【米アマゾン2022ベストブック入り】
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本日ご紹介する一冊は、UCLAアンダーソン経営大学院教授のキャシー・ホームズさんによる注目のベストセラーの邦訳。
著者は、同大学院でMBAの学生たちに、「幸福学の人生デザインへの応用」という授業を教えており、仕事とプライベートそれぞれの生活をいかに最適化するか、アドバイスしています。
タイトルには、「時間のつかい方」とありますが、いわゆる「時間術」の本ではなく、心理学や行動経済学に基づき、どうすれば時間が豊かに感じられるか、どうすれば幸せになれるか、最新の知見を紹介した内容です。
とはいえ、当該分野は類書がたくさん出ており、最初と最後は、ほぼ既知の内容。
最後の方の結論に、以下の2つが出てきたのにはズッコケましたが、それでも、中盤には興味深い研究結果が紹介されており、読む意味はある一冊だと思います。
<幸せで満たされた人生を予測する唯一にして最大の因子は、富でも名声でもありません。自分を支えてくれる強力な人間関係の存在です>
<短期的には、「した」方がより多くの後悔を生みますが、長期的には、「しなかった」方がより多くの後悔を生みます>
若いうちは、特別な経験の方が幸せにつながる、歳を重ねると普通の経験にも特別な経験と同じくらいの幸せを感じるようになる、というのは、人生の後半を生きる上で、重要な示唆だと思いました。
また、快楽順応を緩和するためにイベントに名前をつける、幸せになるために活動にバラエティを加えるなどといった知恵は、マンネリ化しやすい家族や夫婦関係を豊かにする知恵だと思います。
時間術だと思って読むと肩透かしを食らいますが、幸福研究だと思って読めば、なかなか読み応えがある本です。
さっそく本文のなかから、気になった部分を赤ペンチェックしてみましょう。
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時間がなさすぎる人は、幸せの度合いと人生への満足度が、著しく低い
可処分時間がありすぎると人生に満足できない理由は、生産性を実感できないから
自動車業界の大物ヘンリー・フォードは、かつてこう言ったとされています。「事業は利益を追求しなくてはならない。さもないと、その事業は死ぬことになる。しかし事業を利益のためだけに運営しようとすれば、その事業はやはり死ぬことになる。もはや存在理由がなくなるためだ」
人生における成功や満足度を決める真の要因となるのは、お金をどれだけ稼ぐかより、時間をどう過ごすか
時間がないストレスから人は概して運動をしなくなり、そのため心身の健康に直接的な悪影響を及ぼす
時間が足りないと、あらゆる目標について、達成できるという自信が削がれてしまう
人は強い自己効力感を抱くとき、時間がたくさんあるように感じます
運動に時間を費やすと、健康によいだけでなく、自分が手にしていると感じる時間も増える可能性がある
自分以外の誰かのために時間をつかった人は、自分につかった人よりも、時間が多くあるように感じた
幸せな出来事を思い出したときと比べ、畏敬の念を抱いた出来事を思い出したときの方が、慌ただしさをあまり感じない
豊かだという実感をはっきりと増やすには、時間を(節約するのではなく)費やす必要がある
最もポジティブな感情を引き出すのは、人との交流
SNSに時間を費やす時間が長い人ほど自己嫌悪感が顕著で、全体的にも嫌な気分を抱きがち
自分がいる環境に、命の有限性を感じさせる何かがあると、人は親密で意義深い人間関係を求める
大局的なものの見方をしがちな人ほど幸せである
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生産的な人ほど、スケジュールを立てる時にいろいろ詰め込むことがありますが、本書の知恵を学べば、そんな時間術は不毛だということがよくわかるでしょう。
「仕事はいっぱいした。でも幸せじゃない」という事態を防ぐために、ぜひ読んでおきたい一冊です。
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『キャリアを切り開く言葉71』北野唯我・著 KADOKAWA
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◆目次◆
第1章 私たちはみな時間貧乏
第2章 時間をつかうことで、増やす
第3章 幸せな時間、幸せでない時間
第4章 やりたくないことを楽しくやる
第5章 幸せな時間をもっと幸せにする
第6章 先のことより「今」に集中する
第7章 時間を費やすべき大切なことは何か?
第8章 カンバスに、1週間を描いてみる
第9章 人生全体を俯瞰してみる
謝辞
原注
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