【画期的!「ブランド・ファンタジー」理論とは?】
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ブランドとは何か? どうすれば強力なブランドを構築できるのか?
これは、企業経営者、マーケティング担当者なら、喉から手が出るくらい知りたいことではないでしょうか?
本日ご紹介する一冊は、このブランドの概念を一変させてしまう、画期的なマーケティング書。
著者は、コロンビア大学で心理学を専攻し、かつてコカ・コーラ社でクリエイティブ戦略を担当するグローバル・ディレクターを務めたブランド戦略コンサルタント。
これまでのさまざまな概念を覆し、著者が提唱するブランドの定義は、ズバリこれです。
「ブランドとは、消費者の心の中にある連想の集まりである」
著者は、こうした連想を大量に寄せ集めたものを「ブランド・ファンタジー」と呼び、それがわれわれの購買に影響していると述べています。
内容のほとんどは、われわれの脳や心理の「癖」に関することと、それがブランドとどう関わるか、といった理論ですが、事例もきっちり押さえられているので、一見抽象的な「ブランド・ファンタジー」というアイデアを深く理解することができます。
冒頭に出てくる高給ウオッカの二大ブランド「グレイグース」と「ケテルワン」の違いの分析をはじめ、ナイキに対抗する「アンダーアーマー」、ヨガウェアのトップブランドとなった「ルルレモン」、ニューヨーク市で立ち上がった眼鏡とサングラスのブランド「ワービーパーカー」など、さまざまな事例をもとに、ブランドの本質を理解することができます。
さっそく、ポイントをチェックしてみましょう。
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ふいに、はっきりとした違いが見えてきた。ケテルワンについては、豪胆で男らしいテーマが浮かび上がった。ポーカーに興じた夜の話に、筋肉隆々のボクサーのイメージ、スコッチ・ウイスキーや葉巻、ステーキ店といった超男性的なシンボルと並べられ、日焼けし、顎ひげを生やした辺境開拓者のイメージが示された
私たちはグレイグース派とも話をしたが、見方はまったく異なっていた。彼らにとってグレイグースは最高の中の最高なのだ。上品で現代的で、趣味のいい人のための酒。非の打ち所がなく、他のどの銘柄よりも一ランク上。それに引き替え、ケテルワンは野暮ったく、グレイグースのような都会的で洗練されたスタイルに欠ける
アメリカン・フットボールから生まれたアンダーアーマーは、市場において、より強く先鋭的で、コアな立ち位置にある。誰でも、たった一瞬にしろ、NFL(全米プロフットボールリーグ)の最強のラインバッカーと同じくらい強くなったように感じられるのだ
ワイナリーの名前を流暢に発音できるかどうか(心理学では「流暢性」と呼ばれる)が味覚の認識に影響を及ぼすことも、多くの研究からわかっている。ワインの場合は名前の発音が難しいほうがおいしく感じるが、もっと実用的な商品では、発音しやすい名前のほうが高品質だと感じる
イヌの画像を見せられた人のほうが、プーマ・ブランドを好む傾向
これがプライミングの力だ。プライミングとは心理学用語で、ある刺激を与えた結果、そこから連想される言葉や考えが真っ先に思い浮かぶようになることを表す。例えば、あるテーマ──医者──を中心とした言葉のリストを与えられると、「看護師」のような医者に関連した言葉を思い浮かべ、認識し、使う傾向が強くなる
どんな業種であっても、人が商品やサービスを選ぶのは、(商品そのものがニーズを満たしているとすれば)その一員となりたいと思うようなものを体現しているからだ
◆ブランド・ファンタジーを築くための4つの中心要素
<コア・ワード>…ブランドの印象やファンタジー、エッセンスをつかむきっかけとなる3~5個の単語のリスト
<ファンタジー・ネットワーク>…一番重要な要素で、ブランドの鍵となる連想ネットワークをまとめた「マインドマップ」
<多元的なムードボード>…言語の限界を超え、イメージやメタファーを使ってファンタジーに息を吹き込む抽象的な説明
<トリガー>…豊かなファンタジーの残りすべてを引き出す略語。
あるいは記号の働きをする1語か短い1フレーズ
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脳科学や心理学を勉強した人なら、第1部をすっ飛ばして第2部から読むと、著者のいう「ブランド・ファンタジー」が何なのか、どのようにブランド構築に役立てるのか、実践面がよくわかるでしょう。
なかでも、ブランド・ファンタジーを築くための4つの中心要素(コア・ワード、ファンタジー・ネットワーク、多元的なムードボード、トリガー)は、社内のマーケティング担当が集まって実際にやってみるといいでしょう。
ブランド構築の新たな視点・切り口として活用できる、画期的な一冊だと思います。
ぜひ読んでみてください。
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『誘うブランド』ダリル・ウェーバー・著 手嶋由美子・訳
ビー・エヌ・エヌ新社
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◆目次◆
序章 心の底にあるブランドの世界
第1部 脳とブランドの結びつき
第1章 美は見る者の脳にある
──ブランドはどうやって心に入り込むのか
第2章 注目されているだろうか?
──なぜ期待通りの効果が得られないのか
第3章 覚えているだろうか?
──ブランドは記憶の中でどのように息づいているのだろうか
第4章 感情的になる──ブランド戦略における感情の真の役割
第5章 決断、決断──消費者の決断の裏にある真実
第2部 ブランドの新しいモデル
第6章 かっこよさを捉える
──なぜブランドについての新しい考え方が必要なのか
第7章 ブランド・ファンタジー・モデル
──形のないものを(ある程度)形にする
第8章 ブランド・ファンタジーの実践──ケーススタディ
第3部 魅惑的なブランドを構築する
第9章 ブランドのバケツを満たす
──ブランドのあらゆる要素を同じファンタジーに合わせる
第10章 無意識に訴える
──コミュニケーションを通じてブランド・ファンタジーを築く
第11章 無意識を探る──本当に効果的な市場調査とは
第12章 無意識に向けたイノベーション──息の長い新商品を開発するには
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