【ムダな思考をやめる技術】
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問題解決に関する本は山ほどありますが、多くの場合、小難しすぎるのが難点です。
MBAを取得しなくても、外資系コンサルタントのフレームワークを使わなくても、デキる人というのはいつの時代も「あっさり」問題を解決してしまうものです。
間違った課題に取り組まないこと、なしで済ませる技術、人間を理解した効果的なやり方…。
これらを学ぶのに、分厚い本が何冊も必要だとしたら、世の中の大半の問題は放置されたままになるでしょう。
そう、実際には小難しい本がなくても、シンプルな「視点」があるだけで、問題は解決できます。
そのことを指摘したのが、本日ご紹介する『ミニマル思考 世界一単純な問題解決のルール』です。
小論文指導を通じて「問題解決」や「論理思考」を教えているという著者、鈴木鋭智さんが、社会人向けにとってもシンプルな問題解決法「ミニマル思考」を説いた、注目の一冊です。
悲惨な事故を防ぐシンプルなアイデアや、製品ラインナップを整理するための技術、「うっかりミス」をなくす方法など、じつに興味深いトピックがズラリと並んでいます。
180ページ弱のコンパクトな文章に、問題解決のシンプルな視点が盛り込まれており、じつに勉強になりました。
さっそく、ポイントをチェックして行きましょう。
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何十年後、何百年後かわからない津波のために現在の住民の生活を犠牲にするというのは割に合いません。それでも国は防波堤建設にこだわります。「この120年で4度も大津波が来ているじゃないか」「防波堤で守られた村もある(防波堤が倒された町も多いけど)」「再び被害が出たら行政の責任が問われるし」そして公共事業お約束のジャンク思考。「もう予算も決まったことなので……」ミニマル思考はこうです。「とりあえず、人が助かればいいんですよね?」
「間違いは誰にでも起こるもの」と考えるのがミニマル思考。問題は、逆走していることにドライバー自身が気づかない「風景」にあるのかもしれません。たとえば、センターラインを矢印にしてみるのはどうでしょう?
粗製濫造でカオスと化した製品ラインナップを整理するため、ジョブズは2×2の表(マトリックス)を描きました。「今後、アップルが作るコンピュータはデスクトップとノートの2種類のみ。顧客はプロと消費者の2種類のみ」こうして誕生したのが、伝説的なこの4モデルです(中略)ジョブズは顧客をMECE(漏れなくダブリなく)で分類し、マトリックスを描いたから自社の問題を解決できたのでしょうか? いいえ、逆です。「人間にはプロと消費者の2種類がある」という彼独特の目の付けどころが先にあり、それをマトリックスで説明したから「わかりやすかった」だけなのです
不毛な議論を避けるために大切なのが、「どう解決するか」以前に「何を解決するか」。つまり問題提起です
世の中には「誰かが実際に困っていること」と「実は誰も困っていないこと」が混在しています
誰も否定できない「説得力のある問題提起」の目安、それは「命かお金に関わるか」なのです
「こうあるべき」という決めつけは、そこから漏れる人たちを排除してしまいます。「こうするべき」という決めつけは、それ以外のアイデアを排除してしまいます
オフィスや教室でロッカーの施錠を怠るのは、「特定の人しか出入りしない(と思っている)場所」だからなのです。ならばロッカーを廊下など不特定多数の人が通る場所に移すという手があります
「何でも禁止」は最も手っ取り早い「解決策」ですが、コストがかかります
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世の中に問題がある時、すぐに「子どもの教育」に走る方が多いのですが、本書では、そのようなお粗末な問題解決の議論を一蹴しています。
道路や防波堤の建設、子どもの教育、社内システムのリニューアル等、不毛な議論がなされがちな分野で働く方は、ぜひ読んでいただきたい。
『ワンランク上の問題解決の技術《実践編》』と併せて読めば、より問題解決力が磨かれると思います。
※参考:『ワンランク上の問題解決の技術《実践編》』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4887596456/businessbookm-22/ref=nosim
ぜひチェックしてみてください。
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『ミニマル思考 世界一単純な問題解決のルール』鈴木鋭智・著 かんき出版
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4761271795
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◆目次◆
Chapter1 ミニマル思考とジャンク思考
Chapter2 説得力のある問題提起のルール
Chapter3 解決につながる原因分析のルール
Chapter4 空回りしない解決策のルール
Chapter5 頭の中のジャンク思考を整理する
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