2014年6月30日

『経営参謀 戦略プロフェッショナルの教科書』稲田将人・著 vol.3632

【マッキンゼーのマーケティングノウハウを小説で学ぶ】
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本日の一冊は、大好評を博した経営実践小説、『戦略参謀 経営プロフェッショナルの教科書』の待望の続編。

著者は、マッキンゼー出身のコンサルタントで、アオキインターナショナル、日本コカ・コーラ、ワールド、卑弥呼などの経営改革に携わった稲田将人氏。

※参考:『戦略参謀 経営プロフェッショナルの教科書』
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第2弾を売りたいという版元の思惑からか、タイトルが紛らわしいのですが、前回が戦略編、今回がマーケティング編とすれば、わかりやすいでしょう。

今回も、主人公はアパレル業界に勤務する高山昇君(30歳)。

郊外型紳士服チェーン「しきがわ」で改革を成功させた主人公が、レディースブランドを複数展開するグローバルモード社に転職し、低迷するブランドをマーケティングの力で救う、という内容ですが、そこが簡単に行かないのが組織の不条理というもの。

前回同様、複雑な人間関係が高山君の活躍を阻み、それを経営コンサルタントの安倍野氏が協力して乗り越える、というストーリー展開になっています。

高山君に恋心を抱く中丸美香、ニヒルなキャラながら、じつは人情に厚い鬼頭亘など、脇役のキャラが立っているのも特長でしょう。

マッキンゼー出身の著者だけに、マーケティングリサーチの基本や、マーケティング戦略立案のポイントがきちんと押さえられており、小説とは思えないほど「濃厚」な一冊です。

小説とはいえ、読み抜くにはそれなりのビジネス力が必要かと思われますが、『経営参謀』としての自分の実力を知るには、良い教材かと思います。

力試しと思って、ぜひ読んでみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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小売業や消費財事業の不振状態は、市場とのかい離から起こる

◆差別化の3要素
「価格」「利便性」「何か楽しいもの」

会社が成長すると、事業規模が大きくなって分業が進み、最後に社長業をいかに分業するかが重要な課題になる

「本来、目指すところは全く同じなのだが、卸業出身の会社は、売れ筋を追いかけ、そして死に筋を素早く効率良く換金し、商品におけるROI(Return On Investment:対投資収益性)を最大化するという商品管理の考え方をする。つまり仕入れに対していかに得られる粗利益高を最大化するかという、いわゆる『商品経営』の視点を取る」

働いている者、一人ひとりの人生を輝かせるのが企業の使命じゃないのか

「トップの方が何らかの理由、そうですね、『昔、貢献してくれたから』『不憫だから』『自分になついてかわいいから』などと、能力の乏しい方を側近において、特別扱いした時によく起きることです。せっかくの温情に感謝はするものの、『会社に貢献する努力』よりもコンプレックスゆえに『保身』を優先させる輩が出てくるものです」

「現実的には御社のように、トップに近い誰かの思惑に翻弄され、実はマネジメントに必要な環境が破壊されている事が低迷の根幹ということがあります。御社の場合はその典型的な事例ですよ」

王は自分のナンバー2を育てようとするものですが、そのナンバー2が力をつけてくると、今度は自分の地位を脅かす存在として殺してしまう。このような例は歴史において枚挙にいとまがありません

「『将の器』という議論の際には、器の大きさの話が出るものだ。しかし、僕が常々実感するのは、その際に問われるべきは、大小よりも『固いか、柔らかいか』だ」

「常に『お天道さまが見ている』ような正しい圧がかかる環境にあり、しかも器が柔らかくなる必然性でもないと、人はなかなか変わらないものだよ

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『経営参謀 戦略プロフェッショナルの教科書』稲田将人・著 ダイヤモンド社
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◆目次◆

第1章 商売繁盛のサイクル
第2章 市場が求めるものをプロファイリングせよ
第3章 市場を攻めるということ
第4章 戦略完成
第5章 表面化する思惑
第6章 新業態成功、そして改革の行方
第7章 経営者としての最終判断
第8章 現実を受け入れ、未来に目を向ける

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