【これはやられた。珠玉の経営者インタビュー。】
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本日の一冊は、20万部突破のベストセラー『ストーリーとしての競争戦略』の著者が、日本を代表する経営者14人に「好き嫌い」を尋ねた、異色のインタビュー集。
※参考:『ストーリーとしての競争戦略』
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ちなみに14人というのは、以下の方々です。
01 永守重信 「何でも一番」が好き
02 柳井正 「デカい商売」が好き
03 原田泳幸 「雷と大雨とクライシス」が好き
04 新浪剛史 「嫌いなやつに嫌われる」のが好き
05 佐山展生 「偉そうにする」のが嫌い
06 松本大 「小トルク・高回転」が好き
07 藤田晋 「今に見てろよ!」が好き
08 重松理 「一番好きなことを最初にやる」のが好き
09 出口治明 「活字と歴史」が好き
10 石黒不二代 「理系のギーク」が好き
11 江幡哲也 「図面を引く」のが好き
12 前澤友作 「人との競争」が嫌い
13 星野佳路 「スキーと目標設定」が好き
14 大前研一 「実質を伴わないもの」が嫌い
15 楠木建 なぜ「好き嫌い」なのか?
「好き嫌いを尋ねると経営の何がわかるのか?」と好奇心でワクワクしながら読んだところ、これが「大当たり」。
本書を読んでわかったことは、「好き嫌い」こそが経営や戦略の根幹にある、ということです。
これをもうちょっと理論的に述べた話があとがき的にまとめられた15章、なぜ「好き嫌い」なのか? にあるので、ご紹介しましょう。
<組織能力という視点から企業文化を考えると、それは競争優位と深く関係している。そして、経営者の価値注入的なリーダーシップがその企業文化の形成に重要な役割を果たしているとしたら、それはまさに経営者の「好き嫌い」が企業文化にも少なからず影響を及ぼしているということです(楠木)>
本書で述べられた「好き嫌い」には、経営者たちの仕事やプライベートの優先順位、判断基準、哲学が表現されていて、じつに勉強になります。
好き嫌いが企業を創り、人を集め、商品を作る。そしてそれにまたお客様が集まってくる…。
著者があとがきで言っているように、「ブラックかホワイトか」ではなく、「ピンクかブルーか」で論じられれば、ビジネスはもっと楽しくなるに違いありません。
最近は、人材難で苦しんでいる企業が多いのですが、そういう企業の経営者には、きっとこの「好き嫌い」が欠けているのでしょう。
自社の「好き嫌い」を考えることで、ビジョンや戦略のヒントが見えてくる。そんな不思議なビジネス書です。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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「行ってきます」と玄関を出た瞬間から、家族のことも家のことも、全部忘れます。今の家内となぜ一緒になったかというと、結婚相手に求める条件にピタッと合ったからですよ。条件の1つ目は、自分は事業を起こすから、家のこと一切を任せられる女性。2つ目は、食べることだけが楽しみだから、料理がうまい女性。この条件が揃ったのが家内です(永守)
タクシーでも何でも、とにかく自分が価値を認めないものにお金を費やすことほどの無駄はない。僕が一番嫌いなのは、身分不相応のことをやること。これは死んだ母親の教えです(永守)
小売りがメーカーさんに対してあまりにも強く出ているところは実にイヤですね。結局、売れるかどうかはお客様で決まります。お客様が選ぶのであって小売りが選ぶわけではない。だからローソンに来た当初、商品本部が威張っているのを見たときはコンチクショウと思ったし、大嫌いでしたね(新浪)
人生でどちらの道に行くかを決めるとき、「うまくいくか、いかないか」で決める人がいますし、たぶん、それが大半でしょう。私はそこがはっきりと違っていて、「もしもうまくいったら、面白いかどうか」で決めています(佐山)
親父は下町生まれで、体制とかあらかじめ認められている大きいものが大嫌いなのです。僕が幼稚園に通っていたとき、何かで親父に怒られましてね。なぜやったんだと聞かれて、「先生がいいって言った」と言い訳をしたら、親父は幼稚園児の僕に激怒したんですよ。「おまえは教師が人を殺せと言ったら人を殺すのか!」って。その影響ですかね。逆に大きなものにチャレンジするのは好きで、たとえば本田宗一郎さんが大好きです(松本)
嫌いの最たるものが結婚式だから。翌日からガス代も払えないような奴が、ぜいたくな所で、似つかわしくない褒め言葉を2時間も座って聞いているという図は、絶対的に嫌いですよ。結婚式に呼ばれたとたん、「あ、その日はちょっと都合が悪い」と断ります(大前)
エネルギー保存の法則ではないですが、位置エネルギーを求めだすと、運動エネルギーはなくなってくると感じます(楠木)
組織能力という視点から企業文化を考えると、それは競争優位と深く関係している。そして、経営者の価値注入的なリーダーシップがその企業文化の形成に重要な役割を果たしているとしたら、それはまさに経営者の「好き嫌い」が企業文化にも少なからず影響を及ぼしているということです(楠木)
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『「好き嫌い」と経営』楠木建・著 東洋経済新報社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492533443
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◆目次◆
01 永守重信 「何でも一番」が好き
02 柳井正 「デカい商売」が好き
03 原田泳幸 「雷と大雨とクライシス」が好き
04 新浪剛史 「嫌いなやつに嫌われる」のが好き
05 佐山展生 「偉そうにする」のが嫌い
06 松本大 「小トルク・高回転」が好き
07 藤田晋 「今に見てろよ!」が好き
08 重松理 「一番好きなことを最初にやる」のが好き
09 出口治明 「活字と歴史」が好き
10 石黒不二代 「理系のギーク」が好き
11 江幡哲也 「図面を引く」のが好き
12 前澤友作 「人との競争」が嫌い
13 星野佳路 「スキーと目標設定」が好き
14 大前研一 「実質を伴わないもの」が嫌い
15 楠木建 なぜ「好き嫌い」なのか?
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