本日の一冊は、心理学を使って、自分自身が向上するための本です。人間が陥りやすい誤った思考、本書で言うところの「心の牢獄」から抜け出すためのヒントが、40問の心理テストと併せて示されています。
著者は、ジョン・ウェアラム。世界最大級の刑務所、ライカーズ・アイランドにて受刑者向けの講座を持ち、数多くの囚人たちを更生させた実績の持ち主で、本書の内容のほとんどは、囚人たちとのやり取りが中心となっています。
また、一方で、ビジネスパーソン向けにも指導しているようで、フォーチュン誌が選ぶトップ企業500社をはじめ、一流企業を相手に「人間行動」に関するセミナーも行っているようです。
なぜわれわれが同じ失敗を繰り返してしまうのか、その理由を心理学的に説明しようというのが、本書の試みです。
では、実際にどんな内容が記されているのか。さっそくポイントを見て行きましょう。
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■ 本日の赤ペンチェック ※本文より抜粋
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いろいろな人がアドバイスをくれる。でも聞く側に真剣にアドバイスを受け入れる準備ができていない限り、何も聞こえてこない。いつまでたっても現実はつらい世界のままなんだ。
(心の牢獄に)内側からカギをかけたのも、看守をしているのも君で、そこから抜けだせるかどうかも君次第だ。
牢獄から出るためには、まず、なぜそこに入ったのかを理解しなければなりません。同じ失敗を繰り返す人はみな、心の牢獄に入っています。
■牢獄の罠――心の牢獄に入っている人はいずれかにはまっている
1.欲求
2.チャンス
3.言いわけ
■あなたを押さえつけている三つの見えない鉄球
1.劣等感
2.使い古しの問題解決法
3.非現実的な価値観
■劣等感の囚人――生きる能力に自信がない人に欠如しているもの
1.人生の試練に対する自尊心
2.経済的自立に対する自尊心
人は、明らかに間違いを認めなくてはいけないときにも、自分は正しいと信じてしまう
人は子どもの頃から愛を見つけるための試行錯誤のなかで、ある行動パターンを作りだし、それを自分の「問題解決法」として身につけていきます。(中略)多くの大人が古くて使えなくなった問題解決法に囚われたまま、過去に生きているのです。
(心の牢獄から)抜け出すには、まず態度を意識的に変えなくてはなりません。自分はもしかすると完全には目を覚ましていないかもしれないという考えを受け入れることです。
■目覚めるための4つのA
・Attitude(態度)……問題の核心を疑う
・Analysis(分析)……これまでの人生を振り返る
・Answers(答え)……苦悩や不幸のもとを探す
・Action(行動)……人生に変化を起こす
自分の行動の意味を真剣に考えるべきです。そうすれば勝利に導いてくれると思いこんでいた誤った習慣を放棄し、そして本当の自分に近づけるのです。そうして初めて幸せが近づいてきます。
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途中までは、囚人たちの例を挙げながらの人間心理の話で、興味深く読み進めていたのですが、後半からは、なぜかよくありがちな自己啓発書の内容になってしまい、正直、中途半端な印象でした。「心の牢獄」に関してはいくつも研究成果が出ているだけに、非常に残念です。
というわけで、本日の一冊は、
『なぜあなたは同じ失敗をしてしまうのか』
http://tinyurl.com/3jxgb
です。わかっているのにいつも同じ失敗をしてしまう人、つい感情的になって、失敗を重ねてしまう人には、いいかもしれません。
■目次■
序文 いつも同じ失敗をしてしまうあなたへ
パート1 あなたが同じ失敗をしてしまう理由
パート2 思いこみから自由になると、可能性がいっきに広がる
パート3 行動パターンがわかれば、失敗を避けられる
パート4 感情をコントロールできれば、人生が変わる
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