【ビットコインは終わった?】
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本日ご紹介する一冊は、『アフター・ビットコイン』。
オビに<ビットコインは「終わった」>という文字が印刷された、刺激的なタイトルです。
著者は、1981年に日本銀行に入行し、調査統計局、金融研究所、国際局、金融機構局、国際決済銀行(BIS)などを経て、現在は麗澤大学経済学部教授を務める中島真志(なかじま・まさし)氏。
決済分野に詳しい有識者として、金融庁や全銀ネットの審議会等にも数多く参加している著者が、価格急上昇で盛り上がるビットコインの問題点をズバリ指摘した、衝撃の一冊です。
前半はビットコインについての分析、後半はこれから普及すると見られるブロックチェーンの「今」の解説で、バランスの取れた内容となっています。
単なる感情論ではなく、双方の仕組み、誰が参画しているかの現状、構造的な問題などを冷静に分析して、かなり深いところまで論じており、ビットコイン関連書のなかでも詳しさでは群を抜いています。
ビットコインが、資本逃避のために使われている現状や、9割が中国のマーケットであることなど、ビットコインの「不都合な真実」がこれでもかというくらい出てきます。
さっそく、ポイントを見て行きましょう。
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ブロックチェーンを使って、世界の中央銀行が「デジタル通貨」を発行しようとする動きがある
(ビットコインは)一部の特殊な人たちが使うマイナーなサービス
◆ビットコインを入手する3つの方法
1.買う 2.受け取る 3.採掘する
「通貨」よりも「資産」として利用されるビットコイン
上位1%未満の人(アドレス)が、なんと全体の9割のビットコインを保有している
マイニング・ファームは、上位の13社で世界のマイニングの約80%のシェアを占めており、かなりの寡占化が進んでいます
マイニングは、大規模なコンピュータ設備を24時間365日稼働させて大量の電気を消費する作業ですので、電気代の安い中国の採掘集団のプレゼンスが大きくなっている
OKコイン、フオビ、BTCチャイナという中国の3つの取引所における取引高が、世界の全取引の93%と圧倒的な割合を占めており、中国人によるビットコイン取引が大部分を占めている
中国当局では、2017年に入ってから、ビットコインの大手取引所の検査に着手し、外貨管理やマネーロンダリングなどでの違法行為がないかを徹底的に調べたうえで、ビットコインの引き出しを当面凍結するという強硬な措置をとりました。これを受けて、中国でのビットコインの取引量が100分の1程度にまで激減
発行上限のうち、すでに79%が発行済み(採掘済み)
ビットコインがモノなどの価値に対して強くなる(通貨が値上がりする)という「デフレ」になりやすい
マイニング(採掘)に対するリワード(報酬)が約4年ごとに減らされる設定
わが国でも「改正資金決済法」で仮想通貨の規制へ
「ICOにより発行される独自トークンは、数十倍~数百倍に値上がりするはずだ」という共通認識ができているため、「◯◯コイン」という名前で売りに出すと、どんな案件にも投資が殺到し、安易に多額の資金調達ができている状態
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管理されたブロックチェーンと管理されていないことが魅力のビットコイン。
資産家がビットコインを選ぶ気持ちもわかりますが、その限界が近づいているとなると、どうなるか。
当局の規制も気になります。
今後のビットコイン相場を見極める上で、また金融の未来を考える上で、議論には欠かせない一冊となりそうです。
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『アフター・ビットコイン』中島真志・著 新潮社
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◆目次◆
序章 生き残る次世代通貨は何か
第1章 謎だらけの仮想通貨
第2章 仮想通貨に未来はあるのか
第3章 ブロックチェーンこそ次世代のコア技術
第4章 通貨の電子化は歴史の必然
第5章 中央銀行がデジタル通貨を発行する日
第6章 ブロックチェーンによる国際送金革命
第7章 有望視される証券決済へのブロックチェーンの応用
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