【これは名著だ。】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822259757
ビジネス書には、「決定版」というポジションがありますが、本日ご紹介する一冊は、まさに起業の「決定版」。
これまではガイ・カワサキの本が決定版だったのですが、昨今のスタートアップの現状、手法も織り込んだという意味で、本書に軍配が上がりました。
著者は、外資系コンサルティングファームを経て、独立後、日本で企業向け研修会社と経営コンサルティング会社、エドテック(教育支援)のスタートアップの3社、シリコンバレーでECプラットフォームのスタートアップを起業したという、田所雅之氏。
日本に帰国後、ベンチャーキャピタルFenox Venture Capitalのベンチャーパートナー、欧州最大級のスタートアップイベントのアジア版、Pioneers Asiaのスタートアップ担当責任者も務め、これまで世界中のスタートアップ1500社以上の評価を行ってきたという、当該分野に詳しい方です。
本書には、成功するスタートアップがやっていることが体系的にまとめられており、これから起業する人が、何を基準に自分のビジネスアイデアを評価すれば良いか、どうやって製品を作っていけばいいか、一目瞭然です。
アイデアの検証から、プロダクト・マーケット・フィット、スケールさせるための方法論まで、じつに事細かく書かれていますが、個人的に美味しいと思ったのは、75ページから81ページにまとめられている、「スタートアップの10のフレームワーク」。
このツールを使えば、どんな人でも破壊的イノベーションのアイデアが創れると思います。
さっそく、全体を概観して、気になった部分をチェックして行きましょう。
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スタートアップが成功できるか、失敗して消えてしまうか、それを決める基準は、プロダクト・マーケット・フィット(PMF)を達成できるかできないかだ
スタートアップにおいて最も重要なアイデアは何か。それは、課題の質にフォーカスすることである
◆課題の質を決める3つの要素(ファウンダーが持つべき3要素)
・高い専門性
・業界(現場)の知識
・市場環境の変化(PEST)に対する理解度
実は、課題の質を高めるには、もう一つの要素がある。ターゲット
とする課題が「自分ごと」であるかどうかだ
◆スタートアップの10のフレームワーク
1.中間プロセスの排除
2.バンドルを解いて最適化する
3.バラバラな情報の集約
4.休眠資産の活用
5.戦略的自由度
6.新しいコンビネーション
7.タイムマシン
8.アービトラージ
9.ローエンド型破壊
10.As a service化する
◆ツールプロト作成のポイント
・直感的に使用でき、使いやすいか
・機能の優先順位は明確か
・デザインに一貫性があるか
・可逆性は担保されているか
市場テスト用のプロダクト、MVP(ミニマム・バイアブル・プロダクト)を投入(ローンチ)して、狙ったカスタマーが本当に欲しがるプロダクトになっているかを検証していく
◆良いユーザーストーリーのポイント
・顧客が価値を感じる
・UXが煩雑でない(シンプル)
・ストーリーがユーザー視点で表現されている
・現場の臨場感がある
・想定する範囲(スコープ)が大きすぎず、小さすぎない(ストーリーが1つの固まりとして動作し、テストできることが条件)
・(ストーリーの実現を検証する)テストができる
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本書の魅力は、起業の教科書として、体系的・理性的に書かれていながら、読者のやる気をガンガン刺激するところ。
おそらく、シリコンバレー界隈の有名起業家、メンターの名言、優れた成功事例なども混ざっているからだと思いますが、とにかくテンションが上がります。
読者に起業家のDNAが少しでも混ざっているなら、本書を読んでワクワクせずにはいられないと思います。
そのまま、起業スクールのテキストとして採用されそうなほど、しっかりした内容。
これは買わない手はないでしょう。
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『起業の科学 スタートアップサイエンス』
田所雅之・著 日経BP社
<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822259757/
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http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0777H17WD/
<楽天ブックスで購入する>
http://bit.ly/2ECHNoK
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◆目次◆
Chapter1 IDEA VERIFICATION【アイデアの検証】
Chapter2 CUSTOMER PROBLEM FIT【課題の質を上げる】
Chapter3 PROBLEM SOLUTION FIT【ソリューションの検証】
Chapter4 PRODUCT MARKET FIT【人が欲しがるものを作る】
Chapter5 TRANSITION TO SCALE【スケールするための変革】
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