【ポスター貼りでも金儲け&自己実現はできる。】
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本日の一冊は、先日読書家の編集者からプレゼントされた、一風変わったお仕事本。(その方が作った本ではありません、念のため)
19歳の時、寺山修司が主宰するアングラ劇団の芝居を見て、すっかり演劇の虜になり、以来、ポスター貼りを生業にして、起業、演劇公演プロデュースまで手掛けてしまったという著者による、興味深い半自伝的エッセイです。
「好きなことを仕事にしたい」という人は世の中に数多くいると思いますが、具体的にどうやったらいいか、わからないで迷っている方が大半だと思います。
本書が教えてくれるのは、「ポスター貼りからでも好きな世界に関わることはできる」ということと、好きなこと「だけ」を仕事にするには、金銭的な誘惑を断ち切り、好きなことだけやり続けられる仕組みづくりをすることが大事だということ。
周囲を見ている限り、好きなことを仕事にすることはできても、それが継続できていない人は多い。
自分サイズの起業を目指す人は、著者の考え方を学ぶことで、無駄な誘惑、失敗を避けられると思います。
さっそく、内容をチェックしてみましょう。
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ポスターを貼りに行くという行為が、街のいたるところや人々の生活の中にまで演劇や芸術的なものを広げるという、どこか寺山さんの演劇論に近い行為だという勝手な認識もあった
それまでさまざまな仕事をしてきたが、どれもぼくでなくてもできる仕事だったし、代わりの人間はいくらでもいた。その上、手に職があるわけでもなく稼ぐ手段を持たないし、食えもしなかったのだ。そんな精神的・肉体的にもどん底のような暮らしがあったから、ポスター貼りの仕事によってできた人と人との結びつきが、ひとしお嬉しかった
人がやりたがらない仕事を引き受け、時にバカにされながらも最底辺から演劇を見つづけ、足で情報を集めてきたことで、ある日それがプラスに転じることがある
一番いい場所にポスターを貼るのが目標だった
◆ポスター貼りの「三か条」
一、酒の席では絶対に仕事の話をしない。
二、ポスターの制作までは引き受けない。あくまでも貼るだけに徹する。
三、小劇団の人とは知り合いにならない。
手を広げれば売上は上がるというが、それに対する経費やリスクが多くなれば、安心して仕事に没頭することもできない。いくら稼げるかよりも、仕事をしていくら残せるかが大事だと思ったのだ
「どんなに小規模の公演でも、スタッフとキャスト合わせれば10人くらいいるでしょう。その人たちで10枚ずつポスターを持って街に貼りに出れば、1時間で貼れますよ。ウチに数万円払って依頼するくらいなら、その分のお金を稽古や芝居の足しにしてください」小劇団の関係者からポスター貼りの問い合わせを受けた時に、ぼくは実際にこう言って断っていた
実は会社設立当時の若い頃に、「壁の買い切り」を本気で考えたこともある。(中略)でも、やめました。考えているうちに、違うなと思った。壁を買い切ったならば、そのスペースを埋めるために営業活動をしなければならない
自分を騙してまで世間の価値観に合わせようとしていたら、いつになっても人に頼ったり甘えるだけだ
競合する相手がいないから、相場もなければ値引き合戦もない
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「好きなことを仕事にする」といった場合、好きなことが仕事になっていないか、カタログから「探す」人が多いのですが、それでは好きなことを、好きなやり方でやることはできません。
昔、カルチュア・コンビニエンス・クラブの増田さんが、5W1Hの頭に「好きな」を付ければ理想の仕事になる、とおっしゃっていましたが、まさにそのためには「仕組みづくり」が重要です。
「好き」を仕事にするための考え方と仕組みづくり。
ぜひ本書を読んで、自分なりに考えてみてください。
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『寺山修司とポスター貼りと。』笹目浩之・著 KADOKAWA
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◆目次◆
はじめに 考えはじめたら起業なんてできない
第1章 「ポスター貼り」誕生
第2章 ポスターハリス・カンパニーを作る
第3章 ポスターハリス騒動記
第4章 ポスターのある街
第5章 ポスターの意味
第6章 ぼくが好きなポスターたち
あとがき ぼくはポスターを貼り続ける
文庫版あとがき ぼくは、さらにポスターを貼り続ける
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