2020年11月4日

『トリガー 人を動かす行動経済学26の切り口』 楠本和矢・著 vol.5631

【マーケティングに活かす】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4781619282

本日ご紹介する一冊は、日本を代表するトップマーケター、神田昌典氏推薦の行動経済学本。

著者は、マーケティング戦略アドバイザーの楠本和矢さんです。

行動経済学の本は、これまでにもたくさん出ていますが、本書の狙いは、<行動経済学を「マーケティング」につなげること>。

そのため、行動経済学の理論を紹介するだけで終わるのではなく、実際にそれぞれの理論が活用されたマーケティングの事例や、著者ならこう使うという、「活用イメージ」が紹介されています。

わずか12ページで行動経済学の代表的理論がおさらいできる上、それをどう実践で使えばいいのか、マーケティングの視点から解説されているのがありがたい。

いままさに「どう売るか」で悩んでいる経営者・マーケターに、ヒントを与えてくれる内容だと思います。

なかでも注目したいのは、CHAPTER2の<行動経済学をマーケティングにつなげる26の切り口>。

26の切り口はさらに5つのカテゴリーに整理されており、それぞれ以下のように紹介されています。

・効率良く「好感認知」をつくるための5つの切り口
・新たなニーズを創るための7つの切り口
・魅力的なものに見せるための5つの切り口
・購入ストレスを低減するための4つの切り口
・自然に継続させるための5つの切り口

さっそく、本文の中から気になった部分を赤ペンチェックして行きましょう。

—————————-

「見たこともない新しい商品」について、元々何の価値判断のスキルもないところに、すでに高い価値が認められている商品と「同カテゴリーのもの」に見せることによって、「この新しい商品もきっと同じような価値があるはずだ」と、短絡的に判断させた

「この商品で、新しい音域を聴くことができます」とするか、「これ以外の商品では、その音域を聴くことはできません」とするかで、印象は大きく異なります

バンドワゴン効果
人気を多く集めていることがわかると、元々関心がなかったにもかかわらず、興味を示してしまう傾向

ジンクピリチオン効果
聞いたことのない、凄そうな言葉の響きだけで、「何となく良さそう」と短絡的に判断してしまう傾向

ウィンザー効果
商品/サービスの提供者から直接アピールされるよりも、第三者から間接的にそれを聞くと、より強く信じてしまう傾向

ヴェブレン効果
それを購入した自分をアピールしたいという欲求が働き、高額な商品を購入したいと考える傾向

エンダウド・プログレス効果
ゴールに向かって若干前進したと感じると、ゴールに向かっていくモチベーションが高まり、続けたくなる傾向

新たなニーズを創るための7つの切り口
・リスクを強制想起
・新たな「敵」の紹介
・新習慣の創出
・いい言い訳の提供
・節目需要の創出
・ひとまず保有させる
・とにかく近くに

購入ストレスを低減するための4つの切り口
・購入リスクがゼロ
・選択肢の絞り込み
・面倒ごとの先送り
・相対的に選ばせる

—————————-

事例紹介が、「ある○○のサービス」のような形で、なぜか匿名になっていること、理論の使用結果が数字で示されていないことがやや不満ですが、行動経済学をマーケティングに使える形で整理し直した、という点で意味ある内容だと思います。

これまでまったく行動経済学を学んで来なかったという人も、本書を使えば簡単に要点を押さえられるので、おすすめです。

ぜひ読んでみてください。

———————————————–

『政治家の覚悟』菅義偉・著 文藝春秋

<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4781619282

<Kindleで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B08LMPLH7N

———————————————–
◆目次◆

CHAPTER1 マーケティング戦略と、行動経済学との距離感
CHAPTER2 行動経済学をマーケティングにつなげる26の切り口
CHAPTER3 「26の切り口」を使って、マーケティングアイデアを創出する方法

この書評に関連度が高い書評

この書籍に関するTwitterでのコメント

同じカテゴリーで売れている書籍(Amazon.co.jp)

NEWS

RSS

お知らせはまだありません。

過去のアーカイブ

カレンダー