『成熟スイッチ』林真理子・著 vol.6220

【大爆笑しながら考えさせられる】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4065302749

本日ご紹介する一冊は、ベストセラー『野心のすすめ』以来、９年ぶりとなる、林真理子さんの人生論新書。

発売即10万部を超え、ベストセラーとなっている本ですが、テーマは『野心のすすめ』と真逆の「成熟」。

高齢者本が売れているからということなのでしょうが、中身の半分は、やっぱり野心むき出しの林真理子さんの本でした（笑）。

歳を取るごとにどう人や仕事と向き合っていけばいいか、示唆に富んだアドバイスが示されており、勉強になります。

贈り物やお金の使い方、お礼の述べ方など、細かいことが書かれており、なるほどこういう細かなことができる方だからこそ、長年、出版界で生き抜いてこれたんだなと、腑に落ちました。

著者が親しかった先輩作家たちとの交流、そこから学んだことなどが書かれており、作家の裏話が読みたい人にとっても、ミーハー心をくすぐる一冊です。

著者のように生きたい方、作家業に憧れる方にとっても、精神面、技術面のアドバイスがなされており、自己啓発本ながら、ちょっと勉強になる一冊です。

人生も仕事も、長く続けて行くためには、鈍感力を身につける仕組みが必要だと思いますが、本書には、著者ならではの鈍感システムが示されています。

いろいろとバッシングを受けながらも王道を歩み続けてきた著者が心掛けていたものは何なのか。

大物作家に愛され、選ばれ続けてきた理由は何なのか。

野心むき出しで人と上手くやれない人ほど、勉強になる本だと思います。

さっそく本文のなかから、気になった部分を赤ペンチェックしてみましょう。

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「人から必要とされる」ではなく「人を幸せにしたい」、あるいは「人のために何か役に立ちたい」と能動的に考えればいい

お金も、小銭ほど気をつけなければいけません。個人のお弁当代とか私用のお土産代まで経費で落とそうとする人は、それだけで信頼を損ねてしまう。些細なことをケチる方が、よっぽど高くつく結果になるのです

五十歳を過ぎたら、仕事の三割はお金をもらえないことをやりなさい

「人にされて嫌だと思ったことはしない」のが私の矜持です。そのために自分に課しているのが、「三回ルール」というもの。その内容は基本的に「紹介された人と三回会うまでは、紹介者に報告する」ということ

センスがあると王道に行けないので、万人の支持を得ることはできません。大衆的な人気を得るには、ある種の土くさい野暮ったさが必要なのです

自分に遣ったお金は返ってくる

いっぱい本を読んだからって、立派な大人になって、いい会社に入れるとはかぎらない。でも、本を読むと、大人になった時に一人でいることを恐れずに済む人間になれます

第三者の視点で書く小説は、一人称とは違って、俯瞰するカメラが必要になります。そのカメラをどこに据えるか。どのような順番でカメラの位置を変えていくか。プロとしてのテクニックがいっそう求められるのです

ジャンルを選ばず書いてきた結果、何が起こったか－－。いつのまにか「書く私」という幹から「○○を書く私」が何本も枝のように生えていたのです

人生って、死に向かうレールに乗っているようなものです。途中いいことも悪いこともあるけれど、どんどん進んでいくし、二度と後戻りは出来ない。そこで平凡につつがなく暮らす道を選ぶか、大きなチャンスがあったら乗ってみて濃密な人生を送るかは、その人しだい

ちょっとしたことでもいいから何か新しいことをして、昨日とは少し違った自分になってみる。成熟にはキリがありません。毎日新しいスイッチを入れながら、自分の変化を楽しむことが出来たら、なんて素敵な人生でしょう

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単なる人生訓とあなどるなかれ。

「書くこと」「話すこと」の秘訣も書かれているため、文筆業・講演業の方には、技術的にも勉強になる一冊だと思います。

「お父さんという貧乏くじを引いたばっかりにずっと苦労した」という母の言葉にインスピレーションを得て、「じゃあ、お父さんと一緒にならなければ、どんな生活だったんだろう」と考えて作品を作ったという話が、とても印象的でした。

どんな体験でも、創造性があれば前向きに変換できる。

エッセイの名手、林真理子さんのユーモラスな文章を味わいながら、人生訓、創作のヒントまで学べてしまう、贅沢な新書です。

ぜひ、読んでみてください。

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『成熟スイッチ』林真理子・著　講談社

＜Amazon.co.jpで購入する＞
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4065302749

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◆目次◆

まえがき
序　章　四つの成熟
第一章　人間関係の心得
第二章　世間を渡る作法
第三章　面白がって生きる
第四章　人生を俯瞰する

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