【全公開。電通が新人に教えるマーケの基本技】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569849547
本日ご紹介する一冊は、ひさびさに注目の大型マーケティング書。
何と、電通の現役マーケター(肩書は戦略プランナー)が、電通で教えているマーケティングの基本技を一冊にまとめた決定版です。
しかもこの著者、実際に電通でマーケティングの新人教育をしている方らしく、本書には読者特典として、マーケティング実務で使えるテンプレートが40種類も付いています。
タイトルは「調べ方」となっていますが、その理由は、<売れない商品は「ターゲット」「セールスポイント」がズレている>からだそう。
本書を読んで、何で一流マーケターを輩出するP&Gやマッキンゼー、電通がマーケティングリサーチを重視するのか、その理由がよくわかりました。
本書の中で今、特に注目なのは、自然災害や感染症流行、金融ショックなどで時代が大きく動いた時に電通が使っている「チャンスポートフォリオ」マトリクスというツール。
コロナ後の消費者行動を見定める上で、使えるツールだと思いました。
500ページを超える、だいぶ厚い本ですが、確かにこれ一冊やれば、本物のマーケティングスキルが身に付きそうです。
著者が、もともと電通ギャルラボ出身だったり、LGBTユニットのリーダーだったりするので、事例は女性向け商品が多い印象です。
益若つばささんプロデュースのブランド、「DOLLY WINK」などの事例が紹介されており、特に美容やコスメなどの商売をしている方には、ど真ん中の内容だと思います。(他に、ナイキや湖池屋、スノーピークなどの例も紹介されています)
新鮮だったのは、最近注目されている、「特定のニーズ(ハンディキャップなど)を追求した結果、みんなに便利で売れる」インクルーシブ・マーケティングの例が紹介されていることで、これはマーケティングの新潮流として、現役のマーケター、経営者も押さえておきたいところです。
さっそく本文のなかから、気になったところを赤ペンチェックして行きましょう。
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インクルーシブ・マーケティングによって、量産化可能で、特定の属性の人にターゲットを限定せず、すべての人が使いたくなるアイデアにあふれた商品・サービスを生み出すこと
「誰に聞くのか」を考えるときの対象は3つあります。
1.商品やサービスを購入してくれるターゲット(顧客)
2.商品やサービスに関連するステークホルダー(販売業者・問屋など)
3.商品やサービスに関連するエキスパート(専門家)
◆著者がよく使う調査会社
・電通マクロミルインサイト
・楽天インサイト
調べた情報から「次の打ち手」を見つけられなければ、リサーチはしなかったに等しい
ヒットをつくる3つのリサーチ
1.「ヒット商品開発リサーチ」
2.売るための戦略を立てる「戦略リサーチ」
3.市場に出した商品を売り続ける「ロングセラーリサーチ」
新しいものをつくるときには、具体的な仮説(○○ではないだろうか?)=「プロトタイプ」をたくさん考えて用意しておくことが、インサイト(深くて本質的な悩みや欲求)を引き出すためにとても重要
◆プロトタイプ:商品特性案
1.簡単!のり不要
2.最速!3秒仕上げのつけまつげ
3.ワンタッチでくっつく
4.いつものメイクにワンポイント
5.目元をデザインするつけまつげ
6.新発想のアイアクセサリー
7.気分に合わせてまつげも着せ替え
8.マツエクにちょいたしできる
9.マスカラより簡単ナチュラル
10.つけまの常識が変わる
一覧を「箇条書き」で提示し、試してみたくなるものを3つ選択して○をつけてもらいます
コミュニケーションは「発信者」「受信者」「伝える内容」の3者から考える
「カテゴリ外」の「勢いのある事例」の情報を集めること
常識を壊し、今あるジャンルの捉え方を変えて、「提案性のあるプロダクト」をつくったときに、売れる商品が生まれます
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内容の濃さにも驚きましたが、何より驚いたのは、贅沢なテンプレート集。
正直、これだけで何万円かの価値があると思います。
中小零細企業でもできる、低予算のマーケティングについてもヒントが多数あり、ヒットを生みたい人には「買い」の一冊です。
ぜひ、読んでみてください。
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『ヒットをつくる「調べ方」の教科書』
阿佐見綾香・著 PHP研究所
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◆目次◆
第1章 売れない商品は「ターゲット」「セールスポイント」がズレている
第2章 「ターゲット」「セールスポイント」を絞り込む3つのステップ
第3章 【リサーチの実践1】 アイデアを形にして検証するリサーチ
第4章 【リサーチの実践2】 ヒットをつくる「市場分析」
第5章 【リサーチの実践3】 ヒットをつくる「顧客分析」
第6章 【リサーチの実践4】 ヒットをつくる「競合分析」
第7章 【リサーチの実践5】 ヒットをつくる「自社分析」
第8章 【リサーチの実践6】 売り続けるためのリサーチ
第9章 リサーチにつまずいたら読む章
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