【勤めないという生き方?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/484013832X
本日の一冊は、会社を離れて自分らしい生き方を見つけた13人の生き方を、フリーライターの森健さんがまとめた一冊。
東京大学の医学部を出て、ワコールに勤めた後、手染め職人になった青木正明さんや、トヨタを辞め、PR事業を通じて小さな島の発展に貢献している阿部裕志さん、沖縄電力の公募ベンチャーで、南大東島のサトウキビを使ったラム酒製造に挑んでいる金城祐子さんなど、色とりどりの事業家が登場。
会社に勤めない生き方で、どうやって自分らしさと生活を両立するのか、その極意について語っています。
自然あふれる地方で自分らしく生きたい、というのは誰でも一度は考えることだと思いますが、本書では、地方にどんなビジネスチャンスがあるのか、どれだけ稼げるのか、本当のやりがい、生きがいとは何なのか、その辺のことが詳しく書かれています。
取り上げられているうちの何人かは、既にいろんな媒体に出ている有名人ですが、概観すると、知らない方のエピソードが多く、興味深く読むことができました。
本書で書かれていることは、決して事業を営むことと対立することではなく、既に起業している人にとっても、事業の本来の意義やあり方を考えさせてくれると思います。
お勤めの方には、勤めないという選択肢を、起業家にはモチベーションを与えてくれる、そんな一冊です。
ぜひ読んでみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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◆手染め職人・青木正明
「実際にやってみると、できあがったものを自分が好きじゃなければ、何の判断もできないんだとだんだんわかってきた」
「結局、モノの良し悪しは、つくった人の好きなものの要素の坩堝」
◆靴職人・野島孝介
日本には下駄や草履、足袋やカンジキなど日本古来の履物が存在している。その歴史を踏まえた履物づくりがあってもいいのではないか。そう思っていたのだ
◆革職人・木下英幸
動物の皮である皮革製品には生き物の常として、皺や色など偏りがでるところがある。どんなに効率的に利用したとしても、使えない部分が出てくる。それを端切れとして廃棄処分していたのだが、木下にはその判定基準があまりに厳しいように思えたのだ。「たとえば、一流ブランドの製品には、革に一つのシミも皺もない。丹念になめされ、きれいになった素材だけが加工されて製品となるからです。いい革イコールきれいな革が市場の見方。でも、生き物の扱いとして僕には理解できなかった」
「牛も一頭一頭個性があり、人生がある。人間だってそうじゃないですか。そうした皺も傷も含めて、僕はつくりたいと思ってるんですよ」
ある女性が依頼したのは、片手でも楽に扱える財布。なぜなのかと尋ねると、夫が事故で片手が使えなくなってしまったという事情があった。木下にとって、そうした個々のお客さんの人生に関われることがなによりのやりがいになっているという。「革の傷と同じなんですが、誰でもみんな人生に重要な節目のようなものがある。そこにわずかでも関われることがつくり手としてうれしいし、誇りなんです」
◆酒造メーカー・金城祐子
金城は造り酒屋の娘というわけではない。もとは会社員。派遣社員を経て正社員となった女性だった。それが自身が企画したビジネスプランが採用されて、起業の道を歩むことになった
泡盛は米からつくるが、その米は輸入のタイ米だ。沖縄で醸造してはいるが、真の地酒ではない。だが、金城が手がけるラム酒は南大東島産。まさしく地元の地酒なのだ。そこに金城のこだわりがある
◆建築家・馬場正尊
これからのフリーで大事なのは「メディアを使う」という発想
◆養豚農家・宮治勇輔
「古い世代には、『百姓を名乗りながら、農作業していないなんて何なんだ』と言われるかもしれない。でも、僕から言わせれば、そういう農業の考え方もやり方も古い。ほかの事業では経営者は現場をやらず、販売やマーケティングをやる。だから伸びるんです。うちでは弟が現場をやり、僕が販路の開拓と経営全般と役割を分担している。そういう仕組みがいまの農業に必要なんです」
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『勤めないという生き方』森健・著 メディアファクトリー
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/484013832X
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◆目次◆
第1章 「職人」で生きる
第2章 「地域」で生きる
第3章 「お店」で生きる
第4章 「農」で生きる
第5章 「NPO」で生きる
まとめに代えて 「勤めないで生きることとは」
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