【営業からトップを目指す人、必読】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/453231786X
本日の一冊は、アサヒビール元会長であり、失速したスーパードライを復活させ、45年ぶりに業界トップシェアに導いた立役者、瀬戸雄三さんによる「私の履歴書」。
タイトルの『月給取りになったらアカン』は、起業家であった著者の父親が、「月給取りと先生になったらアカン」と語っていたことから取った言葉。
その意味するところは、こうだったそうです。
「昭和10年頃の月給取りは、毎日、会社に行けば働いても働かなくても月末には給料が自然に入ってくる。だからどうしても自分の人生に甘くなり、安易な生活を送ることになる。先生は崇められるたびに傲慢になる。人は謙虚でなければならない」
こんな教えを受けた著者だけに、仕事人生は「挑戦」の連続。上司に歯向かい、理不尽と戦い、何度も左遷を経験しています。
一方で、営業マンだったこともあり、取引先に対しては、礼を尽くし、たくさんのファンをつかむことに成功したようです。
経営者の自伝は、その人の出自によって色が出るものですが、本書の場合、著者が営業マンだったことが、色を添えています。
若い頃、顧客にたしなめられて覚えた礼儀やお詫び、人の心をつかむ技術、さらには営業マンの重要な仕事である、売れるヒントをつかむ働き…。
また、経営者になってから行った長崎での販売促進キャンペーンも、いかにも営業マンらしいアプローチです。
長崎は、アサヒビールがタンク約900本、総額400億円の発注をしていた三菱重工のお膝元ですが、著者はそこに目をつけ、長崎新聞にこんな広告コピーを掲載しました。
「三菱重工のタンクがスーパードライをつくる」
<トップ自ら動くことは、大事なことだ。「机に座っている暇があれば汗をかけ。動きながら考えろ」が持論だ>という著者だけあって、フットワークの軽さは目を見張るものがあります。
さまざまな人物と関係を築き、ビジネスチャンスをモノにしていく姿勢からは、ビジネスマンとして多くを学べます。
会社で干されている人、現在の待遇に不満のある人も、本書を読めば、元気が湧いてくるはず。
単なる「月給取り」で終わらないために、ぜひ読んでおきたい一冊です。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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「社員は役者、リーダーは演出家」。演劇の舞台を見ればわかるように、演出家はいかに脚本を選び、よい舞台をつくるかということに専念すべきだ
商品の開発を巡っては、どのような消費者をターゲットに絞るのかも議論の対象になる。40代の働き盛りは、当時シェアトップのキリンビールと2位のサッポロビールにがっちりと押さえられていた。5000人調査では20~30代の人にとって、アサヒは知名度もシェアも極めて低いことがわかった。ただ、こうした若い層はビールの「キレ」の嗜好が強いことも調査が教えてくれた
鈴木さんはこっちを見てニコリとされた。「上場会社の社長さんで、うちの車でやってきたのは瀬戸さんが初めてだ。参った」
「スズキの軽自動車はなぜ人気なのですか」「それは機能性だよ。買い物をした女性が袋を持ちながら腰を屈めずに乗れるんだよ。それが機能性なんですよ」鈴木さんの言葉に、「なるほど。時代のキーワードは『機能性』だ」と直感する。東京への帰りの新幹線の中で、「機能性、機能性」と反芻した
「小川さん、『三菱重工のタンクがスーパードライをつくる』という広告を出したい。それも全面カラー広告で」
人は、その年齢にふさわしい失敗と学びをすればよい。新人なら若者らしい失敗をしたらいいと思う
社長業は駅伝と同じだ。必死で走り、順位を上げて、バトンを渡す。企業が若返るために
全身に電気が走った。笑顔と言葉と所作。すべてに心がこもっていた。自分のお辞儀は形だけだったのだ
1年後、このキャバレーは開店8周年を迎え、その記念日に置き時計を持参してお祝いに駆けつけた。驚かれたのは社長だった。「あれからアサヒは1本も置いていないが、瀬戸さんはうちの店のことを思っていてくれたんか。開店の記念日まで覚えていてくれた。ありがとう。1年間、浮気したけど、明日からアサヒを扱うようにするわ」
取ったり取られたりは日常茶飯事に行われているが、1軒だったらインパクトはなかっただろう。それを一夜のうちに奪取するという演出をすることで、社内外の話題となる。仕事にはやはり演出が必要なのだ
いろいろな世界を駆け足で見せてくれた父の口癖は、「金持ちの時は貧乏な顔を、貧乏な時は金持ちの顔をしろ」。この言葉は、人生を通して不易なものだと確信する
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『月給取りになったらアカン』瀬戸雄三・著 日本経済新聞出版社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/453231786X
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◆目次◆
第1章 ナンバーワンブランドをつくる!
―首位奪回への挑戦
第2章 脱線社員の点面作戦
―営業の原点
第3章 逆境は怖くない
―劣勢を跳ね返す仕事術
第4章 ビールとの出会い
―出生から就職まで
第5章 変化、挑戦、夢、感動
―人も企業も変化し続ける
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