2005年10月21日

『行動ファイナンスの実践』

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478210586

本日の一冊は、人間心理が金融市場に与える影響について論じ、かつその理論を実践に応用しようとした意欲作です。

認知的不協和や確証バイアス、アンカリングといった、投資に関係する心理学理論を紹介したり、マーケットが非合理的に反応した例を分析したりして、市場での意思決定の謎に迫っています。

専門用語が普通に使われていたり、数式を使った分析がなされていたりするので、ファイナンスの基礎を学んでいない方にはちょっと厳しいかもしれません。

ただ、ある程度基礎がわかっている方にとっては、じつにエキサイティングな理論や、実証研究が掲載されています。

人間心理を制する者は、マーケットをも制す。

なぜ株価が企業価値から乖離するのか、なぜLOOP(一物一価の法則)が成立しないのか、疑問に思う方は、ぜひ読んでみてください。
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■ 本日の赤ペンチェック
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人間は大量の情報を処理する際に、大雑把なルール(「ヒューリスティック」という)を利用する

人は、よくランダムの罠にはまる。結果はランダムに生じているのに、自分が関与したことで結果が左右されたかのようなコントロールの錯覚に陥る

人は自信過剰になると頻繁に売買しがちである(中略)独身男性の売買頻度は独身女性より67%も高くなっており、反対にリターンは年率で3.5%も少なかった

確実な情報が欠如しているなかで、過去の株価は今日の適性価格を探す際の「アンカー(錨)」とされがち

アンカリングが企業価値評価に影響するということは、グレゴリー・ノースクラフトとマーガレット・ニールによって住宅価格の分野で立証

人は、多くの継続が続いた後に起こる変化に過剰反応し、多くの逆転が続いたあとの変化には過小に反応する

人は知っているものや、認知しているものを好む

人は極端に可能性が低い出来事は不可能であるかのようにふるまい、極端に可能性が高い出来事は確実に起こるかのようにふるまう

損失は利益よりも取り引きされるインデックスのボラティリティにずっと大きなインパクトを与える

グロース株における失望に対する市場反応の非対称性を調整すれば、グロース株と他の株式とのあいだに有意なリターン差は見られない

被験者を集めた実験的市場において、市場は非常に長い期間、ファンダメンタル価値から逸脱することもあるという結果が得られている

人には、自分の考えに合致する情報に重きを置き、逆に自分の考えに合致しない情報は無視(軽視)をする傾向がある
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『行動ファイナンスの実践』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478210586
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■目次■
序章
第1章 行動ファイナンスの心理学的基礎
第2章 不完全な市場と限定的アービトラージ
第3章 投資スタイル
第4章 株式価値評価
第5章 ポートフォリオ構築とリスク管理
第6章 資産配分
第7章 コーポレート・ファイナンス
終章
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