2005年2月26日

『人は仕事で磨かれる』

http://tinyurl.com/5kd58

本日の一冊は、かつて苦境にあった伊藤忠商事を救い、2000年の決算で同社の史上最高益を記録した中興の祖、丹羽宇一郎さんによる注目の新刊です。

著者は、いまどき珍しい、骨太で清廉な経営者ですが、本書のなかにも、そんな著者らしいコメントが随所に見られます。

あえて損な役回りを引き受けたり、大企業のトップらしからぬ質素な生活をしたりと、一件あまのじゃくな行動をとる著者ですが、その根底には、骨太な経営哲学と、経営トップとしての覚悟がうかがえます。

経営者にとって、ただでさえも逆境に対処する必要性が高まっている今日、著者の力強い主張は、きっと多くの経営者に勇気を与えてくれるに違いありません。

若干、引用しづらい本ではありますが、さっそく内容のポイントを見て行きましょう。
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■ 本日の赤ペンチェック 
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人には役目というものがあります。私の場合はさしずめ、伊藤忠にとって考えられるすべての膿を掻き出すことだった。だから減損会計の早期適用は、私の「掃除屋」としての最後の仕事だったと思っているんです。

業績が落ち込んだら、まず市場から激しく叩かれる。それだけならまだしも、会社の社員全員が路頭に迷う。その家族も巻き込む。トップになるとはそういうことです。

二十一世紀の経営者は常識と良識を磨いていかなければなりません。世間や社員、社会の常識から遅れることがあってはいけない。それには対話を繰り返していく必要があります。

経営というのは、実務を行うこととは異質なものです。どうやってお金を儲けるかということより、もっと大切なポイントがある。それは、経営管理、すなわち人を動かす力や、組織を改革する力といったものです。

基本は、やはり誠実さと言行一致なんです。絶対に裏切らないこと。言ったことは必ず実行に移す。しかも早く行動する。

トップというのは、会社が苦しいときは真っ先に苦しみ、順調なときは最後にいい思いをする。そういうものだと思います。

孔子は「食」(=食料)と「武」(=武器)と「信」(=信用)を治国三要と言っています。このうち、最初になくなってもいいものは武器です。次は食料です。最後に残さなければならないのは信用だと言った。

私がこれまでの自分の人生を振り返ってみて誇りに思うのは、絶対に読書を欠かさなかったことです。これまでの何十年という間の読書の蓄積は、人に負けないものだと思っています。そして、読んだ人と読んでいない人の差は、そう一朝一夕には埋められない。

人は、仕事によって磨かれる。仕事で悩み、苦しむからこそ人間的に立派になるんです。
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丹羽さんが、本屋の息子だった話や、土井と同じく、ショウペンハウエルを愛読していたのには、驚きました。

※参考:『読書について』
http://tinyurl.com/4lk2d

同じ読書家として、また経営者として、強い感銘を受けました。

というわけで、本日の一冊は、

『人は仕事で磨かれる』
http://tinyurl.com/5kd58

です。すがすがしい読後感で、久々に読書の醍醐味を味わうことができました。

■目次■
第一部 四つの大いなる決断 
・第一章 掃除屋
・第二章 新領野の開拓
・第三章 負の遺産
・第四章 経営者を引き受けるということ
第二部 決断する力を養う
第一章 本屋さんの息子
第二章 自分を鍛える
第三章 コミュニケーション環境を整える
第四章 人を育てる
あとがき
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