2017年11月29日

『不安な個人、立ちすくむ国家』経産省若手プロジェクト・著 vol.4879

【150万ダウンロードの話題のレポート】
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本日ご紹介する一冊は、発表されるやいなや、たちまち150万ダウンロードを記録した、経産省若手官僚によるレポートの完全版。

養老孟司氏、冨山和彦氏、東浩紀氏3名の知識人と経産省若手官僚の座談会も収録されています。

この国の中枢を担う官僚が現状をどうとらえているのか、本音でどう考えているのか、どうしようとしているのか、ビジネスパーソンなら誰もが気になるところでしょう。

本書では、現在の日本を理解するためのデータを視覚化し、わかりやすく提示しながら、これからのわれわれの生き方、働き方にどんな変化が訪れるのか、リアルなところを示唆しています。

<今後は、人生100年、二毛作三毛作が当たり前>
<65歳以上でも働く意欲のある人は6割以上>
<家族や仕事のある高齢者は十分に生き甲斐を感じているが、1人
暮らしや仕事なしでは生き甲斐を感じにくい>

この手のことを経産省が言い出すということは、やはりこれからは「老後」なんてないということでしょう。

<国民医療費の約2割が80歳以上の医療費であり、その多くを入院費用が占めている>
<日本の母子世帯の貧困率は世界でも突出して高い>

など、解決できていない問題を示すデータもあり、興味深く読ませていただきました。

さっそく、いくつかポイントをチェックしてみましょう。

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我々は、再び「権威」や「型」に頼って不安・不満を解消するのではなく、「自由の中にも秩序があり、個人が安心して挑戦できる新たな社会システム」を創るための努力をはじめなければならないのではないか

正社員として入社して定年まで勤める男性は、50年代生まれでも、100人中34人しかいない

「昭和の人生すごろく」のコンプリート率は、既に大幅に下がっている

高齢者向け支出に比べて現役世代向け支出が低い

就職の動機として「社会の役に立ちたい」と答える人の割合が近年急速に低下

一人当たりGDPが幸福度に与える影響は世界的に低下している可能性

少子高齢化というと、高齢者をどう支えるかに目が向きがちですが、未来を生きる子供を大人が支えるという発想への転換をしていきたい

長野県下條村では、かつては農道や村道の舗装や補修を住民が行政に陳情し、実際の整備まで半年、1年とかかっていました。財政悪化の中、村長のリーダーシップで、資材は行政から提供する代わりに住民にも道路工事に従事してもらうことに

レポートには、人生の選択について「個人が安心して挑戦できる新たな社会システム(を創る)」とありましたけれども、そもそも日本人は選択で生きていないですよね(養老孟司氏)

共同体というものを考えようとすると、必然的にノイズを扱わざるを得なくなります。ノイズを除去する社会では、共同体はなくなっていくのが道理でしょう。それから、単身でも暮らせるようになってしまったから、というのも大きい(養老孟司氏)

10年間で市場が3000兆円ですから、その大きな市場をいかに取り込んでいくか、ですね。長持ちして、事故無く安心して使える、そしてそれがゆえに結果として安くあがるインフラを提案していくことが大事で、最近は都市化が進む地域に必要となってくる、高度な技術を活用したインフラの輸出に力を入れています(貿易経済協力局 通商金融課 石渡慧一氏)

今の時代は、技術が発展しているので、ズバ抜けた才能のある人間は、困難があったとしても、個人で突破する可能性が高くなっている。そう考えると、弱者をどう守るかということに組織の力を使う方が妥当である(東浩紀氏)

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若手官僚も悩んでいるんだな、と共感すると同時に、日本の有識者にはこんな程度の認識しかないんだ、と恐ろしくもなりました。

結局、国を変えるには頭の良さよりも覚悟の方が大事なのかもしれませんね。

本書を読んで、この国の未来をどう感じるかは個々人の問題ですが、少なくとも土井は「これじゃ変わらないな」との思いを強くしました。

インフラ輸出の話や、地上自治の話などは面白く読めたんですが…。

正直、期待外れでしたが、この国の未来を考えるきっかけにはなる本です。

ぜひチェックしてみてください。

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『不安な個人、立ちすくむ国家』経産省若手プロジェクト・著 文藝春秋

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◆目次◆

1.液状化する社会と不安な個人
2.政府は個人の人生の選択を支えられているか?
3.多様な人生にあてはまる共通目標を示すことができない政府
4.自分で選択しているつもりが誰かに操作されている?
5.我々はどうすれば良いか
6.最後に
7.「不安な個人、立ちすくむ国家」の今後について

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