【熱狂的ファンをつくる『遠ざけの法則』とは?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4833422638
独立起業する時、決めていたことがあります。
それは、「お客を選べる会社になる」ということ。
偉そうな言い方になるかもしれませんが、違います。昔、セガのゲーセンで働いていた時の苦い経験から、お客を選べない店は早晩ダメになる、と身にしみてわかっていたからです。
土井がいた郡山のセガワールドは、地元暴力団の息子やヤンキーが集まる店でした。彼らがいるおかげで、善良なお客様が入りにくくなっていたのです。
「悪貨が良貨を駆逐する」は、商売においても言えることなのです。
ですから、本日の一冊のタイトルを見た時、「これは紹介せねば」とピンときました。
本日ご紹介する一冊は、『遠ざけの法則』。
フリーランスのマーケターとして活動する、中山マコトさんによる注目のマーケティング書です。
本書に事例として登場するのは、暴力的なまでの激辛ラーメンで知られる「蒙古タンメン中本」や「初めての方にはお売りできません」のコピーで知られる再春館製薬所など、まさに客に「媚びない」お店・企業の数々。
『遠ざけの法則』により、実際にブランドが定着し、熱狂的なファンを抱えておけることを、これらの事例が証明しています。
著者はマーケターなので、戦略面や金銭面、オペレーション面などの言及はなく、ほぼコンセプトやキーワード、コピーの分析になりますが、これだけでも十分読む価値はあるでしょう。
さっそく、いくつか紹介してみます。
———————————————–
赤色系の看板のなかで、異彩を放つのが『蒙古タンメン中本』。ここはとにかく赤い。看板だけでなく、壁面も、店頭のメニューも、カウンターやスタッフのバンダナまでも、すべてが真っ赤です(中略)『蒙古タンメン中本』は辛いもの好きに支持されている店です(中略)最強の辛さを誇る「北極ラーメン」は辛いものが苦手な人には絶対にオススメできないメニューです
『初めての方にはお売りできません』(中略)再春館製薬所は顧客をフィルタリングする戦略を選びました。顧客が最初に手にするのはミニサイズのサンプルです。中身は正規品と同じもの。それを実際に使用して、肌に合うと思った人にだけ、商品を買っていただこうというわけです。商品のクオリティに納得した上でお金を出すので、クレームのリスクを低減することができます
サービスを受けるよりも、自分でやってしまう方が楽──そんな需要の掘り起こしに成功したのが滞在型ホテル『マイステイズ』です。館内には自分で洗濯するためのランドリールームがあり、アイロンの貸し出しサービスもあります。また、ミニキッチン完備の部屋には調理器具と食器が揃っています。1泊からでも利用できますが、長期滞在の場合はよりメリットを実感できるでしょう
大分人が集まり、大分人が創る郷土料理店『とど』
ラーメン凪
看板には「すごい煮干ラーメン専門店」「煮干しが嫌いな方ご遠慮ください」「煮干王」「日本全国から厳選した20種類以上の煮干を独自ブレンドした濃厚スープ」など、これでもか!というくらい、煮干の文字が並んでいます。極めつけは『丼一杯に最高級煮干を60グラム以上使用』というフレーズ
『人の死なないミステリー』松岡圭祐の万能鑑定士Qシリーズ
現在、江原道には女優やプロのメイクアップアーティストが愛用するブランドというイメージが定着しています。ブランドストーリーには早乙女さんの名前こそ出ていませんが、「肌荒れに悩むひとりの女優」が「自ら試し、つくりあげ、楽屋に置いた」のが江原道の始まりだと紹介し、それがそのまま『女優が創り、育てた自然派化粧品』というキャッチフレーズになっています
東京の豊洲にある『ミリの駅』は、サバイバルゲーマーをターゲットにした専門店です。サバゲーに欠かせないエアソフトガンや各種パーツ、BB弾、ゴーグルなどを扱っており、通信販売にも対応します
———————————————–
<「その店に行こう」という意志の強い顧客だけを受け入れる>
これは、起業家なら心しておくべきことでしょう。
長く愛される企業作りをするために、間違った客を取り込んで従業員を不幸にしないために、ぜひ読んでおきたい一冊です。
———————————————–
『遠ざけの法則』中山マコト・著 プレジデント社
<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4833422638/
<Kindleで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B079DNNDDV/
<楽天ブックスで購入する>
http://bit.ly/2BfwZL5
———————————————–
◆目次◆
第1章 究極のメカニズム、踏み絵
第2章 視覚で分ける
第3章 敵をつくる
第4章 ターゲットで分ける
第5章 地名で分ける
第6章 キャッチフレーズで分ける
第7章 趣味嗜好で分ける
第8章 3行錬金術
最終章 「蒙古タンメン中本」の看板はなぜ真っ赤なのか?
この書評に関連度が高い書評
この書籍に関するTwitterでのコメント
同じカテゴリーで売れている書籍(Amazon.co.jp)
お知らせはまだありません。