2017年4月24日

『マッキンゼーが予測する未来』 リチャード・ドッブス、ジェームズ・マニーカ、ジョナサン・ウーツェル・著 吉良直人・訳 vol.4660

【これでスッキリ?】
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本日ご紹介する一冊は、マッキンゼー・グローバル・インスティテュート(MGI)が出した、未来予測本です。

MGIは、世界一のコンサルティング・ファームとして名高い、マッキンゼー・アンド・カンパニーの経営および経済研究部門。

1990年に設立され、設立以来25年以上にわたって、各企業・政府のリーダーに、意思決定の基礎となる情報を提供してきました。

本書の執筆メンバーは、計3名。

オックスフォード大学、スタンフォード大学で学び、マッキンゼー入社後、ハイテク、石油、銀行、ユーティリティーといった業界にコンサルティングを提供してきたリチャード・ドッブス。

オックスフォード大学でロボット工学博士号を取得し、マッキンゼーのシリコンバレー事務所をベースとして世界中のハイテク企業にアドバイスをしているジェームズ・マニーカ。

そして中国をベースに活動する、マッキンゼーの中国プラクティス研究グループの共同創設者の一人、ジョナサン・ウーツェルです。

本書のポイントは、マクロのデータに加え、マッキンゼーのグローバルネットワークを活かしたミクロの「洞察=インサイト」が得られること。

世界のどの地域でどんなビジネスが伸びているのか、どんな企業のどんな試みが当たっているのか、最新情報が得られるのが特長です。

さっそく、気になる部分を見て行きましょう。

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ケニア市場でユニリーバの洗剤製品「オモ」が突然攻撃を受けたのは、世界中の市場で争ってきたアメリカのプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)からではなかった。オモブランドに挑戦してきたのは、ナイロビに本拠を置くカパ精油の作る「トス」というブランドの洗剤であり、これまで産業向けに製造していた業務用洗剤を家庭用に改良し、大規模な販促を展開してきたのである

クマーシ、および新興国の数千にのぼる新興都市こそが、数多くの企業の未来を決定づける場所なのである。ところが、先進国の企業のほとんどが、そのことに気づいていない

今や西アフリカ最大の冷凍乳製品メーカーとなったファン・ミルク・インターナショナル社は、ガーナのアクラやクマーシといった都市市場で成長してきた。同社は、アフリカの都市という環境に適した販売方式を開拓してきたのである

スーラット、フォーシャン(仏山)、あるいはポルト・アレグレといった都市が、自分の戦略レーダーに映っていた人が何人いるだろうか

スロバキアの新興企業、ピアノ・メディア社は、スロバキア国内の新聞、雑誌など主要媒体のほとんどをカバーしたインターネット購読サイトを開始し、「無料客絞め出しの壁」となるシステムを作り出した

65歳以上人口が20%を超える「スーパー老人国」の数は、現在の3カ国(ドイツ、イタリア、日本)から、2020年には13カ国になり、2030年には34カ国に増加する

平均余命が長くなるという予測と、投資収益率の低下という予測の組み合わせが持つ意味は、高齢者が引退生活に移行する余裕がなくなっていくということだ

消費パターンの変化には、もう一つの重要なトレンドが存在する。年配者は引退生活に移行すると、住居、外食、衣料に対する支出を削り、家での食費、医療サービス、そして驚くことに電子機器への支出を増やすのである

インドでは、可処分所得から貯蓄と基礎的生活費を除いた裁量支出は、1985年に平均家計支出の35%であったものが、2005年には52%となり、2025年には70%に達する勢いである

南アフリカに参入したビール会社、SABミラーは最大のビール会社に成長した

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正直、マクロのトレンドはこれまで読んだ本とさほど変わらず、やや冗長な感じがすると思います。

ただ、実際にビジネス・投資をする目線から見れば、まさに欲しかったミクロ情報が手に入る本、と言えるでしょう。

メガシティではなく、もっと小さな規模の都市が伸びる。老人は、電子機器への支出を増やす。資源価格、エネルギー価格が上昇する、インフラ投資が伸びる…。

こうしたトレンドに加え、実際にどんな企業が有望か、グローバルのミクロ情報が載っています。

400ページを超える大著ですが、読む価値は十分。
ぜひチェックしてみてください。

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『マッキンゼーが予測する未来』
リチャード・ドッブス、ジェームズ・マニーカ、ジョナサン・ウーツェル・著
吉良直人・訳 ダイヤモンド社

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◆目次◆

イントロダクション
我々は、直観力をリセットしなければならない
第I部 4つの破壊的な力
第1章 上海を超えて──異次元の都市化のパワー
第2章 氷山のひとかけら──さらに加速する技術進化のスピード
第3章 年齢を重ねる意味が変わる
    ──地球規模の高齢社会の課題に対処する
第4章 貿易、人間、金融とデータの価値
    ──音速、光速で強く結び付く世界
第II部 直観力をリセットするための戦略思考
第5章 次に来る30億人──新たな消費者層の力を引き出す
第6章 逆回転が始まった──資源に訪れる新たな機会
第7章 1つの時代の終わり──資本コストが下がり続ける時代よさらば
第8章 労働力需給のギャップ解消する
    ──技術革新が生み出す新たな労働市場のミスマッチ
第9章 小魚がサメに変貌するとき
    ──新たな競合の出現と競争のルールの変化
第10章 国家の政策こそ問題だ──社会と政府にとっての戦略的課題
エピローグ
戦略的思索の果てに

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