【新総理のリーダーシップ論】
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本日ご紹介する一冊は、菅義偉(すがよしひで)新総理のリーダーシップを、2012年刊行の書籍『政治家の覚悟 官僚を動かせ』の第一章、第二章、さらに雑誌『文藝春秋』での官房長官時代のインタビューから明らかにしたもの。
「はじめに」と「おわりに」以外は、昔の記事がベースになっており、プロパガンダも多いですが、これからの日本の政治の方向性、ビジネスへの影響、新総理のリーダーシップを学ぶには、十分役に立つ内容です。
これまで著者が取り組んできた地方創生やICT促進のための施策、既得権益者やマスコミの聖域にメスを入れた事例、その裏舞台を明らかにしたもので、リーダーシップと「実行」を学ぶ上で勉強になる内容です。
著者は、師事していた梶山静六氏から、生前、こんな薫陶を受けたそうですが、「官僚」を「サラリーマン」に、「政治家」を「社長」に置き換えれば、そのまま経営にも当てはまると思います。
「官僚は説明の天才であるから、政治家はすぐに丸め込まれる。お前には、おれが学者、経済人、マスコミを紹介してやる。その人たちの意見を聞いた上で、官僚の説明を聞き、自分で判断できるようにしろ」
どうやってファクトを押さえ、自分で判断するか。その上で、抵抗勢力をどうやって説き伏せ、動かしていくか。
政治家ならずとも、読み応えのある一冊です。
さっそく、本文の中から気になった部分を赤ペンチェックして行きましょう。
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チャンスが巡ってきた時に判断できるか。やはり最後は本人の覚悟しかありません
新型コロナウイルスで浮き彫りになったのは、「デジタル化」および「サプライチェーンの見直し」の必要性です
官僚はしばしば説明の中に自分たちの希望を忍び込ませるため、政治家は政策の方向性が正しいかどうかを見抜く力が必要です。官僚は本能的に政治家を注意深く観察し、信頼できるかどうかを観ています。政治家が自ら指示したことについて責任回避するようでは、官僚はやる気を失くし、機能しなくなります。責任は政治家が全て負うという姿勢を強く示すことが重要なのです。それによって官僚からの信頼を得て、仕事を前に進めることができるのです
「頑張る地方」を視察して気づいたのは、成功している市町村はいずれも地域の魅力をしっかりと見極め育てていること、そしてそれをマネジメントする人材がいることです
省庁をまたがる案件は官僚には荷が重く、責任を取りきれない
数値をみると、清掃職員は、公務員だと平均の月給四十二万円、民間だと同二十九万円。バス運転手は、公務員だと平均四十五万円で、民間は三十万円などと具体的に比較でき、問題点を明確にすることができたのでした
ここでも私は慣例を破り、優秀で人望も厚い技術職の人物を、旧郵政の筆頭局長、さらには事務次官級の総務審議官に就けました(中略)私は、人事を重視する官僚の習性に着目し、慣例をあえて破り、周囲から認められる人物を抜擢しました。人事は、官僚のやる気を引き出すための効果的なメッセージを省内に発する重要な手段となるのです
私が政治の道を志して以来、一貫して重視してきたのは、国民の皆様から見て、何が「当たり前」かをきちんと見極めるということです。世の中には、まだまだ数多くの「当たり前でないこと」が残っています
国民の「食い扶持」を作る
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エリートや既得権益を握る人間をどうやって動かせばいいのか。多少強引ながら、ファクトを押さえ、不退転の決意で臨む氏のリーダーシップからは、多くを学べると思います。
次々と繰り広げられる当事者の言い訳に、著者がどう対抗してきたのか、そのケーススタディが勉強になりました。
ぜひ読んでみてください。
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『政治家の覚悟』菅義偉・著 文藝春秋
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◆目次◆
第一部 官僚を動かせ
第一章 政治家が方向性を示す
第二章 自らの思いを政策に
第三章 決断し、責任を取る政治
第四章 国民目線の改革
第五章 マスコミの聖域にメス
第六章 「伝家の宝刀」人事権
第七章 政務官でも仕事ができる
第八章 議員立法で国会を活性化
第二部 官房長官時代のインタビュー
安倍政権は日本をこう変える
支持率低下覚悟の安保関連法成立
携帯料金は絶対に四割下げる
我が政権構想
おわりに
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