本日の一冊は、本田宗一郎を経営面で支えた名経営者、藤沢武夫さんにによる半生の記録です。
気難しい技術屋、本田宗一郎を活かすために、歴史に残る名ナンバーツー、藤沢武夫はどう考え、どう行動したのか。
人を活かす経営の真髄、そしてナンバーツーの行き方を見せてくれる、そんないぶし銀の一冊です。
数多くのエピソードと名言のなかから、いくつかピックアップしてみましょう。
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■ 本日の赤ペンチェック
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大きな夢を持っている人の、その夢を実現する橋がつくれればいい。
いまは儲からなくても、とにかく橋をかけることができればいい。
人と人との間を結びつける条件は、まず信頼であり、いたわり合いであると思います。その基本は家庭にあるんですね。
私は、ホンダを早くやめてよかったと思うんです。ホンダの役員室は大部屋です。そこでみんなのしゃべっていることが何いってるかわからないんじゃ、寂しい。それに、ちっとは昔のことを知っていると、ついいってみたくなる。それで恥をかくのは情けないですからね。
物をつくる会社に働いている物をつくる人たちは、自分たちの働きが、あるひとつの知恵による稼ぎよりも劣ったものでしかないと思ったときに、寂しさを感じて、情熱を失ってしまうだろうと思う。(中略)ですから、どんなに儲かる話があっても、その話には乗らない。儲けるならみんなの働きで儲けるんだということを、ホンダの金科玉条にした。
社長には、むしろ欠点が必要なのです。欠点があるから魅力がある。つきあっていて、自分のほうが勝ちだと思ったとき、相手に親近感を持つ。理詰めのものではだめなんですね。
私は若いときから、自分の精一杯の知恵を出してみたいと思っていました。だれかの鞄持ちをして、なんとかその無名の人の持っている才能をフルに生かしてあげたい、というのが夢だったんです。
われわれは、能力の高い人を常に探り出す仕組みを、考えておかねばならないんです。そして、「長」というものは、そのなかにおける行政的な動きをしていく。何かというと、すぐに係長や班長が集まるということでなしに、それに最もくわしいエキスパートがただちに集まり、知恵を出す仕組みをつくることです。
採算が合うか合わないかということより、いちばん大事なことは、自分たちは何をしてきたかということ。金なんてものは、いつかなくなる。自分が思いきりやりたいことをやってきたからには、子供にも、自分のやったことを語り継げるような人生を送らせたい
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本田宗一郎へのあたたかい視線、そして彼を支えるべく、ときには悪役にすらなる著者の姿勢に、思わず胸がいっぱいになります。
人を支える立場にある人には、ぜひ読んでいただきたい名著です。
というわけで、本日の一冊は、
『経営に終わりはない』
http://tinyurl.com/43bmd
です。ナンバー2としての生き方の美学を見せてくれる、他にはない、魅力に満ちあふれた一冊です。
■目次■
1.生命をあずかる仕事
2.思いがけぬ危機
3.本業以外に手を出すな
4.万物流転の法則
5.経営者の心構え
6.模索と学習の日々
7.たいまつは自分で持て
8.海のむこうへ
9.頭の切り替え
10.本田かぶれ
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