【故・渡部昇一氏の遺作】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4594080774
本日の一冊は、2017年4月に亡くなった知の巨人、渡部昇一氏の遺稿をまとめ、出版したもの。
もともと、キケロと同名の『老年の豊かさについて』という原本があり、そこに加筆修正した内容です。
BBM読者のなかには、「人生100年時代、どうせ生きるなら知的に生きたい」という方は多いと推察しますが、本書はまさにその知的に生きる方法を、86歳で亡くなる寸前まで現役だった著者が説いた一冊。
認知症専門医の長谷川嘉哉さんが言うには、75歳を過ぎて元気でいられるかどうかは、若い頃の過ごし方にかかっている。
これを読み替えれば、75歳を過ぎて知的でいられるかどうかも、若い頃の過ごし方にかかっているわけです。
本書は、その知的でいるための考え方、心構え、行動習慣を、著者がまとめた、人生100年時代の必読書。
20代が読んでも、心を自由にするための秘訣が書かれており、勉強になると思います。
さっそく、ポイントをチェックして行きましょう。
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欲しいものは少数の友達と安定した財産
知的生活とは、孤独と社交のバランス
昔読んで面白かった本、もう一度読み直しておきたい本は、思い切って高価な版を買うことです。それが老年の知的生活の支えになります
自分の生活に根ざした部分、内的生活が関与した部分は、樹木のようにゆっくりとしか育たないのです(中略)私は、樹木的な生活こそが本物の知的生活だと思います。高層建築的業績は知的生産です。「生活」と「生産」は同じではありません
夫婦で海外旅行をするなら六〇歳になる前、現役の頃に、ものすごく忙しい時間を犠牲にして行くべきです(中略)夫婦で四十代に行っていれば、きっと楽しいでしょう。奥さんも、現役の亭主と一緒に行っているからうれしいのです
無法な上司と意見が違っても辞表を叩きつけることのできない会社員、落選すると生活ができなくなるので、信念をまげても選挙民に迎合する政治家、国家や国民のためよりも「天下り先」のことを考える役人──これらはすべて頼るべき安定した私有財産がなく、月給だけが頼りであるところからくるのです
エリザベス・アプルトンは金持ちの女性で、大学の先生と結婚します。彼女の財産をもとに夫妻は贅沢な生活をおくりますが、後に息子が問題を起こします。その時の息子の恨み言が私の印象に強く残りました。それは「自分の父親はしょうもない絵をよく買っていた。それなのに、自分が大学生の時、ヨーロッパで勉強させてくれと言ったらカネを出してくれなかった」という言葉です。それは小説の中の何ということもないシーンです。しかし、私は考えました。親が死んで子供に遺産を残しても、それは子供にとっては遅すぎるのです
老年になって大事なことは、成功より失敗しないこと
晩年の秀吉の衰えを如実に感じさせるのは、第二次朝鮮出兵の時に、九鬼水軍は役に立たないと言って出兵させなかったことです。若い頃の秀吉なら、第一次出兵で唯一無事だった九鬼水軍から多島海の危険性を聞き、彼らの経験を高く買って、むしろ九鬼を水軍の総大将に据えることすらしたかもしれません
一方、猛将でありながら、節度ある晩年をおくり、名誉を保った人もいます。それは伊達政宗です。政宗は天下を狙える力量を持つほどの武将でしたが、天下の大勢を判断して、関東には攻め上がりませんでした
叙勲に値するのは、命がけの仕事をする人々である
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少数の友達と安定した財産、私有財産を持つことで他人に媚びなくて済む、成功より失敗しないこと…。
歳をとっても知的好奇心を失わないための工夫なども書かれており、じつに勉強になりました。
生涯現役でいたい方、ずっと知的生活を楽しみたい方に、ぜひオススメしたい一冊です。
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『終生 知的生活の方法』渡部昇一・著 扶桑社
<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4594080774/
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◆目次◆
第一章 「自分である」ことの本質は記憶である
第二章 知的生活とは、孤独と社交のバランスにある
第三章 九〇歳を超えて知的であり続けた人たちに学ぶ
第四章 知的に暮らすための大事な方法
第五章 知的老後生活とお金の関係
第六章 誇りをもって人生をまっとうするために
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