則 ※一部紹介
・自然は、余分なエネルギーを使わない
・自然は、形態と機能を調和させる
・自然は、すべてのものをリサイクルする
・自然は、協力するものに報いる
今までにも昆虫の足や関節の動きなどをまねたロボットは開発されてきたが、現在では、脳や神経、ホルモンの働きを参考にして、ロボットを動かす新発想の中枢の開発が進んでいる
生物資源は、育てて使い、循環させていくことができるというところに一つの大きな価値がある。伝えられてきた生物資源の利用技術を、現代の社会システムの中でどう活かしていくか、改めて問い直す時を迎えている
製品自体がいくら環境にやさしいといわれるものであっても、環境負荷の高い設備をわざわざつくり、大きなエネルギーをかけて製造するのではまったく意味がなくなる
異分野を学ぶことは、研究に思いがけない効果をもたらします。高分子科学を見ても、大業績を上げている人は専門の研究だけを近視眼的に進めているのでなく、必ず異分野に学んでいます
時間的あるいは空間的な拡がりや力学的な体感がまったく異なる世界で生きている生物は、われわれの想像もつかないような方法で環境と関係し、さまざまな問題解決を図っている。その方法は、自然によく適応した方法と考えられ、それをわれわれの世界でも使うことができれば、画期的な問題解決法となるに違いない
ある分野の専門家になってしまったら、別の分野に移って初心者になる。そしてこんなとき、発想のヒントとなるのは「自然」なんです
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『自然に学ぶものづくり』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492800743
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■目次■
序章 今なぜ、自然に学ぶものづくりなのか
第1章 「人間力」――生物を観る、知る、創る未来に向けて
第2章 「植物力」――自然を活かすバイオマスビジネス
第3章 「昆虫力」――インセクトテクノロジーの台頭
第4章 「微生物力」――自然に学ぶライフサイエンスの未来
第5章 「地球力」――命を育む地球生態系に学ぶ
第6章 「再びの人間力」――自然に学ぶ子どもたちを生み出すために
終章 自然に学ぶものづくり、日本から世界への発信
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