【起こり得る未来のリスクを予見する】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822256170
名著揃いの誉れ高い、ジェームズ・C・コリンズの『ビジョナリーカンパニー』シリーズのなかでも、特に人気がないのが、第3巻、『ビジョナリーカンパニー3 衰退の五段階』です。
※参考:『ビジョナリーカンパニー3 衰退の五段階』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822248178/
ゲン担ぎもあるでしょうが、やはり人間はチャンスに目を向けても、リスクには目を向けたくないものなのです。
本書によると、衰退の五段階とは、以下の5つ。
第一段階 成功から生まれる傲慢
第二段階 規律なき拡大路線
第三段階 リスクと問題の否認
第四段階 一発逆転策の追求
第五段階 屈服と凡庸な企業への転落か消滅
第三段階で、トップが問題を認識できず、リスクや問題を否認するようになると、いよいよ企業は危なくなるわけです。
本日ご紹介する一冊は、あなたの企業がそうならないための、転ばぬ先の杖。
日経BP総研の研究員80人が、これから企業に襲いかかる100のリスクを選出し、徹底分析した、興味深い一冊です。
さっそく、ポイントをチェックして行きましょう。
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オープン化の影響の一つはルールの急変である。世界がつながったため、新興勢力が新たなルールを持ち込むと、それがあっという間に広がってしまう
かつてはデジタル技術の研究開発をシリコンバレー企業が担い、それを様々な機械に搭載する段階で、日本メーカーに試作を依頼、中国のメーカーの下で量産するという分担があった。ところが中国企業が力を付けてくるにつれ、試作の段階から中国側が受注する動きが顕著になり、日本企業はバイパスされつつある
新興国へのインフラ輸出で悩ましい問題となってきたのが、外為取引、制度・許認可の変更、資産の接収、政治暴力、政府・政府機関の契約違反といったポリティカルリスクである
重要インフラへのサイバー攻撃
バルミューダは製品開発の責任者を中国メーカーに引き抜かれた。その後、中国のメーカーはほぼ同じ外観の空気清浄機を発売している
火力発電所を支えてきた「送電線インフラ」の維持コストが上がり、存続が危ぶまれる危険性が出てきている。予想を上回る再生可能エネルギーの普及によって、大型火力発電設備を主力にしていた国内外の大手重電メーカーの業績が悪化している
認証品は数が限られ、争奪戦になりつつある。サステナビリティ(持続可能性)を重視した経営を進める欧米企業は早くから認証品を囲い込んでおり、その結果、日本市場には環境・社会面で問題がある原材料が出回る危険性が増している
自社の事業に関わる拠点が水不足や水災害の被害に遭う危険がないかどうかを点検し、対策を講じることが、持続的に成長するために欠かせなくなっている
運転手不足でモノが運べなくなる
二〇二八年、アスベスト問題は最も深刻な事態になると予想される
これまで労働災害を起こさなかった優良な事業者であっても、外国人労働者への安全指導を現場任せにするのは禁物
駐車場の余剰
優雅な生活を前提にした富裕層向けビジネスは見直しを迫られている
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後半になると、割と最近よく議論されているものが多く、退屈しますが、前半部分はいくつか認識していなかったものも入っていたりして、本当に読んで良かったと思いました。
リスクを予見することは、決して面白いことではありませんが、健全な企業経営のためには、絶対に必要なことです。
備えあれば憂いなし。
ぜひ、チェックしてみてください。
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『ビジネスを揺るがす100のリスク』日経BP総研・編著 日経BP社
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◆目次◆
第一章 日経BP総研が選ぶ十大リスク
第二章 オープン化のリスク 世界はつながり、何が起きるかわからない
第三章 ゲームチェンジングテクノロジーのリスク 競争条件を一変させる新技術
第四章 ESGのリスク 環境・社会・ガバナンスの新ルール
第五章 人財不足のリスク 質量ともに足りない働き手
第六章 自動運転のリスク デジタル化・サービス化が産業を再定義
第七章 格差社会のリスク 中間層はもういない
第八章 都市スラム化のリスク インフラ老朽化がもたらすもの
第九章 コミュニケーション不全のリスク ネット時代に存在感ゼロ
第十章 AI(人工知能)利用のリスク ITに伴う懸念
第十一章 リスクをチャンスにするために 「アサンプションマネジメント」の勧め
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