2005年5月11日

『団塊と団塊ジュニアの家族学』

http://tinyurl.com/drf3e

本日の一冊は、これからの日本の消費をになう、団塊世代と団塊ジュニアに関する動向分析です。

執筆を、電通の消費者研究センターが担当しており、データに基づく分析が、両世代の現状をよく説明しています。

結婚や出産、仕事に対する考え方、ライフスタイルや消費の傾向など、マーケターが知りたいあらゆる情報が入っています。

データの解釈が腑に落ちない部分もあるにはありますが、その点を差し引いて考えれば、なかなか参考になる本です。

データを読むことのメリットは、これまでの思い込みを捨てることができる点です。たとえば、「単独世帯が今後増えていく」という話は、誰もが納得する話ですが、多くの人が連想するのは、「結婚しないひとり暮らしの若者が増えていく」ということで、じつは、「長寿化に伴って、お年寄りのひとり暮らしが増えていく」ことが原因であるとはなかなか気づかないものです。

こうした思い込みに気づかせてくれるのが、本書の魅力的な点です。

本書では、これからの団塊・団塊ジュニアのトレンドとして、親と近居する「平成拡大家族」というコンセプトを打ち出し、その具体的な消費性向についても述べています。データによると、かなり多くの人々がこのライフスタイルをとっており、今後の消費をうらなう上で、重要な考え方になると思われます。

マーケターはもちろん、これからビジネスを立ち上げる方や、投資家にとっても、参考となる一冊です。
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■ 本日の赤ペンチェック
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一家4人の核家族を含む「夫婦と子からなる世帯」は1980年に全世帯の42.1%を占めたのをピークに減少し続け、2000年の1492万世帯を経て、2025年には1200万世帯に減少してしまいます(24.2%)。それに代わって、2007年にはひとり暮らしの人からなる「単独世帯」が最も多い家族形態になります

(年配の)女性は平均で9年間のひとり暮らしの期間ができる

さほどキャリアを求めていない85%の女性でも結婚と子育てに埋没せずに社会とつながりを続けられるような、開かれた家族像を求めている

既存の職業や仕事ではなく、「自分というブランド」で絶大な影響力を他人に対して持ちたいというのが現在の若者の夢

東京圏では未婚者の約35%がパラサイト・シングル

若い男性の中で、女性のように、自分のテイストやポリシーを持って、自分を魅力的にプレゼンテーションしていきたいという動きが見える

収入が高い人ほどやりがいがあるいい仕事に就いているので、その仕事を他人に取られないように、より一層仕事を頑張るようになり、そのうち始終仕事のことが頭から離れず、家族のことに費やす時間がなくなってしまう

単独世帯の77.3%は女性

◆団塊世代が挑戦したいライフスタイル
1.体を動かす生活を目指す
2.遊びを中心とした生活
3.自己表現にこだわる生活
4.新たにボランティア・NPO運動を始める生活
5.発言権を増す団塊世代

結婚して親と近居が新たな幸福戦略
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『団塊と団塊ジュニアの家族学』
http://tinyurl.com/drf3e
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■目次■
第1章 いま、再生に向かう家族の肖像
第2章 CMから見る家族像の変遷
第3章 団塊世代と『平成拡大家族』の肖像
第4章 『平成拡大家族』のマーケティング
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