2018年11月26日

『サバイバル決断力』印南一路・著 vol.5163

【これで完璧。】
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本日ご紹介する一冊は、慶應義塾大学総合政策学部教授であり、意思決定・交渉を専門とする、印南一路さんによる一冊。

著者は、東京大学法学部卒業後、富士銀行(現在のみずほ銀行)、厚生労働省を経て、ハーバード大学行政大学院、シカゴ大学経営大学院、スタンフォード大学などで学んだ人物で、意思決定論の分野の第一人者です。

意思決定論の基本が上手に散りばめられた自己啓発書的な一冊で、これまで書かれた著者の作品のなかでも、カジュアルな無類に属すると思います。

情報過多の現在にあって、組織の意思決定はますます難しくなっていますし、それゆえの悲劇も起こっていますが、おそらくその根本原因は、著者が示した以下のポイントでしょう。

<鍵を握るのは「リスクへの姿勢」です。意思決定できる人とは「計算してリスクを取れる人」のことだと思います。意思決定できない人はその逆で「リスクを取れない人」です>

また、起業や結婚など、個人の意思決定に関しては、以下の指摘が役に立つでしょう。

<死を免れない人間にとって一番貴重な資源は時間です。お金は浪費したとしても、これからまた稼ぐこともできます。でも、失われた時間は二度と戻ってきません。意思決定できない人はその時間をムダ遣いしていることになるのです>

人生に役立つ意思決定論のエッセンスが詰まった一冊。

さっそく、ポイントをチェックして行きましょう。

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鍵を握るのは「リスクへの姿勢」です。意思決定できる人とは「計算してリスクを取れる人」のことだと思います。意思決定できない人はその逆で「リスクを取れない人」です

優柔不断になる原因の多くは問題自体にある

ウェイソンは、このように仮説に合致する情報のみを求めて確信し、反証を探そうとしない人間の傾向(いったんつくられた仮説を放棄できない人間の癖)を「確証バイアス」と名づけました

私たちは中学高校の数学の授業のおかげで、横に原因(X)、縦にその結果(Y)を示す図に慣れています。この図もその作法に従っているので、うっかりコーヒーを飲んだため、生産性が上がったと解釈しがちです。とはいえ、反対のことも起こり得るはずです。生産性を上げるために頑張って働くと疲れるので、疲労回復のためにコーヒーを飲んだのかもしれません。この場合は、生産性が原因でコーヒーの消費量が結果的に増えた可能性もあることになります。つまり、逆の因果関係です

自分の人生を真剣に考えないといけないのに、社会の風潮や家族の意向、友達の意見など、まわりの考え方に流されて、ほかの学生といっしょに就職活動を開始して、人気企業にエントリーする……。これが貧しい意思決定の例です。そして、じつはこれこそが、失敗のもとなのです

失敗時に乗り換えるバックアッププランを用意する

時間を経れば自分の価値観も変化していく

社会にあふれるさまざまな情報に操られ、無意識のうちに意思決定がゆがめられている場合があります

◆決断の5段階フィルターモデル
1.Meta メタ判断
2.Choices 選択肢の生成・絞り込み
3.Evaluation 選択肢の評価
4.Decision 決断
5.Learning 評価学習

重み(ウェイト)づけを行うことでより正確な判断ができる

◆人生の決断から振り返る三つの経験則
1.人生思うようにはいかない
2.真摯な動機で決断すれば、必ず誰かが応援してくれる
3.どんな意思決定も決断も、結局は限りある人生をどう生きるのかという問題につながる

モタ先生こと精神科医の斎藤茂太(1916~2006)はいっています。人生に失敗がないと、人生を失敗する。

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これまでの著者の本は、ほとんどが学術的な内容でしたが、こちらはどちらかというと自己啓発的な位置づけになると思います。

「おわりに」に書かれた、「人生の決断から振り返る三つの経験則」そして、モタ先生こと精神科医の斎藤茂太さんがいっていたという以下の言葉は、本当に身にしみました。

<人生に失敗がないと、人生を失敗する。>

「意思決定論って難しそう」と思う方も、本書なら楽しく読み進められるはずです。

ぜひチェックしてみてください。

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『サバイバル決断力』印南一路・著 NHK出版

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◆目次◆

はじめに 決断力を磨き、「技」として身につけるために
第1章 決断とは何か
第2章 なぜ日本人には意思決定のトレーニングが必要か
第3章 間違った判断が起きる典型的ケースを知る
第4章 すぐれた意思決定をするための5段階フィルター
第5章 実践!「サバイバル決断力」トレーニング
おわりに 人生の決断から振り返る三つの経験則

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