本日の一冊は、元ニューヨーク市警のNo.1ネゴシエーター、ドミニク・J・ミシーノによる、交渉術の本です。
ニューヨーク市警在籍中に、人質の解放や自殺志願者説得、ハイジャック事件の解決など、さまざまな交渉に携わり、華々しい成功を収めた著者ですが、現在はフォーチュン500企業の「交渉コンサルタント」として、セミナー活動などを行っているようです。
本書では、その著者が、ニューヨーク市警在籍中のスリリングなエピソードを交えつつ、交渉の鉄則について語ってくれます。
著者が現場で培った交渉術が、ビジネスでも役立つのかどうか。さっそく内容のポイントを見て行きましょう。
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■ 本日の赤ペンチェック
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うまく交渉を成し遂げようと思えば、力ずくの勝負は無用だ。力に訴えるのは多くの場合、単にメンツをつぶさぬよう、交渉をあきらめたことを隠す方法にすぎない。
人質交渉役を補佐するSWATのような「後ろ盾」は必ず用意しておくべきだ。すなわち日常やビジネスの交渉における実行可能な代案だ。
◆「交渉」「記録」「決定」3つの役割が交渉の結果を決める
1.交渉役は決定を下さない
2.決定を下す者は交渉を行なわない
3.他の仕事に首を突っ込まない
※1人でも、3つの役割を常に忘れない
◆役割分担を防ぐために相手が取り得る戦術
1.自尊心に訴えるやり方
2.期限の設定
新聞記者から聞くところによると、取材を行なう場所は、新聞社よりも本人の自宅が好ましいそうだ。慣れた環境は人の気持ちを楽にし、警戒心を緩める→くつろいだ環境で人はより理性的になる。
◆どんな交渉にも共通する形
信頼関係を築き、情報を集め、交渉に臨む
◆交渉の基本原則
「うそをつかない」「約束をしたら必ず守る」
「尋ねない限り、答えは出てこない」
◆「話を聞かせてくれ」は、あらゆる交渉で最も使える言葉だ
会話を進めるもう1つのテクニックは、ちょっと話を中断してみることだ。新聞記者や警察の捜査員たちは、大半の人間は会話が長く途切れたり、沈黙が続いたりするのを嫌がる、と教え込まれる。
私は人質交渉で、簡単だが効果的な質問をして信頼を築く。「あなたは私に誠実であって欲しいか?」というものだ。この答えが最初のイエスとなり、交渉に必要な信頼関係を築くきっかけとなる。
◆交渉役が譲歩できないポイント
・人質犯には銃を渡さない
・人質の数を増やさない
・刑務所あるいは拘置所にいる者の釈放を認めない
◆交渉において重要な教え
・尋ねない限り、答えはわからない
・戦術には柔軟に、目標には頑なに
・自尊心に囚われれば失敗する
・「ノー」という選択があれば、強い立場をキープできる
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最初は装丁を見て、読むのを止めようと思っていたのですが、この本、おもしろいです。人間の感情にまで踏み込んだノウハウは、さすがNo.1の交渉人、といったところです。
というわけで、本日の一冊は、
『NYPD No.1ネゴシエーター最強の交渉術』
http://tinyurl.com/6m7oa
です。さらりと読めてためになる、なかなかいい本だと思います。
■目次■
Introduction 人生は交渉がすべて
Chapter 1 言葉こそ、銃に勝る最強の武器である
Chapter 2 最も単純で最も大切なルール
Chapter 3 犯人には銃を与えない
Chapter 4 あらゆる交渉に通じる3つの局面
Chapter 5 銃よりも口、口よりも耳を使え
Chapter 6 最初のイエスは、こうつかめ
Chapter 7 「要求」と「期限」は使い方しだい
Chapter 8 キープ・クール
Chapter 9 欲しいモノを手にするための切札
Chapter 10 カモにはされるな!
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