【孫泰蔵氏推薦!の良書】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492558047
本日ご紹介する一冊は、グラミー賞を主催するザ・レコーディング・アカデミーの共同会長、パノス・A・パノイと、世界的デザイン会社IDEOのパートナー兼グローバル・デザイン・ディレクターのR・マイケル・ヘンドリックスによる共著。
バークリー音楽大学の鬼才とIDEOのパートナーがコラボし、イノベーションのための音楽的手法を述べる。これが面白くないわけがありません。
共にクリエイティブな仕事で成果を上げている二人が、さらに世界的ヒットを生み出したトップアーティストたちにインタビューすることで、起業と音楽に共通するイノベーションの深い思想を提示しています。
世界的に有名なあの曲がどうやって生まれたのか、そのサイドストーリーを学びながら、イノベーションの原則を学ぶ、じつにエキサイティングな内容。
何より感銘を受けたのは、本書が提供する新たな読書体験についてです。
各章の終わりには、「プレイリスト」と題した音楽リストがついており(本書の内容と連動)、YouTubeで再生しながら読めば、音楽と同時に読書を楽しめるのです。
それぞれのミュージシャン、プロデューサーがどんなことを考え、実際にどんな曲を作ったのか、体験しながら読める、まったく新しい読書体験。しかも十分な数の音楽リストが載っているので、次の章までの間、音楽を満喫できます。
さすがは一流のクリエイター。出版業界の人間にはできなかったイノベーションをいとも簡単にやってのけられました。
さっそく本文のなかから、気になったところを赤ペンチェックして行きましょう。
—————————-
ジミーとドレーによる最初のヘッドホン、ビーツ・バイ・ドクター・ドレーは2008年にデビューした。(中略)アップルはビーツを26億ドルで買収した。それから数年でサウンド・クオリティはさらに向上し、アップルのAirPods(エアポッズ)の製作にも影響を及ぼすのだった。(中略)2人が市場調査やアンケートをしなかったことは注目に値する。彼らは沈黙、欠落、すき間に耳を澄ませたのだ。2人の話で思い出すのは、ジャズ・トランペットの大御所マイルス・デイヴィスがよく共演者に言っていた言葉だ。「そこにあるものを演奏するな、そこにないものを演奏するんだ」。教育者でありイノベーターである僕たちは、この価値を何度も噛みしめている。直感を研ぎ澄ませて、すき間にあるものを感じ取ること、それは誰にだってできる
ボブ(伝説のソングライター)に言わせると、わずか2、3語の中に曲のエッセンスとストーリーを込めたものが曲のタイトルであって、歌詞を書くことはこのエッセンスに立ち返る作業なんだ
ミュージシャンにとって、自分の外の世界に耳を傾けてアイディアとインスピレーションを引き出すことは、イノベーションの第一段階に過ぎない。第二段階として次に、自分の中の声に耳を澄ませて、世界と自身のビジョンと価値観とが共鳴し合うポイントを知ることも求められる
誰かがギターでリフを弾いているのを聴いて、頭の中で素晴らしいアイディアが湧くとするよね。でもそれを自分の中に抱えたままではダメなんだ。実際、僕は声に出してこう言うよ。『よし、失敗したって構わない。これはどう?』ってね(ジャスティン・ティンバーレイク)
どんな分野でも誰かと組んで何かを作るとなると、一度に2つのことが求められる。まず自分のスキルに自信を持つこと。それができないと他からお呼びがかからない。2つ目に他の人に興味を持つこと
試作品を作ったりデモをレコーディングするとき、なぜそれを作ろうとしているのかを自分に問いかけることも有効だ
最小構成単位に分解し100通りの検証をする
アイディアとは周波数をミックスしてマッチさせ、自分の望む感情を呼び起こすことなんだ(ハンク・ショックリー)
—————————-
創造的活動をしている人間なら、きっと大きな創造のヒントが得られるはず。
ちなみに、本の最後には「メンバー紹介」が載っているのですが、これまたライブの終わりのような演出で、斬新です。
新たな読書の可能性を探る意味でも、ぜひ読んでみてください。
超おすすめの一冊です。
———————————————–
『創造思考』パノス・A・パノイ、R・マイケル・ヘンドリックス・著
大田黒奉之・訳 東洋経済新報社
<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492558047
<Kindleで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0983BN284
———————————————–
◆目次◆
PRELUDE 新しい世界を切り開く方法は音楽が教えてくれる
CHAPTER01 耳を研ぎ澄ます
CHAPTER02 実験、実験、実験
CHAPTER03 コラボレーション
CHAPTER04 デモテープ
CHAPTER05 プロデュース
CHAPTER06 ファンとつながる
CHAPTER07 リミックス
CHAPTER08 感情、感性、感覚
CHAPTER09 進化し続ける
今さらだけど──メンバー紹介
この書評に関連度が高い書評
この書籍に関するTwitterでのコメント
同じカテゴリーで売れている書籍(Amazon.co.jp)
お知らせはまだありません。