2017年6月28日

『未来の年表』河合雅司・著 vol.4725

【日本の不都合な真実】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062884313

本日紹介する一冊は、今後の日本経済・社会に起きる不都合な真実を、データを元に論じた新書。

先ほど訪れた品川駅のブックエキスプレスでは新書部門1位。アマゾンでもバカ売れしているようです。

著者の河合雅司(かわい・まさし)さんは、産経新聞社論説委員、大正大学客員教授で、内閣官房有識者会議委員、厚労省検討会委員、農水省第三者委員会委員などを歴任した人物です。

人口の推移は、最も確実に未来を予測するツールですが、そこから波及して何が起こるのか、年表という形で表現したのが本書の特徴。

一部を見るだけでも、興味がわくのではないでしょうか。

2016年 出生数は100万人を切った
2017年 「おばあちゃん大国」に変化
2018年 国立大学が倒産の危機へ
2019年 IT技術者が不足し始め、技術大国の地位揺らぐ
2020年 女性の2人に1人が50歳以上に
2021年 介護離職が大量発生する
2022年 「ひとり暮らし社会」が本格化する
2023年 企業の人件費がピークを迎え、経営を苦しめる
2024年 3人に1人が65歳以上の「超・高齢者大国」へ
2025年 ついに東京都も人口減少へ
2026年 認知症患者が700万人規模に

さっそく、気になる内容をチェックしてみましょう!

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日本の労働力人口は今後十数年で1000万人近くも少なくなると見込まれる。そのすべてを機械や外国人に置き換えることにはとうてい無理があろう

これまで人手不足といえば景況に大きく左右されるものであったが、今後は絶対的な後継者不足に陥る

高齢者数は今後600万人ほども増え、2042年に3935万人でピークを迎えるまで、増大を続ける

単独世帯の割合が最も大きい年齢層を見ると、男性の最多は25~29歳(29.3%)だが、女性は80~84歳(28.2%)

すでに40%超の私立大学が定員割れ

技術者不足はどの分野も似たような状況だが、影響の大きさを考えればIT(情報技術)分野の人材不足こそ深刻に受け止めなければならない

内閣府の「高齢社会白書」(2016年版)によれば、2012年に462万人だった認知症患者は、2025年には730万人(65歳以上人口の約20.6%)、2060年には1154万人(同34.3%)になるとも推計されている

人口は減少しているのに、世帯数は増えている。「日本の世帯数の将来推計」(社人研、2013年)によれば、総数は2019年の5307万世帯でピークを迎える。2010年が5184万世帯だから、123万世帯も増える計算だ

男女ともほぼすべての年代で未婚率が上昇している

企業の人件費がピークを迎え、経営を苦しめる

東京一極集中は日本の破綻につながると考えている。東京は食料やエネルギーの供給も地方に頼っている。その地方から人材をとことん吸い上げて、地方が機能しなくなったのでは、東京自身の首を絞めることに他ならない

世界的な食料争奪戦に巻き込まれる

◆日本を救う10の処方箋
1.「高齢者」を削減 2.24時間社会からの脱却
3.非居住エリアを明確化 4.都道府県を飛び地合併
5.国際分業の徹底 6.「匠の技」を活用
7.国費学生制度で人材育成 8.中高年の地方移住推進
9.セカンド市民制度を創設 10.第3子以降に1000万円給付

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本書を読むと、これまでの人口と経済成長を元に組み立てられていた現在のシステムが、いかに脆弱なものなのかがよくわかります。

「東京は大丈夫だろう」と思っている方にも、今後の医療サービスの不足など、読むべき点が多数ありました。

既に各所で発表されている統計を元にしているので、ご存じの方にとっては退屈な部分もあるかもしれませんが、ここまでコンパクトにまとまっていると便利です。

今後のビジネス、投資、居住地の見通しを立てるためにも、ぜひ読んでおきたい一冊です。

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『未来の年表』河合雅司・著 講談社

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◆目次◆

はじめに
第1部 人口減少カレンダー
序 2016年、出生数は100万人を切った
2017年 「おばあちゃん大国」に変化
2018年 国立大学が倒産の危機へ
2019年 IT技術者が不足し始め、技術大国の地位揺らぐ
2020年 女性の2人に1人が50歳以上に
2021年 介護離職が大量発生する
2022年 「ひとり暮らし社会」が本格化する
2023年 企業の人件費がピークを迎え、経営を苦しめる
2024年 3人に1人が65歳以上の「超・高齢者大国」へ
2025年 ついに東京都も人口減少へ
2026年 認知症患者が700万人規模に
2027年 輸血用血液が不足する
2030年 百貨店も銀行も老人ホームも地方から消える
2033年 全国の住宅の3戸に1戸が空き家になる
2035年 「未婚大国」が誕生する
2039年 深刻な火葬場不足に陥る
2040年 自治体の半数が消滅の危機に
2042年 高齢者人口が約4000万人とピークに
2045年 東京都民の3人に1人が高齢者に
2050年 世界的な食料争奪戦に巻き込まれる
2065年~外国人が無人の国土を占拠する
第2部 日本を救う10の処方箋
おわりに 未来を担う君たちへ
結びにかえて

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