本日の一冊は、ベストセラー『経営は「実行」』のラリー・ボシディ、ラム・チャランによる、注目の最新刊です。
参考:『経営は「実行」』
http://tinyurl.com/6bjf6
ボシディは、かつてGEでジャック・ウェルチの右腕を務め、その後、アライド・シグナルとハネウエルの歴史的合併を成し遂げた、伝説の経営者。ラム・チャランは、ハーバード・ビジネススクールの元教授です。
実務家と学者の共著により、前著同様、理論と実践のバランスが取れた一冊に仕上がっています。
そして今回のメッセージは、タイトルにもある「現実をつかまえろ!」。
現実を正しく認識せずにウォルマートにしてやられたKマートや、ガースナーが再生に着手する前のIBMなど、豊富な失敗例・成功例をもとに、主張を展開しています。
視野狭窄や現実逃避の罠に陥りがちな経営者にとっては、現実を見つめることの重要性と、現実を正しく把握するための考え方や手法を説いた、見逃せない一冊です。
では、さっそく今日のポイントを見て行きましょう。
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■ 本日の赤ペンチェック
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ビジネスに携わる人々はみずからを現実主義者だと思いたがるが、実際には希望的観測をしたり、現実を否定したりするなど、現実逃避の姿勢が企業文化に深く根づいている。
◆現実を直視できない要因
1.篩(ふるい)にかけられた情報
2.情報の選り好み
3.希望的観測
4.恐れ
5.過剰な思い入れ
6.資本市場の現実離れした期待
現実直視の組織をつくるには、開かれた心、たゆまぬ好奇心、複雑なものを整理する能力、他人を説得する能力、そしてこれらすべてを結びつける能力、心の内なる強さ――勇気が必要だ。こうした資質がなければ、リーダーとはいえない。べつの職を探したほうがいい。
事業計画では、最初に戦略を示すのが一般的だ。これまで数多くの戦略を見てきたが、多くは詳細で複雑で大量のデータが盛り込まれている。ところが、外部環境や、その環境下での財務目標の妥当性、目標達成に必要な組織の能力について、おなじくらい詳細に分析したものはめったに目にすることができない。
◆ビジネスモデルの三要素=「外部の現実」「財務上の目標」「社内活動」
◆外部の現実を評価する際の4つの視点
1.幅広い事業環境
2.業界全体と各企業の業績の推移
3.自社の顧客基盤
4.根本原因の分析
いかにカネを稼ぐかを本能的に判断する基礎にある基本的な方法がいわゆるビジネス感覚だと主張したい。ビジネス感覚とは、ビジネスモデルを構成する三つの要素のあいだで本能的にトレードオフを繰り返し、それらを具体的な行動に結びつけ、顧客、株主、従業員のために価値を生み出すことだ。
市場への新規参入者、新技術、規制当局の動向など、大きな変化になりうるものを早期に知らせる兆候を把握しなければならない。重要なのは、ばらばらのデータや出来事からパターンを読み取り、長期的なトレンドを一時的な熱狂や流行と区別する能力だ。
顧客の欲求やニーズをこれまでより正確に把握し、顧客がどれだけ支払うかを理解し、そこからさかのぼって考える。そうしてはじめて、実情に合った市場のセグメント化ができ、顧客が好む要因の組み合わせを決め、顧客が違いを実感できるようになる。
変化への対応力が大きい企業ほど、ビジネスモデルを調整できる余地が大きいといえる。リーダーであれば、ビジネスモデルが実行可能であることを確認しなければならないが、それで終わりではない。自社の変化への対応力を高めなければならない。組織に柔軟性をもたせ、つねに変化に対応できる体制づくりの必要性が高まっている。
◆リーダーがイニシアチブを主導する際の要件
1.イニシアチブの本質を身につける
2.時間とエネルギーを注ぐ
3.導入にあたって適切な人材を選ぶ
4.勇気をもつ
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事例が豊富で、アメリカのここ数十年の経営環境やトレンド、代表的経営者の名前に触れているため、資料としても価値があります。
というわけで、本日の一冊は、
『いま、現実をつかまえろ!』
http://tinyurl.com/3nyr3
です。経営者、マネジャーの意識を高めてくれる、そんな一冊です。
■目次■
はじめに 過去との決別
第I部 なぜビジネスは計画どおりにいかないのか
第II部 いかにして現実に立ち向かうか
第III部 何を変え、何を変えてはいけないか
第IV部 変化にいかに備えるか
おわりに ジェインへの手紙
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