2010年12月23日

『イシューからはじめよ』安宅和人・著 vol.2346

【やるべきことを100分の1に減らす知的生産の技術】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4862760856

本日の一冊は、マッキンゼーでコンサルタントを経験後、東京事務所で新人教育を担当したという著者が、知的生産の本質を説いた、話題の一冊。

「優れた答えは、優れた問いから生まれる」というのは、広く知られた真実ですが、本書では、その「優れた問い」に当たるイシュー(論点)を徹底することで、質の高いアウトプットを生み出せることを主張しています。

イシュー度が低く、解の質も低いところからはじめる努力・根性論は、著者に言わせると「犬の道」。

本書では、この「犬の道」を避けて、バリューのある仕事をするためのプロコンサルタントの技術を指南しています。

かといって、決して現場を軽視するわけではなく、むしろ良いイシューを立てるには一次情報が不可欠だとして、現場を重視する姿勢を見せています。

モノ作りの場合であれば、「生産ライン、調達の現場に立つ。現場の人の話を聞く。可能であれば何かの作業を一緒にする」、商品開発の場合であれば、「なぜそれを使うのか、どう使い分けているのか、どんな場面でどう使っているのかなどを聞く」など、アクションがいちいち具体的なのが素晴らしい。

コンサルタントの本にありがちなフレームワークの話などもありますが、もともと生物化学専攻だったという著者ならではの分析の視点がユニークで、参考になります。

ファインマンやフェルミの言葉、エピソードを引用しながら、問題発見・問題解決のコツを指南したあたりは、類書にはない知的好奇心あふれる内容で、大いに刺激されました。

(実験には)2つの結果がある。もし結果が仮説を確認したなら、君は何かを計測したことになる。もし結果が仮説に反していたら、君は何かを発見したことになる。―エンリコ・フェルミ

優れた知的生産を実現したい方には、絶対おすすめの一冊です!

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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「カナヅチをもっていればすべてのものがクギに見える」という言い回しがあるが、このように目的を知らずにツールだけを使うのは危険だ

「悩む」=「答えが出ない」という前提のもとに、「考えるフリ」をすること
「考える」=「答えが出る」という前提のもとに、建設的に考えを組み立てること

「生産性」の定義は簡単で、「どれだけのインプット(投下した労力と時間)で、どれだけのアウトプット(成果)を生み出せたか」ということだ

バリューの高い仕事をしようと思えば、取り組むテーマは「イシュー度」と「解の質」が両方高くなければならない

うさぎ跳びを繰り返してもイチロー選手にはなれない。「正しい問題」に集中した、「正しい訓練」が成長に向けたカギとなる

イシューを見極めるためには「実際にインパクトがあるか」「説得力あるかたちで検証できるか」「想定する受け手にそれを伝えられるか」という判断が必要

「絵」や「図」はイメージをつかむためには有用だが、概念をきっちりと定義するのは言葉にしかできない技だ

◆よいイシューの3条件
1.本質的な選択肢である
2.深い仮説がある
3.答えを出せる

知らない人に電話でインタビューを申し込むことを英語で「コールドコール」と言うが、これができるようになると生産性は劇的に向上する

情報収集の効率は必ずどこかで頭打ちになり、情報があり過ぎると知恵が出なくなるものだ

◆定量分析の3つの型
1.比較(同じ量・長さ・重さ・強さなど、何らかの共通軸で2つ
以上の値を比べる)
2.構成(全体と部分を比較する)
3.変化(同じものを時間軸上で比較する)

閾値を超えない入力は意味を生まない

(実験には)2つの結果がある。もし結果が仮説を確認したなら、君は何かを計測したことになる。もし結果が仮説に反していたら、君は何かを発見したことになる。―エンリコ・フェルミ

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『イシューからはじめよ』安宅和人・著 英治出版
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4862760856

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◆目次◆

この本の考え方―脱「犬の道」
第1章 イシュードリブン―「解く」前に「見極める」
第2章 仮説ドリブン1
―イシューを分解し、ストーリーラインを組み立てる
第3章 仮説ドリブン2
―ストーリーを絵コンテにする
第4章 アウトプットドリブン―実際の分析を進める
第5章 メッセージドリブン―「伝えるもの」をまとめる

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