【人生のとらえ方が変わります。】
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本日の一冊は、人生の意味、生きる意味について考えさせてくれる、倫理学者による本です。
「倫理学」というと、倫理的になるための本を想像しますが、じつはこの本、まったくそうではなく、むしろ「倫理的になるな!」という、反倫理学の本。
ビジネスパーソンは、何の疑いもなく、「目標達成」することを人生第一の優先順位に持ってきがちですが、それだけでは、人生は空虚になってしまう。
バランスを取るために、ぜひ読んでいただきたい内容です。
ちなみに土井は、本書にぐいぐい引き込まれ、赤ペンをしこたま引くことになりました。
なかでもインパクトがあったのが、以下の一行です。
<人生に目的があったら、生きる必要などない。目的は過程を吸収し、無にしてしまう。目的合理性に染まった頭は「なぜ」という指標によってしか、やる気を持って動くことができなくなってしまう>
これこそが、ビジネスパーソンが人生の後半で虚しさを感じてしまう原因であり、それだけに、BBM読者のみなさんには、ぜひ読んでいただきたいところです。
さっそく、気になった部分をピックアップしてみましょう。
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善と悪の二元論に立つこと自体が、世界を分かりやすくすると同時に、倫理的な倒錯にも落ち込ませる。選択肢が二つある場合、どちらか一つは正解だと考えるのは、選択式テストを受けて、頭まで似たような構造になった者の発想だ。必ず正しい答えがあるはずだというのは、世界に対して倫理学的に命令を下すことだ。答えがあるはずだという発想そのものが危険性を持っている(中略)それは敵を倒すための理屈であって、勝ちそうな者、勝った者の論理なのだ。強者の論理を正しいと思う倫理学は世界から戦いをなくすことはできはしない
自然の「荒び」を消滅させようとすることで、人間の福祉を向上させようとする発想は、人間から総ての悪を消滅させようとすることで、かえって大きな悪を引き起こしてしまうのかもしれない
人間の攻撃性と暴力性に対して、見てみないふりをして、善意や隣人愛だけ語っていても、それは善意や悪意を搾取・濫用・収奪することで、自己の利益を増やし、自分だけ肥え太ろうとする人間本性を放し飼いにすることになる。「悪」もまた贈り物であり、その制御を目指すことこそ、求められる道なのだ
意味のなさもまた「器」としてあることだとすれば、意味のなさこそ、意味を盛り込める条件となる
人生の夢が、計算可能なものではなくて、人生にとっての「偶有性」だとしたらどうなのだろう。偶有性とは何か、それは「花」に当たる。植物は花を咲かせるために生きているのではない。花を咲かせることを通じて、生命を繋ぐ。人間にとっても、職業や仕事は「花」だ
偶有性を積極的に取り込み、意義を与える必要がある。知性による予測可能性を超えるのが出会いである
一つしか目的がなければ、多くの個体をこの世に増殖させる必要はない
「幸せ」とは道路標識のようなものでしかないと思う
自分自身と仲直りをするために、人は旅に出る。そういう旅に目的地は要らない。自分が目的地だから
意味がないのは、人生の大前提なのである。意味のなさとは、とても大事なものを守り育てるための容器のありかたなのだ
目標は失われても、人生は残り続ける
「目的のなさ」とは、欠如や空虚ということよりも、むしろ自由な空間ということであり、器の大きさでもある
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目的や夢のないことをもっと受け入れられれば、人はラクに生きられるし、偶然がもたらす人生の豊かさを享受することができると思います。
「思い通りにいかない」ことで悩むのではなく、それを積極的に味わう。
本書には、人生で迷わないための知恵が書かれています。
ぜひ、読んでみてください。
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『目的なき人生を生きる』山内志朗・著 KADOKAWA
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◆目次◆
はじめに
第一章 ゴジラのために
第二章 都会と倫理学
第三章 劣等感と城壁
第四章 <私>という迷宮
第五章 風の中の倫理学
第六章 終わらない愛
第七章 ぐずぐずの倫理学
第八章 倫理学の海
おわりに
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