【謹賀新年】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492581057
2015年、あけましておめでとうございます!
新年一発目の本ということで、やはりここは未来志向の本を紹介。
ご紹介するのは、コーネル大学工学准教授のホッド・リプソン氏と、テクノロジーに詳しいライター兼ブロガーのメルバ・カーマン氏が書いた、メイカーズムーブメントの先にある世界。
3Dプリンタが世界を変えるという話は、既にクリス・アンダーソンのベストセラー『MAKERS』で紹介されていますが、本書はその3Dプリンタの「今」と、その先にある産業、ビジネスを活写した内容です。
※参考:『MAKERS』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4140815760
・3Dプリンタは、いつか究極のFAX機になる
・人口のミニ臓器は、経験の浅い外科医の訓練に役立つ
・市販されている主なプリンタのひとつであるメイカーボット社のレプリケーターは、「フロストルーダー(Frostruder)」という追加部品を取り付けてフードプリンタにすることができる
食べ物までがプリントされてくる、というのは何とも奇妙な世界ですが、著者はこのフードプリンティングを専門とする方なので、この部分はかなり詳しく書かれています。
また、高度な形をスキャンすることの大変さ、知的財産権の問題、ドラッグや武器の複製問題など、3Dプリンティングの課題についてもきっちり押さえられています。
そして、ほとんどの方にとって重要なのは、この3Dプリンタの普及によって、実ビジネスがどう変わるかという話。
・規模の経済はもはやビジネスモデルを決定しない
・経験経済では、採算性の高い、成功を収める企業は、顧客に経験や変身をもたらす製品や商品を売る企業
・3Dプリンティングによって、人々は本業を続けながら、自分が創作した新製品の市場可能性を探ることができる
など、メイカーズムーブメントの先にあるビジネスの変化、社会の変化を予言しており、こちらはぜひ読んでおきたいところです。
ぜひチェックしてみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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そう遠くない未来、人々は生体組織、栄養を調整した食品、もとから完全に組み上がった電子部品を3Dプリントしているだろう
3Dプリンタは、いつか究極のFAX機になるだろう。バーチャル世界と現実世界との区別が真になくなったら、物を別の場所へFAXするのもわけなくできるはずだ
3Dプリンタはドアとそれに付いた蝶番とを一度にプリントでき、組み立てが要らなくなる
金属を出力する3Dプリンタは、従来の金属成形技術に比べ、ゴミになる副産物を出さない。金属の機械加工はきわめて無駄が多い。元の金属のおよそ九〇パーセントが、削られて工場の床に落とされるからだ
3Dシステムズの消費者製品担当副社長ラジーヴ・クルカルニによれば、消費者を呼び込むために、3Dプリンティング業界には、3Dスキャンからデザイン、プリントに至るまでの製造のサイクルの全体にわたるプラットフォームが必要だという
ありふれた量産品と違い、3Dプリントによる特注タイヤは小ロットで作れる。こうした注文生産のタイヤには、所有者の名前を反転文字で誇らしげに刻み込むこともでき、そうすると砂や雪に名前の入ったわだちが残る
規模の経済はもはやビジネスモデルを決定しない。一個作るのも一万個作るのも、部品一個あたりのコストは変わらなくなるからだ
変身をもたらす製品は、顧客に根本的な変化を与え、ポジティブな長期的影響をもつようなメリットを生む。たとえば、大学の学位、二か月ぐらいのサマーキャンプ、新しいスキルの獲得などだ(中略)経験経済では、採算性の高い、成功を収める企業は、顧客に経験や変身をもたらす製品や商品を売る企業となる
生体の軟骨の3Dプリントは可能だが、うまくプリントできるだけではまだ半分が終わったにすぎない。重要な第二の難題が解決できていないのである。われわれの関節は、酷使されるようにできている。人口の軟骨は、鍛えられて強くならないと、だれかの体に移植できるようにならない
3Dプリントでできた人口のミニ臓器は、経験の浅い外科医の訓練に役立つ
市販されている主なプリンタのひとつであるメイカーボット社のレプリケーターは、「フロストルーダー(Frostruder)」という追加部品を取り付けてフードプリンタにすることができる
RepRapのオープンソースの3Dプリンタは、プリンタ本体を構成する非標準的な部品の大半を作れるため、それ自体の複製を誘発し、知的所有権のパラダイムに課題を突き付けている
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『2040年の新世界』ホッド・リプソン、メルバ・カーマン・著 東洋経済新報社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569820956
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◆目次◆
第1章 なにもかもSFになる
第2章 ほとんどなんでも作れるマシン
第3章 デザインと製造の変革:良い、速い、安い
第4章 明日の仕事と経済はどう変わる
第5章 層を積み上げる:機械的な仕組み
第6章 次世代のデザインソフトを求めて
第7章 「生体インク」でバイオプリンティング
第8章 食のデジタル:フードプリンティング
第9章 教室のなかの工場:新しい学びの扉が開く
第10章 新たな美:制約からの開放
第11章 グリーンでクリーンなものづくり
第12章 所有権、安全性、法律のニューフロンティア
第13章 未来をデザインする発想とツール
第14章 この先に何が起こるか
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