2007年1月25日

『ダイナスティ』

【】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569657087

本日の一冊は、世界的ベストセラー『「強国」論』の著者であり、20世紀最大の歴史家の一人と称されるデビッド・S・ランデス教授が、世界のファミリー企業の歴史とその裏に隠されたドラマをつづった一冊。

※参考:『「強国」論』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4837955800/

ロスチャイルドやモルガン、フォード、ロックフェラーといった世界を代表するファミリー企業の研究を通じ、企業の繁栄、そして衰亡の原理を導き出しています。

創業者の人間性や哲学、それを継いだ者たちの貢献と失敗、金や自尊心をめぐる争いなど、ファミリー企業の歴史を、限られた資料を駆使しながら鮮やかに記述しています。

なぜファミリービジネスが高収益を上げられるのか、それを維持するために先人たちは何を子孫に引継ぎ、どんな教育を施したのか。

企業の繁栄の法則を学べるのはもちろん、家族のあり方を考える上でも参考になる一冊です。

ちょっと分厚い本で、読むのに骨が折れますが、いろいろと気づきが得られる一冊です。ぜひ読んでみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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世界の企業の大部分は今でもファミリー企業(中略)経済誌『フォ
ーチュン』が毎年掲載する売上高上位五〇〇社(フォーチュン500)
の三分の一はファミリーの経営か、創業者の家族が経営に参加

逆境のなかで不屈であることこそ、ダイナスティを支える力である

家族経営の企業の利点としては、血統がヒエラルキーを決定し、地
位や出世競争などによる「共食い」が起きないことである。幸か不
幸かモルガン家の場合は今では三つの分家にわかれ、さらにロンド
ンは分割された。そして結局は個々人の方針によって、グループの
前向きの意思が決定される

ふたりの息子が大学で工学を専攻したことが、トヨタの成功だけで
なく、世界の自動車産業の歴史に大きな影響を与えることになる

ジョン・Dはマックス・ウェーバーが指摘するように、社会的責任
倫理を重視するプロテスタントの禁欲的企業家の典型とされた。彼
の人生の目的は誠実に金を儲け、そしてできるだけ賢明に金を使う
ことだった。富の追求は聖なる神の使命であり、そのために慈善と
博愛と徳に尽くさなければならない。ジョン・Dにとって富は恩寵
のしるしであり、貧困は天の非承認のあかしである。神が望むから、
自分は豊かでなければならないと信じていた

ロックフェラー家の子どもたちは大きくなるまで家の財産を知らさ
れず、ジョンJrは父親と同じように姉の古着を着せられた。子ども
たちは学費の高い私立校に通ったが、これが特別の教育とは思わな
かったし、子どもたちは父親の態度から家族の財産や地位に気づく
ことはなかった

ファミリー企業は非同族企業より、明らかに優れた点がある。ファ
ミリー企業にとって戦略的に最大の利点は、その血統にある。その
生産性は別にして、財務や債務に関して機密を保持できることである

ファミリー企業は、一族が多産かどうか、その生命の再生産能力に
かかわるところが大きい

ファミリー企業が成功できるような国としては、遺産相続に関する
法律、税制、つまり自分のあげた収入を自分のものにでき自分で管
理できるような、ダイナスティにとって有利な制度を持つ国である

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『ダイナスティ』
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■目次■

プロローグ
ベアリング家
ロスチャイルド家
モルガン家
フォード家
アニェッリ家とフィアット
プジョー、ルノー、シトロエン
トヨタ
ロックフェラー家
グッゲンハイム家
シュルンベルジェの物語
ウェンデル家
エピローグ

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