本日の一冊は、ダイヤモンド社から出されているマッキンゼーシリーズの最新刊です。
このシリーズは、いわゆる論文をまとめたもので、読み物としてはちょっと味気ないのですが、今回はこれからの経営のキモとなるであろう、プライシングがテーマなので、取り上げることにしました。
値づけに関してどんな気づきが得られるのか、さっそく見てみましょう。
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■ 本日の赤ペンチェック
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2003年度における東証一部上場企業の損益構造の平均値に基づくシミュレーション結果=価格が1%改善すると営業利益は23.2%も向上する
戦略レベルでは、価格に関する主導権を何とか自社に取り戻すことが重要であり、それは可能であるという意識を持つことが優れた価格マネジメントへの必須条件となる
価格と需要との関係を示す価格弾力性について自社でデータを蓄積することなしに、値上げイコールシェア喪失、値下げイコール販売増加といった短絡的な考えは危険だ
◆バリュー・マネジメントを行う際のポイント
1.顧客が購買決定に当たって重視する商品属性を理解し、その優先順位を知ることが成功の秘訣
2.計量化が難しい”ソフト”な属性(信頼性、親切なテクニカル
・サポート、使い勝手のよさなど)も、計量化しやすい技術的な特性に負けず劣らず重要である
VEL(価値均衡線)からの離脱は、顧客が気づくほどに大胆で、かつ買いたいと思わせるほどに魅力的でなければならない
商品やサービスの表示価格から、実際にどれだけの金額が企業のポケットに入るのか。取引ごとにこの点を細かく調べれば、取り分を1%増やすのは決して難しくない
売上高のおよそ12%は小売店向けプロモーション経費のおかげで得られるのであり、その半分以上は現場(店頭)でコントロールされている
あるカテゴリーの消費量が大幅に拡大可能と見込まれ、かつ自社商品のブランド力も高い場合には、プライス・バンドを広くとるべき
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価格と感情に関する議論も期待していたのですが、その点に関する記述はなく、どちらかというと、データがあることを前提にした分析や、改善の視点が示されている、といった印象です。
消費財メーカーなどで、開発競争・価格競争が激しい業界の方などにとっては、参考になる本だと思います。
というわけで、本日の一冊は、
『マッキンゼープライシング』
http://tinyurl.com/6q7ac
です。個人的には、実務家には『価格の決定権を持つ経営』の方が実践的で、役に立つと思います。
※参考:『価格の決定権を持つ経営』
http://tinyurl.com/6zujk
■目次■
Chapter1 価格創造の時代
Chapter2 価格を決めるな、価値を決めろ
Chapter3 プライシングの威力
Chapter4 プライシングに規律を
Chapter5 最適なプライス・バンドを考える
Chapter6 プライシングと営業
Chapter7 新製品のプライシング
Chapter8 規制緩和と価格戦争
Chapter9 合併後のプライシングに存在する隠された価値
Chapter10 確実なプライシングの実行に向けて
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