本日の一冊は、ひょんなことから自分たちで農場を経営することになってしまった動物たちの物語を読みながら、職場にありがちな、さまざまな問題点を考える、というコンセプトのヘンテコな本です。
リーダーになったブタのビッグブーが一生懸命ビジネス書を読みあさり、無理やり実践していく姿が、思わず笑えるコミカルなストーリーですが、現実の職場に当てはめてよくよく考えてみると、結構笑えない話です。
著者の2人は、有名な調査会社のギャラップ社でコンサルティングを行っている人物。ストーリー形態をとっているのをいいことに、著名なビジネス書を斬ったり、マネジメント理論を斬ったり、毒をはきまくっています。
さっそく内容のポイントや教訓を見て行きましょう。
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■ 本日の赤ペンチェック
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「わたしのオフィスのドアはいつでもひらかれている」ビッグブーは動物たちに言った。じっさい、そうするしかなかった。なにしろ動物というのはドアノブをまわすのがとても苦手なのだ。
上司から何を期待されているのかまったくわからない、という状況を日常的につくりだせば部下の不安とフラストレーションのレベルはひじょうに高くなり、だれもが確実に不満を抱くようになる。こうして職場の望ましくない雰囲気は保たれる。結果として生産高が落ち込み、財務上の損失が増大し、事業の失敗が約束される。
◆メンドリのチームの教訓
=職場のストレスが多いと、タマゴの生産量は落ちる
◆ネコの上司とネズミの部下の教訓
=部下を脅すと、部下はできる限りマネジャーを避け、助けをもとめたり相談したりすることなどできない
=マネジャーが腹を立てるたびに部下を食べてしまうようでは、ビジネスの未来は暗い
◆キャリアチェンジしたカカシの教訓=カカシにタマゴは産めない
◆ヒツジの教訓=ヒツジは飛べない
知識やスキル、そして――これがいちばん致命的なのだが――才能が決定的に欠けている業務に配属になった者はとくに悲惨だった。調査やテストの結果がよかった、農場に長く暮らしている、まわりから好かれている、そんなことはなんの足しにもならない。
じぶんにあった仕事を任され、必要とするツールを与えられ、経営陣から強力なサポートを提供されると、勤労意欲がさらに高まる。
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本書の最大のメッセージは、だれにでも活躍の場があり、だれもがヒーローになれる、ということです。従業員一人一人の個性を見ずに、形だけの手法に頼ることの危険さを教えてくれる一冊です。
というわけで、本日の一冊は、
『アニマルズ・インク』
http://tinyurl.com/4v925
です。雇う人、働く人双方におすすめしたい一冊です。
■目次■
1.史上初、動物たちの会社が誕生!
2.ビッグブーの格闘
3.プランの発表
4.できるものに学べ―調査と面談で仕事をわりふる
5.がんばれば、どんなことでもできる―動物たちのキャリア開発
6.飼い慣らされてはならない――研修を受けて昇進を目指す
7.カカシがタマゴを産み、カラスが畑を守る?
8.新しい方針
エピローグ だれもがヒーロー
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